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カードキャプターすみれ さくらと小狼の子供たち 2
- 1 :CC名無したん:04/01/03 22:27 ID:6fK386gP
- それでは続きおながいします。 そういや前スレで最初の方にいた悪魔将軍なる方はいずこへ?
前スレ
さくらと小狼の子供たち。
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/sakura/1019101668/l50
関連スレ
ミラーのお留守番
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/sakura/971814630/l50
- 2 :1:04/01/03 22:28 ID:6fK386gP
- <<登場人物紹介>>
木之本すみれ
本作主人公 木之本家の長女 2代目カードキャプター。
光の力の持ち主 活発で元気な女の子
家族構成は父が李小狼、母が木之本さくら、弟が木之本龍平、そして封印の獣ケルベロス
友枝小学校の五年生で中国拳法部に所属
木之本龍平
木之本家長男 すみれの弟
すみれと同じく小学五年生 クラスは違う
歴史、考古学が空き。おとなしい性格
木之本さくら
すみれと龍平の母
魔法を使うときは子供の姿に戻る
子供の姿の時は木之本かすみと名乗っている
星の力の持ち主
李小狼
すみれと龍平の父
香港では李一族の若き総帥で、毎週のように香港と日本とを往復している。
剣術と拳法に長けている
- 3 :1:04/01/03 22:29 ID:6fK386gP
- ケルベロス
クロウ・カードを封印した本を守る守護者
シンボルは太陽で火と地を司る
愛称はケロちゃん
ユエ
ケルベロスと同じくクロウカードの守護者
シンボルは月
普段は月城雪兎として生活している
月城雪兎
ユエの仮の姿
塔和大学の専任講師
木之本藤隆
すみれの祖父
考古学の教授
木之本桃矢
すみれの叔父
塔和大学助教授
藤隆さんと同居している
- 4 :1:04/01/03 22:29 ID:6fK386gP
- 大道寺知美
大道寺家の長女
性格は母ととてもよく似てる
しかし時には母の知世も上回る黒さを見せる面も・・・(w
演劇部に所属していて、演劇部部長でもある
黒鋼
知美が拾ったキタリス
大道寺知世
知美の母
大道寺グループの代表を務める
多忙な生活のためか直接話に関わる回は少ない
撮影やコスチュームは知美が代わりに務める
柊沢エリオル
イギリスのホーリーツールという会社の社長
クロウ・リードの生まれ変わり
観月歌帆
エリオルの妻、共同経営者
さくらが小学生のころは算数の先生をやっていた
- 5 :1:04/01/03 22:30 ID:6fK386gP
- クロウ・リード
クロウ・カードやケルベロスやユエを産み出した魔術師。
ゴールデン・ドーンという所でクロウ・リードが若い頃に作った不完全なカードが友枝町で騒動を起こしている。
衛エドワード
イギリスから来た転校生、すみれと同じクラス 張教授の孫
しかしただの転校生ではない一面も・・・。
魔法を使う際に子供の姿になっているさくらを見て一目惚れしてしまう
張マーガレット
イギリスの大学教授
サバティカルで日本に来ている エドワードの祖母
やはりこの人も何かありそう・・・
山崎貴史
千春ちゃんと嘘つき漫才でデビュー
現在は「すあま」という名でタレント活動をしている
三原千春
山崎君とは幼稚園からの幼なじみ
山崎君とコンビを組んで嘘つき漫才に出る
現在は山崎君のマネージャー
- 6 :1:04/01/03 22:31 ID:6fK386gP
- 施麗芸(シー・ライワン)
友枝町で開業医をしている
小狼の母の親戚にあたる
すみれやさくらのかかりつけのお医者さん
神宮司先生
すみれのクラスの担任 演劇部の顧問
月峰神社の神主さんの親戚らしい
校外学習で行った友枝防災センターではハリセンでナイスな突っ込みを見せる
寺田利佳
龍平のクラスの担任 寺田良幸の奥さん
旧姓「佐々木」
小見先生
すみれが所属する中国拳法部の顧問の先生
プロレスが好きで熱血漢
なお、前スレは小見先生が立てたらしい(w
葵先生
友枝小の理科の先生
- 7 :1:04/01/03 22:31 ID:6fK386gP
- <<すみれの手持ちカード一覧>>
・フロート(さくらが封印)
・ジャンプ
・フライ
・ループ
・ウインディ
・スリープ
・チェンジ
・ソード
・グルー
・サンド
・フラワー
・ロープ
・ワード
・ドリーム
・ファイアリー
・イリュージョン
・バブル
・ウッド
- 8 :CC名無したん:04/01/03 23:03 ID:4b07T7t0
- 新スレおつです
- 9 :126:04/01/04 00:05 ID:FLUBYcFs
- ケロちゃんにおまかせ!
新年おめでとさん!
みな、3が日はどうやった?おせち食うたか?お雑煮食うたか?お年玉もろうたか?
そうか、そうか、そりゃよかったなあー!
ケロちゃんにおまかせ・新春スペシャルの時間がやってきたでぇー!
今回は、2004年を迎えるにあたって、わいの抱負を語ったろうやないか・・・うん?
・・・なんや、いつの間にかスレが新しうなっとる!
誰がたてたんや? >>1 さんか。新年になったからスレも一新というわけか!
>>1 さん、気ぃ利くなぁ。ほんま、ありがとうな。
ネタ切れで苦しんどる 126 に代わって、礼を言うでぇ!
わいも、ほんまのところ、このコーナーの途中でスレが終わってしまうんじゃないかと
心配しとったところなんや。
新しいスレも立ったことやし、これからも、わいのナイスで小粋な大活躍をたぁーっぷりと
お見せするでぇ!
みなも今年はがんばりぃな!
ほななぁ〜。
- 10 :126:04/01/04 00:09 ID:FLUBYcFs
- ピピピピピ・・・
「あふぅ。もう朝かぁ」
あたし、木之本すみれ。友枝小学校に通う小学5年生。
好きな科目はだんぜん体育!
苦手な科目は、やっぱり算数。
とりあえず元気がとりえの女の子です。
すかー・・・すかー・・・
この、あたしのとなりで寝ているのがケロちゃん。ほんとうの名前はケルベロスっていうんだよ。
え?変わったロボペ(ロボットペット)だって?
ううん、ケロちゃんはロボペじゃなくて、カードの封印の獣さん。
ママが持っている、さくらカードさんの守護者なんだって。
え?さくらカードって?
それはねぇ・・・
「あ、その前にカードさんたちに朝のあいさつをしなくちゃ」
あたしは机の引き出しを開けて、けさもカードさんたちにあいさつをする。
このカードさんたちは、クロウ・カードっていって、クロウ・リードさんっていう大魔術師が
創ったもの。ケロちゃんもクロウさんが創ったんだよ。
そして、カードさんたちのおかげで魔法が使えるんだ。そう、あたしは魔法使いっていうわけ。
- 11 :126:04/01/04 00:10 ID:FLUBYcFs
- 「おそよー!朝だよ!」
あたしは、となりの部屋で寝ている男の子のふとんを思いっきりひきはがす。
「むにゃむにゃ・・・おはよう、おねえちゃん」
このもうれつに寝起きが悪いのが、我が弟の龍平。あたしたち、ふたごなんだ。
朝に弱い龍平が遅刻しないように起こすのが、あたしの朝の日課なんだよ。
龍平を着替えさせて、あたしたちは1階のダイニングに下りる。
テーブルで新聞を広げているのが、あたしたちのパパ、李小狼。香港生まれなんだ。
「パパ、おはようございます」
「ああ、おはよう、すみれ、おはよう、龍平」
「おはよう、すみれちゃん、龍くん。おばあちゃんにごあいさつは?」
この人が、あたしたちのママ、木之本さくら。ママのことばに、
「あ、そうか。おはようございます、おばあちゃん」
あたしたちは、テーブルのすみにあるホログラムにあいさつをする。
映っているのは、ママのママ。撫子おばあちゃんだ。
おばあちゃんはママが小さい頃に亡くなっている。でも、モデルをしていたせいで
若い頃の画像がいっぱい残っているんだ。
あ、ママのパパの藤隆おじいちゃんは、まだ元気だよ。
「はい、これがすみれちゃんの朝ごはん、こっちが龍くんの分よ」
テーブルにお粥が置かれる。パパが日本にいるときは、我が家の朝食は中国式なんだ。
- 12 :126:04/01/04 00:11 ID:FLUBYcFs
- 「いただきまーす」
あたしたちは食べ始める。
テーブルの上の油条(ヨウテャオ。お粥といっしょに食べる揚げパンみたいなもの)が、どんどん
減っていく。
「今、追加するね」
ママは、あわただしくキッチンに行って、油条を取って来る。
こう見てると、ママは普通のママみたいだけど、実は魔法使いなんだ。
ママが小学4年生のとき、おうちにあった封印の書を開けてしまって、その中にあった
クロウ・カードをばらばらにしてしまったの。そのとき、封印の書で眠っていたのがケロちゃん。
ママは、ケロちゃんに言われて、クロウ・カードを集めるカード・キャプターになったんだ。
そして、カードを集めている間に、香港からカードを集めにやってきたパパと出会ったの。
それから、ママとパパがクロウ・カードを全部集めて、ママがカードの主(あるじ)になったんだ。
今、ママの持っているカードは、ママの魔法の力で動いている、さくらカードなんだよ。
え?じゃ、あたしの持っているカードはなんだって?
あたしの持っているカードもクロウ・カード。けど、ママの持っているカードやケロちゃんよりも
前に、クロウさんが創ったカードなんだよ。どういうわけか、そんなカードが最近現れて、
あたしは、ママとパパとケロちゃんたちといっしょにカードを集めているんだ。
「あ、ケロちゃん、あたしの油条、取らないでよ!」
いつのまにか、ケロちゃんがテーブルにいた。
「すみれが、ナレーションしとるみたいに、ぼけっとしとるからや・・・あむ!」
ケロちゃんは、あたしの油条に食らいつく。
- 13 :126:04/01/04 00:11 ID:FLUBYcFs
- 「ほんと、食い意地張ってるな」
パパがつっこむ。
「あんあろ!あいあいいもんいあいいていいもいんえんほうふあんあ!
(なんやと!わいは食いもんに対して、いつも真剣勝負なんや!)」
ケロちゃんが、食べながら、むきになって言う。
「・・・ぬいぐるみ」
パパがしらーっと言う。ケロちゃんが怒る。
「あんあろおろう!おういへんゆうえみい!(なんやと、小僧!もういっぺん、言うてみい!)」
「ああ、何度でも言ってやる。ぬいぐるみ!ぬいぐるみ!」
油条をほおばっているケロちゃんのことばがわかってしまうのが、すごい。
そして、あたしたちは、すぐにクスクスと笑い出した。
だって、パパとケロちゃんのやり取りは、毎日のあいさつみたいなものだもの。
「ごちそうさま!」
「はい、じゃあ、これがふたりのお弁当。小さいけれどデザートにこぐまやのプリンが入ってるから」
「うわーい!ありがとう、ママ!」
こぐまやのプリンは、あたしの大好物なんだ。そして、ケロちゃんも大好物なんだよ。
「なんやって!?さくら、わいの分は、わいの分はあるんか?わいの分もあると言うとくれ〜」
「はいはい、ケロちゃんの分も、ちゃんとあるよ」
「わ〜い!さすが、さくらさまやぁ!」
「いってきまーす!」
あたしと龍平は家を出ました。今日はいい天気になりそうです。
- 14 :CC名無したん:04/01/04 05:22 ID:8KA9BiI3
- >>1さん
スレ立てお疲れさまです。
まずは即死しないように保守保守...
で、
>>126氏
新作キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
毎回見るたびにほのぼのとした気持ちになります。
今年も宜しくお願いいたします。
- 15 :CC名無したん:04/01/04 13:14 ID:vsjEaYIM
- うおっ! 反応早い!
126氏スレの引っ越し乙です。それと、新年明けましておめでとうございます。
撫子さんと園美さんテンプレに入れるの忘れてた・・・。スイマセン
- 16 :CC名無したん:04/01/04 18:43 ID:Q+C7zVNa
- 新スレオメ!>1さん乙
天ぷら分かりやすくてイイ
- 17 :CC名無したん:04/01/06 02:25 ID:35A0OIRq
- 保守
- 18 :CC名無したん:04/01/06 07:12 ID:gdiMQBey
- さくら板ならそう簡単にDAT落ちしないから安心汁
- 19 :CC名無したん:04/01/08 12:50 ID:Ou8rsgqV
- ヽ(´ー`)ノ
- 20 :CC名無したん:04/01/08 22:48 ID:F5wX2lxw
- >>1さん乙〜
年明けと共に新スレになってたんだね
126氏、今年もがんばってください!
- 21 :CC名無したん:04/01/12 19:22 ID:uFNogEZr
- >>15
今からでもお入れなさいな
- 22 :126:04/01/12 22:43 ID:ISRwOJTx
- クラスが別の龍平と別れて教室に入ると、あたしはとなりの席の女の子にあいさつをした。
「おはよう、知美ちゃん!」
「おはようございます、すみれちゃん」
この子の名前は、大道寺知美ちゃん。あたしの一番のおともだち。
ほぇ?けさの知美ちゃんはいつもとちょっと様子が違う。ずいぶん眠そうだ。
「どうしたの、知美ちゃん?ちょっと眠そうだけど」
「おわかりですか?実は・・・悩み事があって、つい、夜更かしをしてしまったんです」
「悩み事ってなに?あたしになにかできることがあるんなら、言ってくれない?」
「ありがとうございます。実は、納得のいくものがなかなかできあがらなくて・・・」
「・・・」
少しいやな予感がして、あたしの頭に汗が浮いた。
「納得のいくものって、もしかして、コスチュームデザインかなにか?」
知美ちゃんの趣味はちょっと変わっていて、あたしがカードを封印しに行くときに着る
バトルコスチュームを作ったり、封印の様子をビデオに撮ることなんだ。
「それもありますが、今、悩んでいるのは、すみれちゃんのフィギュアのことなんですの」
「あたしのフィギュア?!」
あたしの頭に思いっきりおっきな汗が浮いた。
そういえば、この前、知美ちゃんのお家にお邪魔したときに、フィギュアを作る機械を
見せられたんだ。そして、あたし、そのためのデータをしっかりととられている・・・
「すみれちゃんのかわいさ、りりしさを完璧に表現したフィギュアを作りたいですの。ですが・・・」
知美ちゃんが、大きなため息をついた。
- 23 :126:04/01/12 22:44 ID:ISRwOJTx
- 「おはよう、木之本さん、大道寺さん」
その時、あたしの後ろの席の子がやってきた。
「おはよう、衛(ウェイ)くん」
この子は、衛エドワードくん。イギリスからの転校生。
中国拳法がとっても強くて、いっしょに入っている、中国拳法のクラブでは
いろいろと教えてもらっているんだ。
知美ちゃんも、衛くんにあいさつをする。
「おはようございます、衛くん。ところで、衛くんはフィギュアはお好きですか?」
「え?欲しいと思うのはあるけど、おばあちゃんがなかなか買ってくれないんだ」
「実は、わたくし、今、すみれちゃんのフィギュアを作っていまして・・・」
「と、知美ちゃん、なにを言い出すの?!」
衛くんの目が点になる。
「夏服、冬服、中間服バージョンを企画しておりますの。それから、水着バージョンとパジャマ
バージョンもはずせませんわ。できあがったら、ぜひ、衛くんにも見ていただきたいんですが・・・」
「知美ちゃん!」
もう、はずかしいよぉ!
「・・・(これはちょっとおもしろいかもしれない←エドワードのつぶやき)」
しばらくして衛くんの点になった目が、普通に戻った。
「大道寺さん、モデラー(フィギュアを作る機械のこと)を持っているんだ」
「ええ、ピフル社のICHIROというモデラーです」
「すごいなぁ。そうゆうのなら、A組の三原くんが詳しいと思ったけど」
「そうですの?では、今度、お聞きしてみますわ〜」
話の流れが無難な方向になったので、あたしはほっとした。
- 24 :CC名無したん:04/01/13 13:48 ID:XoMrkVzX
- 三原君っつったらあの三原君だよな・・・w
- 25 :CC名無したん:04/01/13 20:41 ID:S82jMFq+
- 三原くんワラタ
更新乙!
- 26 :CC名無したん:04/01/13 22:18 ID:ZQnurXY/
- >>24
デルタですか?違ってたらごめんなさい。
- 27 :CC名無したん:04/01/14 20:22 ID:VUUwEID2
- >>26
いっちゃんさんのことかとw
- 28 :CC名無したん:04/01/14 22:29 ID:GdwO9xw9
- つーことは、いっちゃんが生きてて、日比谷さんとの間に無事子供が生まれたってことか。
パラレルワールドですな。
- 29 :CC名無したん:04/01/15 22:33 ID:22rPxmCS
- >>27
いっちゃんを忘れてました…。
ご指摘有難うございます。
- 30 :CC名無したん:04/01/16 22:06 ID:iGnYCxKo
- http://ime.nu/www8.ocn.ne.jp/~koniya/3nen/cx1/15.htm
- 31 :126:04/01/19 01:29 ID:LJ2JsDpG
- それから、何日かたつと、知美ちゃんはフィギュア作りがどんなに楽しいか
話してくれるようになった。だんだん、あの機械の使い方がわかってきたらしい。
「フィギュア用の衣装を作るのも、楽しいですわ。すみれちゃんの勇姿がとてもりりしくて」
「・・・」
あたしの頭におっきな汗が浮く。
「これは、というものができましたら、真っ先にすみれちゃんにお見せしますわ。
プチすみれちゃんシリーズとして、商品化も考えてますの」
「そ、そんなぁ。あたしのフィギュアなんて、売れっこないよぉ」
「そんなことはありませんわ。すみれちゃんは、超絶かわゆいんですもの。
でも、マーケットリサーチも必要ですわね。モニターには衛くんがよろしいかと・・・」
「ど、どうして、そんなことになるの!」
あたしは、耳までまっかになってしまう。そんなあたしを見て知美ちゃんは
「ほほほほほ・・・」
と、いつものように笑っていた。
ところで、そのころから、あたしの体調がおかしくなった。
なんとなく、だるかったり、朝起きるのがつらかったりする。
- 32 :126:04/01/19 01:31 ID:LJ2JsDpG
- 「あれ?」
あたしはまっしろな部屋にいる。部屋にはベッドがひとつ。
(これ、ときどき見る、龍平の夢だ)
「龍平?」
ベッドに寝ているのは・・・わからない。
誰かが寝ているようなんだけど、わからない。
「あれ?」
あたし、なんの夢を見ているんだろう。何度も見ているはずなんだけど・・・
「おねえちゃん、おねえちゃん!」
あたしは、聞き覚えのある声で目が覚めた。
「・・・龍平?」
あたしを起こしたのは、龍平だった。
「おねえちゃん、もう朝だよ」
「ほぇ?あたし、あんたより寝ていたの?」
龍平に起こされるなんて、初めてだ。
「ほんとう、驚いたよ。目が覚めたら、いつもいるはずのおねえちゃんがいないんだもの。
早く起きないと、遅刻しちゃうよ」
「そ、そうだった」
あたしは、もそもそっと起きた。
「ありがとう、起こしてくれて。すぐに着替えるから」
けれど、なんかからだがだるい。熱があるわけでもないけれど、力が抜けている感じがする。
- 33 :126:04/01/19 01:32 ID:LJ2JsDpG
- その日は、クラブがある日だった。
「ようし、型の練習は終わったな。では、いつものように、組み手を行おうと思う」
顧問の小見(おみ)先生が声をかける。
「じゃ、衛と木之本、君たちが1番上手だから、みんなに手本を見せてくれ」
「はい」
衛くんとあたしは、立ち上がった。
「「よろしくお願いします」」
あいさつをして、構えをとる。けれど、そのときのあたしは、かなりつらかった。
(だめ・・・集中できない・・・気を整えなきゃ・・・)
・・・ふらっときた。
「木之本さん!」
衛くんが駆け寄ってきた。
「うみゃ〜っ」
あたしは、衛くんに抱きつくように倒れこんだ。
「だいじょうぶ?」
(衛くんって、暖かいんだ・・・)
安心して、あたしは気を失った。
- 34 :CC名無したん:04/01/19 22:32 ID:udJjX8Sn
- こ、これはまさか。
- 35 :CC名無したん:04/01/22 11:06 ID:Rs8i25PX
- 更新キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
乙彼ー
- 36 :126:04/01/26 01:11 ID:UEM6Q+Ed
- (予想以上に魔力を消耗している)
保健室のベッドで寝込んでいる、すみれを見ながらエドワードは思った。
小見先生と、保健室の先生は、龍平を探しに行っている。
(このままでは、すみれさんが危ない。ぼくの力で魔力を補充しよう)
そう思ったとき、保健室のドアが開いた。
「おねえちゃん!」
龍平が駆け込んできた。
「おねえちゃん、どうしたの?」
「クラブの練習中に、とつぜん倒れたんだ。熱とかはないみたいだから、風邪ではないみたいだけど」
説明しながら、エドワードはとまどった。
(しまった。龍平くんのいる前で、魔力を使うわけにはいかない)
そして、姉の様子を見た龍平もとまどった。
(おねえちゃん、魔力が消耗してる!けど、魔法のことを衛くんに知られるわけにはいかない。
ここはなんとか、ごまかさないと)
「・・・よくわかんないけど、とにかく、ママに連絡して、お医者さんに診てもらうよ」
龍平は、ケータイを取り出した。
- 37 :126:04/01/26 01:13 ID:UEM6Q+Ed
- 龍平からの電話を受けて、さくらはすみれを施麗芸(シー・ライワン)の病院に運んだ。
「どうですか、しぃ先生?」
「なにかの力によって、すみれちゃんの魔力が奪われています。回復剤を投与しましょう」
「どうなるんですか、おねえちゃんは?」
「お薬をあげるから魔力は回復するわ。けれど、なぜ魔力が奪われたかがわからないと
また、悪化するかもしれない・・・龍くんは、なにか心当たりないかしら?」
「う〜ん」
龍平は腕組みをして、考え込む。
「わからないよ。学校にはクロウ・カードの気配はないし・・・」
「さくらさんは?なにか心当たりはありませんか?」
「い、いいえ。けさはちょっと魔力が弱いなって思いましたけど、こんなになるなんて・・・」
さくらも、首を横に振る。
ピンポーン
そのとき、病室のチャイムがなった。
さくらがインターフォンの受話器をあげると、画面に大道寺知美の姿が映る。
「知美ちゃん!」
「こんにちは、さくらさん。すみれちゃんが急に倒れられたと聞いて、お見舞いにうかがいましたの」
「ありがとう。よく来てくれたわね。入ってちょうだい」
カチャッ
「すみれちゃん、だいじょうぶですか?」
病室のドアを開けた知美を迎えたのは・・・予想外なものだった。
- 38 :CC名無したん:04/01/26 23:48 ID:O7ooHSsD
- 126氏乙! ミラーのお留守番の方も面白かったですよ。
∩
( ⌒) ∩_ _グッジョブ !!
/,. ノ i .,,E)
./ /" / /"
_n グッジョブ!! ./ /_、_ / ノ'
( l _、 _ / / ,_ノ` )/ / _、 _ グッジョブ!!
\ \ ( <_,` )( /( ,_ノ` ) n
ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ |  ̄ \ ( E)
/ / \ ヽフ / ヽ ヽ_//
- 39 :CC名無したん:04/01/27 18:14 ID:kzMlY/g4
- よし、今日は126氏のSSを9割形読み終えたぞ。
- 40 :126:04/02/02 01:21 ID:jbIlWitm
- 「み、みなさん、どうなさいましたの?」
3人の視線が、知美に集中していたのだ。
「すみれちゃん、あなた、なにを持ってきたの?」
さくらが、知美に聞いた。
「お見舞いのお花と、お菓子と・・・」
「その、バッグに入っているものは、なに?」
知美は、花とお菓子をそばのテーブルに置くと、バッグからそれを取り出した。
「・・・すみれちゃんのフィギュアです。昨晩、やっと満足のいくものができあがって、
それをすみれちゃんに見ていただきたくて・・・プチすみれちゃんといいますの・・・」
「見せてちょうだい!」
さくらの口調がいつになくきつい。
「これは・・・!」
「ええ!」
「おねえちゃんの魔力だ!」
3人が、すみれのフィギュアを見ながら言った。
- 41 :126:04/02/02 01:22 ID:jbIlWitm
- 「よく聞いて、知美ちゃん。すみれちゃんが倒れたのは、なにかによって魔力を奪われたからなの。
そして、このフィギュアに、すみれちゃんの魔力が移っているのよ」
「では、このプチすみれちゃんがすみれちゃんのご病気の原因ですの?」
「それは違うと思います」
施が言った。
「このフィギュアには、そのなにものかが奪った、すみれちゃんの魔力が残っているだけです。
すみれちゃんから魔力を奪ったものは、別にいるはずです」
さくらは、施のことばにうなずいた。
「知美ちゃん、教えてほしいの。このフィギュアはどうやって作ったの?」
「自宅にフィギュアを作る機械がございまして、それで作りましたけど・・・」
「その機械、様子が変なことはなかった?」
「そういえば、最初のうちはなかなか思うようなフィギュアができあがりませんでしたが、
数日前から、急にうまくできるようになりました」
「その機械があやしいわね」
さくらは、施に向かって
「しぃ先生。これから、わたしたちは知美ちゃんのお家に行って、その機械を見てきます。
しぃ先生は、すみれのそばにいてください」
「はい」
「お願いします。じゃ、龍くん、知美ちゃん、行きましょう」
- 42 :126:04/02/02 01:23 ID:jbIlWitm
- 「これは・・・」
知美の部屋に入ったさくらと龍平はことばを失った。部屋中にすみれのフィギュアが並んでいたのだ。
「夏服、冬服、中間服に、体操服、水着やパジャマ、浴衣姿もあるわ」
さくらと龍平の頭に大きな汗が浮いた。
「ええ、数日前から思い描いていたとおりのフィギュアを作れるようになって、夢中で作りましたの」
確かにフィギュアの出来はすばらしい。
あまり詳しくない龍平も、これなら欲しい、と思ってしまうほどだ。
「ママ、全部のフィギュアから、おねえちゃんの魔力を感じるよ」
「そうね。これだけ魔力を奪われたら、すみれちゃんが倒れてしまうのも仕方ないわ」
さくらは、知美に聞いた。
「知美ちゃん、フィギュアを作る機械はどこにあるの?」
「こちらです」
知美が、となりの部屋に案内する。
「この機械ですわ」
「ママ、この機械からクロウ・カードの気配がする!」
「やっぱり、この機械のせいなのね」
さくらは、星のペンダントを取り出した。
「どうなさるんですか?」
知美が、モデラーの前に立ちはだかった。さくらが答える。
「その機械についているカードを封印するのよ」
「封印したら、このモデラーはどうなるのですか?」
「どうにもならないわ。普通の機械になるだけよ」
「でも、普通のモデラーになったら、もう、プチすみれちゃんは作れないのでは?」
「・・・たぶん、あれだけのフィギュアは、もう作れないでしょうね」
「そんなの、いやですわ!」
- 43 :126:04/02/02 01:25 ID:jbIlWitm
- 「わたくしは、すみれちゃんが大好きです。かわいいすみれちゃん、りりしいすみれちゃん、
すみれちゃんのすべてが大好きです。
そのすみれちゃんを、そのままフィギュアにしようと、何日もの間、がんばってきたのです。
それを、クロウ・カードがついているからといって、フィギュアを作れなくしてしまうなんて、
耐えられませんわ!」
知美は、今にも泣き出しそうだ。
「知美ちゃん、でも、そのカードがあると、すみれちゃんの魔力は奪われてしまうのよ」
「でも、プチすみれちゃんを作れなくなるのは、いやですわ!」
- 44 :CC名無したん:04/02/03 21:56 ID:nIvi0tn5
- 126さん乙ー
ミラーさんとこ共々楽しんでまつ
- 45 :CC名無したん:04/02/14 22:40 ID:tp4v4kZJ
- たまに保守
- 46 :126:04/02/16 00:35 ID:YbLG0rIb
- さくらと知美が押し問答をしていると、龍平が知美の前に歩いてきた。
「龍くん?」
さくらが不思議に思ったとたん、
ぱちーん!!!
という音がした。
龍平が知美に手をあげたのだ。
「龍くん!」
さくらが、龍平を叱ろうとする。だが、そのことばは先が続かなかった。
龍平の目に涙があふれていることに気がついたからだ。
知美は、ぶたれたほおを手で押さえている。
「ぶちましたわね・・・母にもぶたれたことはありませんのに」
「ああ、ぶったよ!」
龍平が叫んだ。
「ぼくだって、ぼくだって、おねえちゃんのことは大好きだ!
だから、おねえちゃんを困らせるようなやつは、ぶってやる!何回でも、ぶってやるんだ!」
龍平のことばは、涙声になっていた。
今にも泣き出しそうな龍平。それは、知美も同じだった。
そして、先に堰(せき)を切ったのは、知美だった。
「ごめんなさい!」
泣き出した知美は、龍平の胸に倒れこんだ。その勢いで、龍平も床に倒れこむ。
「ごめんなさい・・・わたくし・・・わたくし・・・」
知美は、龍平の胸で泣きじゃくった。
- 47 :126:04/02/16 00:36 ID:YbLG0rIb
- やがて、知美の泣き声が小さくなった。
「はい」
知美は、目の前に何かが差し出されたのに気がついた。
「さくらさん・・・?」
さくらが、ハンカチを差し出したのだ。
「もう、いいでしょう?」
知美がうなずいて、ハンカチを受け取る。
「龍くんも困ったものね。女の子を泣かせちゃうんだから」
「ぼ、ぼくは、その・・・」
龍平は顔を赤らめて、うつむいた。
「じゃ、カードを封印しましょう」
「わかりました。では、急いで準備をしますわ」
「準備って、何を?」
「さくらさんの封印の様子を撮影するビデオの準備ですわ!」
ズザーッ!!!(←さくらと龍平がコケる音)
- 48 :CC名無したん:04/02/16 12:15 ID:msBpJysz
- 龍平の修正キター!!
- 49 :CC名無したん:04/02/16 21:48 ID:FzmhL5cS
- >「ぶちましたわね・・・母にもぶたれたことはありませんのに」
己はアムロか!w
- 50 :CC名無したん:04/02/16 22:54 ID:umqQfhbk
- 殴ったね!?(略
- 51 :CC名無したん:04/02/17 23:53 ID:zONJ6sdI
- おもろい。乙です
- 52 :CC名無したん:04/02/19 16:43 ID:+VOyeWGX
- >龍平の修正
ワロタ
- 53 :126:04/02/23 01:55 ID:F3HjUs7K
- 「で、結局、こうなるのね」
カードを変えていたころの姿に戻り、バトルコスチュームに着替えたさくらがつぶやいた。
「大道寺さんがいれば、こうなるっていうのはわかりきっていたことなんだけど・・・」
同じように龍平もつぶやいた。
「すてきですわぁ〜!」
ふたりにカメラを向けながら、知美が言った。
「ママはともかく、どうしてぼくまで着替えなくちゃいけないの?」
「だって、龍くんも超絶かわゆいんですもの〜!」
知美のテンションがもうれつに上がっていく。
なにしろ、龍平はさくら似だ。
友枝小に通っていたころの姿に戻ったさくらと、龍平が並ぶとまるでふたごのようである。
龍平は、姉が大道寺家に残されているビデオを見るたびに
『龍平って、ビデオのママにそっくり!』と言うのを思い出していた。
「ほんとうにすばらしいですわ!おふたりが並ぶと・・・ああ、しあわせ絶頂ですわ〜」
知美のバックに花が咲きほこる。
そんな知美を見て、頭の後ろに巨大な汗が浮くさくらと龍平・・・
「・・・ママ、カードの封印、忘れていない?」
「そ、そうだったね」
ようやく、自分たちのすることを思い出した親子であった。
- 54 :126:04/02/23 01:56 ID:F3HjUs7K
- さくらが呪文を唱えだすと、足元に魔方陣が現れた。
「星の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、さくらが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
星の杖を手にすると、さくらはカードを取り出した。
「ソード!」
「ハァーッ!」
ソードを振り下ろすと、モデラーからクロウ・カードが切り離されて実体化した。
「ママ、今だ!」
「汝のあるべき姿に戻れ!クロウ・カード!」
ピン!という音とともに、星の杖の先で、カードが形づくられる。
まもなく封印されたカードは、龍平の手にすべりこんだ。
「カードは、龍くんの力を認めたんだよ」
さくらがそう言うと、龍平は、手にしたカードを見つめていた。
しばらくして龍平は、さくらにカードを差し出して言った。
「ぼくはカードを使うことができない。だから、やっぱり、このカードはおねえちゃんのだよ」
そのカードは、コピー(模)というカードだった。
- 55 :126:04/02/23 01:57 ID:F3HjUs7K
- 「エドワード、いったい、どういうカードですの?コピーというカードは?」
「その名のとおり、コピーするカードだよ」
「では、どうして、すみれさんの魔力を奪ったりしたのですか?」
「コピーのカードは、儀式で大量に使う、薬や魔符をコピーするために作られたんだ。
ところが、ゴールデン・ドーンの記録によると、そのころのクロウは自分の意思でカードを
作ることが許されていなかった。命令されてカードを作っていたんだ。
クロウは、そこのところが面白くなかったらしい。
できあがったカードは、クロウの魔術がまだ未熟だったせいもあって、
今回のように、細かいところで、余分というか、はた迷惑な力を持つことが多かったんだ」
「それで、すみれさんが、ああなってしまったのですね」
「ああ、それと、大道寺さんがあんなにたくさんフィギュアを作って、カードの力を作動させて
しまうとは思わなかったよ。すみれさんに何かあったら大変だったけど、今回は龍平くんのおかげで
なんとかなったね」
「でも、ちょっと残念ですわ・・・あれだけのフィギュアを、もう作れないとなると・・・」
「・・・何か考えているの?」
「いえ、たいしたことではありませんが」
- 56 :126:04/02/23 02:00 ID:F3HjUs7K
- そのころ、知美の部屋では・・・
「もう、やめてよ。ぼくはいいんだから」
半分泣きそうになっている龍平に、知美が言った。
「もう少しですから、じっとしてくださいな。さぁ、腕を上げて・・・」
知美はてきぱきと龍平のからだを採寸していた。
「さきほどのバトルコスチューム、すこし、肩がきつくてラインがくずれていましたわ。
龍くんのかわゆさを最大限に表現するためには、少しの妥協もしたくありませんの!」
「そんなぁ。ママ、なんとか言ってよ」
「そ、そうね。でも、どうせ作ってもらうのなら、ぴったりの方がいいと思うし」
さくらのことばははっきりとしなかった。知美のテンションに圧倒されたというのもあるが
(ものすごくかわゆいコスチュームを着た龍くんを見てみたい!)
と、言う思いもあったからだ。
「ひらめきましたわ!さくらさん、もう一度、龍くんにウェディングドレスを着てもらうというのは
いかがでしょう?あのときの龍くんはとってもすてきでしたわ!」
ふたりの脳内に、ウェディングドレス選びの時の龍平が浮かび上がった。
「そ、そうね」
思わず、さくらは激しくうなずいてしまう。
「ほ、ほぇ〜っ!」
母に裏切られた龍平の叫びが大道寺邸にこだました。
<すみれとそっくりなプチすみれ:終劇>
- 57 :CC名無したん:04/02/23 11:27 ID:MBHcVHCy
- 126氏乙
今回も最高の物語でした
次回作も期待
- 58 :CC名無したん:04/03/04 22:59 ID:YCmNfEJ9
- 126さま。いつもお疲れさまです。
さすがに2年ちかく連載されますと、ネタ切れに
なって来ませんでしょうか?
そこで一つありきたりな提案ですが、
季節ネタを使用されてはいかがでしょうか?
今の季節なら、ひな祭り。
すみれと龍平が学校のひな祭り大会に出場。もちろん、
お内裏様=すみれ お雛様=龍平
それをうっとりと見つめる知美。そこにカードのいたずらが。
さあどうなる? がんばれすみれ! かわいいぞ龍平!(笑)
このネタはご自由に改変されて結構です。がんばってください。
- 59 :CC名無したん:04/03/05 13:25 ID:yIdqNKwI
- ホリックの侑子さんとかは出ないんですか?
- 60 :CC名無したん:04/03/05 22:20 ID:sc56UcM4
- 58ですが、少しネタの詳細追加を。
「ひな祭り大会」というのもなんか変な話ですが、
そのような行事=ミスコンみたいなカップルコンテスト(?)が
行われるという設定。学校でも地域でもいい。
(いや、地域(友枝町)のカップルコンテストがいいか。)
もちろん結果としては、お内裏様=すみれ お雛様=龍平 ということになるんですが、
当初二人は お内裏様=龍平 お雛様=すみれ という予定。
ところがそうは問屋がおろさないのが知美ちゃん。
知美ちゃんが甘言を弄して二人の衣装を用意する。
コスチュームに着替え終わった姉弟が(自分たちの姿に)唖然としている
ところに、カードの気配がする。
お雛様姿の龍平がさらわれそうになる。すみれたちが追いかける。
ここまで書いたら、なんだか自分が書きおろす方がいいような…(笑)
- 61 :CC名無したん:04/03/06 14:37 ID:NIu4UOit
- 原案58氏、執筆126神 すみれとさくらとひなまつり(仮)
- 62 :CC名無したん:04/03/07 00:22 ID:Ah5VBiLD
- なんだか不思議な流れだが
126氏は126氏で好きなように書いてくれ
- 63 :126:04/03/22 02:41 ID:74VyPDFF
- ケロちゃんにおまかせ!
みな、元気か!
これさえ見れば元気もりもり、花粉症も吹き飛ばす
ケロちゃんにおまかせの時間がやってきたでぇー!
今日はすてきなアイディアをお寄せいただいた >>58 さんに >>126 からの伝言があるでぇ!
伝言は、わいがこうやってもらっとる。なになに・・・
「季節ネタは、2ヶ月前には振ってもらわないと間に合わないです」
なんや、いけずな返事やなぁ。3週間も待たせてこないな返事か。
けど、>>58 さん、気ぃ悪うせんといてぇやぁ。
>>58 さんのゆうたとおりに話始めると、わいがせっかくはっておいた伏線が台無しに
なってしまうんや。なんせ、龍平が○×☆しまうと、すみれは≒лЩなってしまうさかい。
まぁ、すみれとの話も少し空いてしもうたけど、新学期からは放送も始まることやし、
これからも、わいのナイスで小粋な大活躍をたぁーっぷりとお見せするでぇ!
みなも新学期はがんばりぃな!
ほななぁ〜。
- 64 :126:04/03/22 02:41 ID:74VyPDFF
- 次回予告
ほぇ〜!
知美ちゃんが、あたしと龍平のフィギュアをコンテストに出品したんだって!
しかも、張(チャン)教授と桃矢おじさんが、審査員だなんて。
あたしたちが会場になった友枝美術館に行くと、そこには魔力の気配が。
たいへん!このままだと美術品がなくなっちゃうよ!
カードキャプターすみれ さくらと小狼のこどもたち
すみれの怪盗初挑戦!?
次回もすみれと一緒に
さくらと一緒に
封印解除(レリーズ)!
- 65 :CC名無したん:04/03/22 10:16 ID:8GaTE7S7
- ケロおまでキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
- 66 :CC名無したん:04/03/22 11:38 ID:7Ry98uRM
- サンプル動画あり■★■北朝鮮50分女子小学生 女子中学生 女子高
http://page6.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f18429991
■★■北朝鮮美少女ビデオ:女子小学生女子幼稚園児
http://page7.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/g16866383
- 67 :CC名無したん:04/03/22 22:48 ID:qyJChVHo
- 久々の更新キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
126氏乙です。
- 68 :CC名無したん:04/03/25 21:27 ID:X8eBP1cD
- 久々の126氏キテタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!
>わいがせっかくはっておいた伏線
っていうのがひじょーに気になります。先のことになると思いますが、
どうなるのか今から期待してます。(*´Д`)
まずは次回、楽しみです!
- 69 :126:04/04/01 22:52 ID:rs+BEguv
- 「おうおう、よく食うなぁ。誕生日だっていうのに」
「おにいちゃん!」
「桃矢、だめだよ。せっかくのさくらちゃんの誕生パーティなんだから・・・
あ、ごめんね。ついさくら『ちゃん』って呼んじゃって」
「いいんです、気にしませんから」
雪兎おじさんの言葉に、ママがあわてて首をぷるぷると横に振る。
「まぁ、いくつになっても怪獣なんだからな」
「さくら、怪獣じゃないもん!」
みんなが、どっと笑う。今日は、ママのお誕生日。パパとあたしと龍平、それに藤隆おじいちゃんや
桃矢おじさん、雪兎おじさん・・・とにかくみんなが集まってパーティを開いている。
みんなにお祝いされて幸せそうなママ。そして、そんなママを見つめているパパも幸せそうだ。
「みなさん、ありがとうございます。お仕事や学校を終わってから来ていただいて」
「いや、平日でよかったよ」
桃矢おじさんが、意地悪そうに言う。
「もし、こんなパーティを日曜日にやっていたら、俺たちは料理作りで疲れ果てて
パーティどころじゃなかったぞ」
「ご、ごめんなさい!」
思わず、あたしはあやまった。今日の、ママの誕生パーティの料理、あたしと龍平とパパで
作るつもりだったんだけど、作り始めたら、材料が足りなかったり失敗したりで、
結局、藤隆おじいちゃんや桃矢おじさんに手伝ってもらったんだ。
というより、半分以上はふたりに作ってもらったぐらいだ。
(それにしても、木之本家って、どうして、みんな料理がじょうずなんだろう)
あたしがそんなことを考えていると、
- 70 :126:04/04/01 22:53 ID:rs+BEguv
- 「ほんとうにおめでとう、さくらさん」
藤隆おじいちゃんが口を開いた。
「これからも、小狼くんと、すみれさん、龍平くん、みんなと元気で仲良く暮らしてくださいね」
「ありがとう、おとうさん」
ママは、おじいちゃんにもらった花束とプレゼントを手に取りながらお礼を言った。
「残念なんですが、私たちは明日から発掘の準備がありますから、そんなにゆっくりできません。
そろそろ、桃矢くんたちと帰ろうと思うんですが」
「あ、じゃ、その前に、デザートを出しますから、それを食べていってください」
あたしは、あわてておじいちゃんに言った。
「デザートだけは、おねえちゃんが作ったんです」
龍平が余計なことを言う。
「『だけ』ってなによ!『だけ』って!他にも作ろうとしたけど、その、分量を間違えたり
焦がしたりで・・・」
「すみれさんは、がんばったんですね。じゃ、そのおいしいデザートをいただいてから
帰りましょうか」
「は、はい!今、持ってきます!」
あたしは、冷蔵庫の方に行った。
そして、フリーザのドアを開けると・・・
- 71 :126:04/04/01 22:55 ID:rs+BEguv
- 「・・・どうしよう。まだ、凍っていない・・・」
あたしが作ったジェラートはまだ凍っていなかった。時間が足りなかったんだ。
「・・・こんなの、食べてもらえないよ・・・!」
その時、あたしは魔力の気配を感じた。そして、小さな声を聞いた。
(フリーズ)
すると、ジェラートが見る見るうちに凍っていった。これなら、おじいちゃんたちに
食べてもらえそうだ。
「ありがとう、ママ。来年の誕生日パーティは、きっとおいしい料理やデザートを作れるように
なるからね」
あたしは、どこかに隠れているはずのママにそう言って、ジェラートの盛り付けを始めた。
<誕生日番外編:終劇>
今日は誕生日だということを思い出して、あわてて書きました。(ネタ切れ中の 126)
- 72 :CC名無したん:04/04/01 23:24 ID:FyvPXtC/
- キナスッタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
ほのぼのいいのう
- 73 :CC名無したん:04/04/03 02:23 ID:g+Tt1GHU
- 126氏キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
ネタ切れとのことで非常に苦しまれている中、こういうほのぼのネタありがと
うございます。
(就活でストレス貯まりっぱなしの私にはいいですわ〜)
- 74 :CC名無したん:04/04/04 22:55 ID:RmwGsOX+
- >>「さくら、怪獣じゃないもん!」
私も笑わせてもらいました。
このほのぼの感、良すぎです。情景が目に浮かぶわ・・・・。
ところで、前スレがdat落ちしてだいぶ経つけど、過去ログ倉庫にもまだないね。
いつhtml化するんだろう?
前スレで読めなかったところがあるから、ちょっと気になって・・・・。
- 75 :CC名無したん:04/04/05 00:33 ID:q7pJHRhj
- 126氏、乙です!
- 76 :126:04/04/05 01:05 ID:T39EncFn
- 「じゃあ今日のホームルームはこれで終わり。みんな、またあしたね」
神宮司先生のことばで1日の授業は終わった。今日はクラブもないし・・・と思っていると
あたしは声をかけられた。
「木之本さん」
「なに?衛(ウェイ)くん?」
「今度の日曜日、空いてる?」
いきなりそんなことを聞かれてあたしはちょっとあわててしまう。
ひょっとしたら顔が赤くなっているのかも・・・
「え? と、特に決まっていないけど・・・」
「これ、おばあちゃんからもらったんだけど」
差し出されたのは、1枚のチケット。
「・・・『友枝フィギュア・コンテスト』?衛くん、フィギュアって、そんなに詳しくないって
言ってたよね?どうして、こんなチケット持ってるの?」
「うん、ぼくはね。実はおばあちゃんがそのコンテストの審査員をしてるんだ」
「そ、そうなんだ」
あたしもフィギュアには詳しくないので、どう答えたらいいのかわからないくて困っていると
「それは、奇遇ですわ!」
知美ちゃんが目をキラキラさせて、話に入ってきた。
「わたくしも、すみれちゃんをお誘いしようと思っておりましたの」
見ると、知美ちゃんの手にも同じチケットがあった。
「知美ちゃん、どうしてそんなチケットを?」
「フィギュアを出品いたしましたの。出品者は2枚チケットをいただけますのよ!」
「出品って、まさか・・・あたしのフィギュアを出品したなんて・・」
「そのとおりですわ!」
- 77 :126:04/04/05 01:07 ID:T39EncFn
- あたしと衛くんの頭におっきな汗が浮いた・・・
「大道寺さん、木之本さんのフィギュアを出品したの?」
「はい。すみれちゃんと龍くんのフィギュアを出品いたしました」
「???」
あたしと衛くんの目が点になる。
「ど、どうしてあたしだけじゃなく、龍平のフィギュアも?」
「この前、さくらさんといっしょに龍くんのデータもお取りしましたから」
「ママといっしょに?」
そう言えば、この前、龍平がコピーのカードさんをあたしに渡してくれたときに、
そんなことを言っていた。
衛くんが不思議そうに言う。
「でも、このコンテストって友枝美術館の主催だから、フィギュアの題材を美術品から
とらないとダメなんだよね。
木之本さんのフィギュアを出品するのって、無理があるんじゃないかな?」
「ええ、そのためか、参加賞しかいただけませんでしたわ〜」
「「そ、そうなんだ・・・」」
意味のない知美ちゃんのテンションに、あたしと衛くんの頭におっきな汗がまた浮いた。
そして、あたしはあることに気がついた。
「でも、題材が美術品っていうと、あまり参加者がいないんじゃない?
フィギュアって、だいたいアニメやゲームのキャラを使うんだし・・・」
「そうなんだよ。それでチケットが余っていて、おばあちゃんが木之本さんにも、って
チケットをくれたんだ。来てくれたら、お礼にうちでアフタヌーンティーをしたいって
おばあちゃんが言っていたよ」
「そうなんだ」
- 78 :126:04/04/05 01:08 ID:T39EncFn
- 張(チャン)教授の入れてくれるお茶はとってもおいしいんだ。
お茶につられたってわけでもないけど、あたしは、衛くんのチケットをもらうことにした。
「では、このチケットは龍くんに渡してくださいな」
「え?龍平も?」
「ええ、わたくしはこれからクラブがありますから、すみれちゃんにお願いします」
その時、校庭から衛くんを呼ぶ、クラスの男の子たちの声がした。
「衛くん、そろそろサッカー始めるよ!」
「ああ、今行くよ!じゃ、木之本さん、チケットもらってくれてありがとう。
それにしても、おばあちゃんがフィギュアの審査をするなんて、思ってもみなかったよ」
そして教室を出て行く衛は、小さな声でつぶやいた。
(それに、あんなことも考えているなんて・・・ね)
- 79 :CC名無したん:04/04/08 22:59 ID:LEPJUIXc
- おっと、もう更新されてる。
しかしすみれと龍平のフィギュアを出品するとは何考えてるんだ(w>知美
願わくば俺が一体欲しい(;´Д`)
今回の件でエドワード一派が何やらいろいろ企んでそうなヨカン。どうなることやら。
- 80 :CC名無したん:04/04/11 15:30 ID:EdqQrtHL
- いまさらだけど、126さんの>>69-71に付け加えで一筆させてもらいます。
「すみれ。ちょっといいか?」
ママのお誕生パーティーもお開きとなり、帰り支度を始めたパパがあたしを呼んだ。
「何? パパ」
(いいから、ちょっと来い)
急に小声になったパパ。
あたしの視線の先にいるパパは、なんだか気まずそうな顔をしていた。
(悪いが、これをあとで、さくらに渡してくれ)
と、パパがあたしに差し出したのは、一通の手紙。
「ほえ? どうして?」
(・・・・俺の性格をわかってるなら、そんな事は聞くな)
パパは、顔が真っ赤になっていた。今のパパ、なんか可愛い。
「パパ。これってもしかして」
(シッ! とにかく、確かに渡したからな。頼むぞ、すみれ)
「はいはい」
- 81 :CC名無したん:04/04/11 15:33 ID:EdqQrtHL
- パパが香港へ帰って行った後、あたしは自分の部屋で、パパがあたしに託していった
手紙をこっそり開いて見た。
短い文章の漢文だったけど、あたしでも読めた。
----------------------------------------------------------------------
さくら、誕生日おめでとう
こんな事を面当向かって言えないから、手紙に託す
俺は直接、おまえ達を助けてやる事ができないのはわかっていると思う
これからも、すみれや龍平の事を頼む
施先生にもよろしく言っておいてくれ
いつか、俺がおまえ達と毎日一緒に暮らせる日が来るといいな
我 愛 汝 これからも
李 小 狼
----------------------------------------------------------------------
読んでいて、あたしまでどきどきしてきた。
これって、完全にラブレターじゃない。
「すみれぇ? ちょっと降りてきて」
一階からママの声が聞こえた。
「あ、はぁい!」
あたしは手紙をまた封筒に入れ直すと、わたわたと一階に降りて行った。
ママに、いつ渡そうかな? ・・・・パパからの恋文。
- 82 :CC名無したん:04/04/11 15:41 ID:EdqQrtHL
- 以上です。
駄文乱筆スマソ
- 83 :126:04/04/12 01:02 ID:EgmzwYcf
- 「ただいまーっ」
「おかえりなさい、すみれちゃん」
「お腹すいたーっ。おやつ、おやつ」
あたしは冷蔵庫に直行する・・・と、
「ほぇ?」
ダイニングのテーブルに、見覚えのあるものを見つけた。
「ママ、これって?」
「『友枝フィギュア・コンテスト』のチケットよ」
「それはわかるけど・・・どうして?ママはフィギュアって興味ないでしょ?」
「おにいちゃんがくれたの」
「桃矢おじさんが?桃矢おじさんが来てたの?」
「うん。おばあちゃんのホログラムを直しに来てたの」
そして、ママはその時のことを話し出した。
- 84 :126:04/04/12 01:03 ID:EgmzwYcf
- 「よし・・・と。これでビデオドライバの更新が済んだぞ」
「ありがとう、おにいちゃん。わたし、こーゆーのは全然にがてだから」
まもなく、ふたりの目の前に母親の姿が浮かび上がった。
「こんにちは、おかあさん。わたしたちは、きょうも元気です」
さくらが、再び現れた母親のホログラムに語りかける。
2、3日前から、その機械の調子が悪くなった。原因は、父親の家にあるサーバーが
バージョンアップして、うまく同期が取れなくなったためだった。
ドライバの更新ボタンをクリックすればいいのだが、さくらはそういうのは
すべて桃矢にまかせていたのだ。
「うまくいったようだな」
「うん。ありがとう。今、お茶を出すから飲んでいかない?」
「ああ。たまには、怪獣の出すお茶でも飲んでみるか」
「えへ」
桃矢は不思議に思った。
「どーした?いつものリアクション(『さくら、怪獣じゃないもん!』のこと)がないじゃないか」
「今日はね、ちょっと違うの。張(チャン)教授に教わった方法で、お茶を入れたんだ。
飲んでみて。おいしいんだから」
「そっか。張教授か」
桃矢は近くにあったいすに腰をかける。
「張教授と言えば・・・さくら、今度の日曜日、空いているか?」
「特にないけど・・・なんで?」
お茶を用意しながら、さくらが答える。
「実は、頼み事があるんだ」
桃矢は胸ポケットから何かを出すと、テーブルに置いた。
- 85 :126:04/04/12 01:05 ID:EgmzwYcf
- 「『友枝フィギュア・コンテスト』のチケット?おにいちゃん、なんでこんなものを持ってるの?」
「いろいろあってな、審査員をやってるんだ」
「おにいちゃん、あんまりヲタクっぽいことしない人だと思っていたけど」
「このコンテストは、友枝美術館が主催なんだ。うちの大学から、俺と張教授が審査員という
かたちで参加してるんだ」
「審査員って、おにいちゃん、フィギュアわかるの?」
「あんまし。ただ、フィギュアのテーマがアニメやゲームじゃなくて、美術品なんだ。
俺たちの審査は、フィギュアの衣装やジオラマの時代考証がメインになる」
「ふーん」
アニメなどのヲタク産業が、マスコミの経済面で取り上げられたり、政府が補助金を出すように
なってからずいぶんになる。今度のコンテストもそういったものなんだろうな、とさくらは思った。
「それで頼み事って?」
「張教授が、俺にコンテストにはかすみといっしょに来てくれと言うんだ。教授も、あの
エドワードって子を連れてくるそうだし、終わったらいっしょにアフタヌーンティーをしたいんだと」
「それなら、行ってもいいわね」
「かもな」
桃矢が飲みかけのティーカップをテーブルに置きながら言った。
「・・・と、いうわけなの」
「そうなんだ。あたしもチケットをもらっているんだ」
あたしは、衛くんと知美ちゃんからもらったチケットをママに見せた。
「じゃあ、みんなでいっしょに行きましょう。おいしいお茶もいただけるし」
「うわーい!楽しみ!」
- 86 :126:04/04/21 00:42 ID:AGjCiT9G
- そして、コンテストの日。
あたしたちは、友枝美術館にあるコンテスト会場に向かっていた。
会場になっているホールに行くには、いろいろな絵が展示されている廊下を通っていく。
「ママ・・・じゃなかった、かすみちゃん、こっちだよ」
龍平が、かすみちゃんになっているママに声をかけたとき、
「あや?」
ママが足を止めた。
「どうしたの?」
「この絵・・・」
ママが、1枚の絵を見つめている。窓の外から女の子が部屋の中を見て笑っている絵だ。
絵の説明には『微笑み 橘 天海 作』と書いてある。
「ママ、この絵、ほんの少しだけどカードの気配みたいなの感じるよ」
「よく気付いたわね。この絵には、サイレントのカードが付いていたのよ」
「そうなんだ」
ママは、ここでもカードさんを封印していたんだ。
あたしは、知美ちゃんのおうちで見たビデオを思い出した。
確か、シャドーのカードさんを使って封印したんだよね。
- 87 :126:04/04/21 00:43 ID:AGjCiT9G
- 『微笑み』の絵を過ぎて、会場に向かっていくと
「おねえちゃん、あれ、大道寺さんじゃない?」
「本当だ。知美ちゃん・・・」
あいさつをしようとすると、知美ちゃんはおとなの男の人と熱心に話をしている。
「・・・よく知っているね。そんなことを」
「では、もうひとつお聞きしたいのですが、御社では格闘技も楽しめるタイプのフィギュアを
開発中だとか・・・」
「ど、どうして、そんなことを!?」
男の人はちょっとパニックになっている。
「お〜い、おがたぁ〜」
突然、声がすると、その男の人はあわてだした。
「チ、チーフが呼んでる!ごめん、また、今度ね!」
男の人は会場に向かってダッシュしていった。
「おはよう、知美ちゃん」
「おはようございます、みなさん」
「知美ちゃん、今の人は?」
「コンテストを後援しているピフル社の方ですわ。フィギュアのことなどをお尋ねしてましたの」
「新製品とか、聞いていたの?」
「それもございますが・・・今、母とピフル社の買収を検討しておりますの」
「「「ほぇ?」」」
よくわからないけど、あたしたちの頭におっきな汗が浮いた。この親子って・・・
- 88 :126:04/04/21 00:45 ID:AGjCiT9G
- 「よっ!」
その時、あたしたちは声をかけられた。桃矢おじさんだ。
すぐそばには、張教授と衛くんもいる。
ママが、
「おはよう。久しぶりだよね、衛くん」
とあいさつすると、衛くんは顔を真っ赤にしてうつむいてしまう。
「お、おはよう」
「ほぇ?」
ママは、そんな衛くんを見て、不思議そうだ。
(ほんとう、たいへんですわね)
知美ちゃんが、そっとあたしにささやいた。
(さくらさんは、ふんわりですから)
(知美ちゃん?)
(母が申しておりました。さくらさんは、とってもふんわりなので小狼さんもたいへんでしたって)
(ママがふんわりって?)
あたしがそう聞くと、
(ほほほほほ・・・)
知美ちゃんは、楽しそうに笑っていた。
「それでは、みなさん、そろそろ時間なので会場に入りましょう。わたくしと木之本助教授は
審査員なので、あちらの方に参ります。みなさんは、そちらの受付からどうぞお入りください」
張教授がそう言うと、あたしたちは会場に入っていった。
- 89 :CC名無したん:04/04/21 18:58 ID:ekOtAO2T
- 乙!
おがた(w
- 90 :CC名無したん:04/04/21 20:40 ID:MiN5ZKYn
- 乙
いつもながらすばらしいですな
- 91 :CC名無したん:04/04/22 01:37 ID:6BM7DwOK
- おがた(wキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
126さんのはこういった所に遊び心があって、いつも楽しんでます。
ありがとうございます。
- 92 :CC名無したん:04/04/23 22:21 ID:SoYJ6Xai
- 乙。
おがたなにしてんだw
そして買収を考える親子ワラタ
- 93 :CC名無したん:04/04/24 10:26 ID:ghda38UA
- チーフってことはやっぱりいっちゃんだよな・・・。
- 94 :126:04/05/09 22:59 ID:GnlAh5DM
- 「チケットをお見せください。座席をご案内します」
あたしたちは、受付で案内された。
(ラッキーかも・・・)
あたしの席は、衛(ウェイ)くんのとなりだった。
たぶん、衛くんからもらったチケットだから、続き番号だったんだろう。
そして、知美ちゃんと龍平が隣どうし、ママは入り口のそばの席になった。
「かすみさんの席とは離れちゃったね」
ママのほうを見ながら衛くんが言う。あたしはちょっとおもしろくなかったけど、
「仕方ないよ。チケットで席が決まっているみたいだし」
「そうか。それじゃ仕方ないね」
(それにあの席のほうが都合がいいし)
そのときのエドワードのつぶやきは、すみれには聞こえなかった。
- 95 :126:04/05/09 23:01 ID:GnlAh5DM
- コンテストが始まった。
けれども・・・その、やっぱり、あたしにはつまらなかった。
興味のないおはなしをずーっと聞かされるのは、つらい。
桃矢おじさんや張教授も、つまらなそうだった。
ただ、審査員のひとりが、「にょろ〜」としているのはおもしろかった。
あとで知美ちゃんから聞いたんだけど、にょろ〜としていたおじさんは、
ピフル社で新製品の開発をしている、とてもすごい人だそうなんだ。
「では、最優秀賞の発表を行いたいと思います。発表は、友枝美術館長でもあり、本コンテストの
審査委員長でもある橘優希さんにお願いします」
やっと、コンテストも終わりだよ〜、これでアフタヌーンティーが楽しめるよ〜、と思ったその時、
(これは・・・クロウ・カードの気配だ!)
(ママ!)
あたしはママの方を見た。ママはあたしの方を見てうなずくと、席を立って会場を出ていった。
ママもカードの気配がわかったんだ。あたしも席を立とうとしたけど
「どうしたの、木之本さん?もうすぐ、発表だよ」
衛くんが、あたしの顔をのぞきこんだ。
「う、うん」
(どうしよう・・・クロウ・カードが現れるかもしれないのに・・・)
あたしは、席にすわりなおすしかなかった。
- 96 :126:04/05/09 23:03 ID:GnlAh5DM
- 「・・・誰も見ていないわね」
さくらは、まわりに誰もいないのを確かめた。そして、星のペンダントを取り出すと
「星の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、さくらが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
そして、カードを取り出した。
「我の姿を映し、もうひとりの我となれ、ミラー!」
現れたミラーに、さくらは言った。
「クロー・カードの気配がするの。わたしは外で見張るから、ミラーさんは会場に戻って。
すみれちゃんやおにいちゃんがいるから、何かあったら助けてあげて」
「はい」
ミラーが会場に戻るのを見届けると、さくらはもう1枚のカードを取り出した。
「フライ!」
「気配がだんだん強くなっている・・・」
友枝美術館の上空にさくらはいた。
「さくら〜っ!」
「ケロちゃん!来てくれたのね!」
「なんや、このごっつい気配は・・・」
「わかんない。さっきからだんだん強くなってきているの」
「すみれは?」
「コンテストの会場よ。席が奥だから出てこられないのよ」
「こないな時に・・・」
- 97 :CC名無したん:04/05/15 18:47 ID:UAlbVzkk
- 更新キテタ
にょろ〜(w
- 98 :☆ INFOMATION ☆:04/05/16 07:37 ID:KeQbn2ty
- 当スレの関連スレ「ミラーのお留守番」がcomic4鯖に移転しました。スレ番はそのままで、URLの頭をcomic4.2ch.netに書き替えれば閲覧できます。
- 99 :126:04/05/17 00:57 ID:pBfVmIr5
- (あれは、ミラーさんだ)
会場に戻ってきたのは、ママではなくてミラーさんだった。
(ということは、ママは外にいるんだ)
その時、クロウ・カードの気配が一段と強くなった。
(来る!)
あたしが、そう思ったとき、館内に警報が鳴り響いた。
「なんなんだ!」
「なにが起こったんだ!」
会場がざわついた。
「落ち着いてください!みなさん、落ち着いて、席でお待ちください!」
司会者の人が一生懸命に会場のみんなを落ち着かせていた。
そのころ、友枝美術館の警備センターはパニックになっていた。
「何が起きたんだ?!」
「わかりません!美術品の防犯センサーが反応しています!誰かが美術品を展示場所から動かそうと
しています!」
「ほとんどすべてのセンサーが反応しています!」
「すべての作品に?!」
「防犯カメラには異常ありません!何も映っていません!」
「どういうことなんだ?!」
とにかく、異常事態だった。
- 100 :126:04/05/17 00:57 ID:pBfVmIr5
- 「さくら、これは?」
「スルーのカードだわ。友枝美術館にある、美術品をどこかに持ち去ろうとしているのよ!」
「そやけど、なんでや?」
「わからない。けど、なんとかしなくちゃ」
さくらは、カードを取り出した。
「シールド!」
友枝美術館全体が、シールドに包まれた。
(ママ、カードを使ったんだ)
あたしは、会場でいらいらしていた。クロウ・カードがなにかを起こそうとしているのは
わかるんだけど、隣には衛くんがいるし、入り口までの席にはいろいろな人がすわっているから、
出ていけない。龍平も、心配そうにあたしのほうを見つめている。
(何が起ころうとしているんだろう?)
あたしは、クロウ・カードの気配とママの魔力の気配が強くなっているのを感じながら、
ただすわっているしかなかった。
- 101 :126:04/05/17 00:59 ID:pBfVmIr5
- 「さくら、だいじょうぶか?!」
「だ、だいじょうぶ!」
友枝美術館の上空で、さくらたちは叫んでいた。
「主のいないスルーは、何かをスルーさせようとする。そのときの力は、ごっつう強いんやで!」
「わかってるよ!」
さくらは杖を握りなおした。
友枝美術館を守る、シールドがブルブルと震えている。スルーの魔力から美術品を守っているのだ。
「お願い、さくらといっしょにがんばって!」
さくらは、さらに魔力を集中させる。
だが、スルーの力もさらに強まった。
「負けるな、さくら、根性見せてみぃ!」
だが、さくらにケルベロスの声に応える余裕はない。その表情がさらに厳しくなった。
「ほぇ?」
ふっと、スルーの力が弱くなった。思わず、さくらの気も緩んでしまった。
「あかん!」
次の瞬間、スルーの力が戻った。そして、1枚の絵がシールドを突き破る。
「やられた!」
「あ、あの絵は!」
その絵は、あっという間に、スルーの持つ空間の中に消えていった。
- 102 :126:04/05/24 01:34 ID:Qf91EW8t
- 「・・・ったく。今日はさんざんだったな」
桃矢おじさんがぼそっと言った。
「仕方ないですよ。コンテスト中にあんな騒ぎになるんだもの」
龍平が桃矢おじさんに言った。
「確かに仕方ないけれど・・・アフタヌーンティーがお流れになったのは、残念だったな」
あたしも、そうつぶやいた。
もう夕方になろうとしている。
カードの気配とママの魔力の気配がして、そしてその気配がふっと消えたとき、友枝美術館では
1枚の絵が盗まれたということで大騒ぎになってしまった。
あたしは、ママにケータイで連絡をとろうとしたんだけど、だめだった。美術館って、
鑑賞のじゃまにならないように、ケータイが使えなくなる妨害電波が使われているんだ。
それで、コンテストの方はなんとか終わったんだけど、警察さんが来て、取調べが終わるまで、
あたしたちは会場で待つしかなかったんだ。
「残念ですが時間も時間ですし、アフタヌーンティーは次の機会にということにしませんか」
「そうですね。今日は、私がこの子たちを送りますから」
「わかりました。わたしは、この子(エドワード)と帰ります。木之本助教授は、みなさんを
よろしくお願いします」
そんな桃矢おじさんと張(チャン)教授の会話の後、あたしたちは公園の中を歩いている。
- 103 :126:04/05/24 01:36 ID:Qf91EW8t
- (さっきの気配は確かにクロウ・カードの気配だった。
絵が盗まれたのも、きっとそのカードのせいなんだ)
あたしが考え込んでいると、桃矢おじさんが、ポンっとあたしの肩をたたいた。
「元気ないな」
「え・・・そんなこと・・・ないです」
「腹すいてるのか?」
「そ、そうですね」
考えてみたら、確かにお腹がぺこぺこだ。
「そっか。じゃ、今日はひさしぶりに、俺が晩飯でも作ってやるか」
「いいんですか?」
桃矢おじさんは、料理がとても上手なんだ。
「まぁな。せっかくの機会だ。すみれや龍平も、いつも怪獣の作る飯ばっかり食っていないで、
たまには、ちゃ〜んとしたもんを食わないと・・・」
桃矢おじさんがそう言いかけたとき、
「な〜んですってぇ〜!」
「うゎっ!」
ママが突然現れた。
「だれが怪獣ですって!」
かすみちゃんの姿のままで、ママが桃矢おじさんにつめよる。
「おお!怪獣さくらのどん現る!」
「さくら、怪獣じゃないもん!」
ママと桃矢おじさんの、お約束の会話だった。
- 104 :CC名無したん:04/05/24 13:43 ID:jr+Mz0Eq
- キタワァ━━━━━━(n‘∀‘)η━━━━━━ !!!!!
- 105 :CC名無したん:04/05/28 21:32 ID:8yqw/TCI
- 126氏、乙
- 106 :CC名無したん:04/05/29 02:58 ID:I9fvKosj
- 126氏キテタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
かすみちゃんに癒されました(*´Д`)
- 107 :126:04/05/31 01:34 ID:eGBYxUxe
- 「キィーッ!!!」
ママがキレて、桃矢おじさんに蹴りを入れようとする。これもお約束だ。
桃矢おじさんって運動神経はばつぐんなんだけど、なぜかママの蹴りだけは入っちゃうんだ。
そのとき、
「あの・・・さくらさん」
ミラーさんだ。
「おにいさまは、すみれさんを元気づけようとして、ああおっしゃったんだと思います」
ミラーさんのことばに、ママが固まった。
そして、蹴りを入れようとしていた足を下ろして、そろえなおした。
「そ、そうだよね」
ママは照れくさそうにミラーさんを見た。
桃矢おじさんは、そんなママとミラーさんを見比べたあと、ミラーさんに
「サンキュ」
「いえ、とんでもありません」
ミラーさんは、少しうつむいたけど、そのほおは赤くなっていた。
「すてきですわ」
「と、知美ちゃん!」
いつのまにか、知美ちゃんがそんなミラーさんたちを撮影していた。
「ミラーさんの優しさも、1秒たりとも見逃せませんわ!」
「きょうもビデオを持っていたの?」
「もちろんですわ」
知美ちゃんがビデオを持っているなんて、あたしは今の今まで気がつかなかった。
いったい、いつもどこに持っているんだろう。
- 108 :126:04/05/31 01:37 ID:eGBYxUxe
- 「みんなぁ〜、ここにおったか〜」
「ケロちゃん!」
そのとき、ケロちゃんがあたしたちの方にやって来た。
「ケロちゃん、来ていたの?」
「ああ、クロウ・カードの気配がしたときから来とった」
「ひょっとして、ママといっしょだったの?」
「そや。けど、騒ぎがあってから、美術館は立入禁止になってしもうたやろ?
ケータイも通じんし、わいら、すみれたちが出てくるまであっちの方で待っとったんや。
そしたら、突然さくらが『なんですって!おにいちゃん!』と叫んだかと思うと、
ごっついスピードで、わいのところからダッシュして行きよったんや」
「そ、そうなの・・・」
あたしは、ママが怪獣ということばにとっても敏感だということがよ〜くわかった。
「とにかく、みんな無事だったようやな」
「うん。ところでケロちゃん、さっきの騒ぎって、やっぱりクロウ・カードなの?」
あたしが聞くと
「そうや。スルーのカードのしわざや」
「スルーって、通り抜けるって意味だよね?」
「その通りや。主のいないスルーは、何か気に入ったもんを見つけたら、それを自分の中に
通り抜けさせようとする。今回は、なんでか知らんけど、友枝美術館の展示品をねらったようやな」
「じゃ、さっき、あたしが感じた、ママとカードの気配は?」
「さくらが、スルーさせないようにシールドのカードで守ったんや。
そやけど、カードの方が1枚上手(うわて)やったな」
「そうね」
ママがうなずいた。
- 109 :126:04/05/31 01:39 ID:eGBYxUxe
- 「スルーの力は、ごっつう強力なんや。さくらでさえ、本気でかからんとだめやった。
けど、急に力が弱くなってな」
ケロちゃんが、ママの方を見る。
「思わず、ママも力を抜いてしまったの」
「そしたら、急に力が戻ってな、あっというまに1枚だけ絵がスルーしてしもうたんや。
フェイントをかけられたんやな」
「・・・そんな。ママの力でもダメだなんて・・・そんなカード、封印できるかな?」
あたしは心配になった。
ケロちゃんは、あたしの正面にまでやってきて、腕を組んだ。
「すみれの心配ももっともや。さくらがスルーを封印したときも、7日だか8日かかって
やっとの思いで封印したんや」
「そ、そうなんだ」
あたしは、ますます心配になった。
「けど、そないに心配せんでもええ。スルーのカードを封印する方法はわかっとるでぇ。
なぁ、さくら!」
「ママ、ほんとうなの?」
「そうよ。だから、ケロちゃんの言うとおり、よけいな心配をする必要はないわ」
そのとき、
「・・・この気配は?」
「スルーのカードの気配や!カードのやつ、1枚の絵しかスルーできんかったさかい、
がまんできずに出てきたんやな。すみれ、さくら、カードキャプターの出動やで!」
「「うん!」」
- 110 :CC名無したん:04/06/02 03:56 ID:GnVye4Lx
- 126氏キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
毎回毎回、良作だと思います。
本当にお疲れさまです。(*´∀`)
それとありがとうございます。
- 111 :126:04/06/07 01:39 ID:P4IqDFqK
- ママは星のペンダントを取り出した。足元に魔方陣が現れる。
「星の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、さくらが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
そしてあたしの足元にも魔方陣が現れる。ピアスが耳からはずれて、目の前に移動する。
「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
カードの気配がだんだん強くなっていく。
「カードはあっちの方や。すみれ、さくら、ちゃっちゃと行くでぇ!」
ケロちゃんが空へ飛んでいった。
「ケロちゃん、待ってったら・・・フライ!」
あたしとママはケロちゃんをフライのカードさんを使って、ケロちゃんを追いかけた。
「おふたりとも・・・りりしいですわ〜」
空を行く親子を幸せそうに撮影する知美を見ながら、
(地上から撮っているはずなのに、後から見せてもらうと、なぜか上空からのアングルに
なっているんだよね)
そうは思いながらも、なぜかそのツッコミを口に出せない龍平だった。
- 112 :126:04/06/07 01:41 ID:P4IqDFqK
- 「ねぇ、ケロちゃん、スルーのカードさんって、どんなふうにして封印するの?」
ケロちゃんに追いつくと、あたしは聞いた。
「主(あるじ)のいないスルーは、何かを自分の中に通り抜けさせようとする。
スルーを封印するには、スルーの中に入って、通り抜けずに入り口に戻るんや。
そうすれば、スルーのカードは、入り口まで戻ったもんの力を認めるさかい、封印できるんや」
「そうなんだ。でも、どうしてママが封印するのに、長い時間がかかったの?」
「スルーの中に飛び込むってことは、スルーの世界に入るっちゅうことや。
そやから、そん中では、スルーの力がごっつう強うなるんや。
さくらがなかなか封印できんかったのも、フライやジャンプでは、ぜんぜん、入り口まで戻れなくて、
出口までスルーされてしまったんや」
「じゃ、どうやって封印したの?」
「ウッドや」
「ウッドさんで?」
「8日めやったかな、さくらが、スルーん中でウッドをめいっぱい繁らせよった。
そしたら、スルーのやつ、風邪ひいて、のどがいがらっぽくなったときみたいに、
わいらがじゃまになったんやな。スルーのやつ、思わずせき込みようにして、
わいらを入り口に戻しよったんや」
「そっか」
「すみれもウッドのカードを持ってるやろ?今回は、さくらとふたりでウッドのカードを使えば、
一発で封印や!」
「「うん!」」
- 113 :126:04/06/07 01:42 ID:P4IqDFqK
- さくらさんたちの姿が見えなくなったころ、あの人が私に尋ねました。
「さくらたちが封印しに行ったのは、スルーとかいうカードだと言ったな」
「はい」
「通り抜ける、って意味のスルーだよな」
「はい」
「ひょっとして、星篠高校で、さくらが空中から抜け落ちて来たときのカードか?」
「はい」
私がそう答えると、あの人の表情が険しくなりました。
「あの時、君がいたからこそ、さくらは大丈夫だったんだ。今回は、大丈夫か?」
「さくらさんとすみれさんなら、きっと、大丈夫です」
私は笑顔を作って、答えました。けれども、やはりわかっていたのでしょうか、
あの人の表情は厳しいままでした。
「どうしたんですか?」
龍平さんと大道寺さんが心配そうに聞いてきました。
「さくらたちが心配だ。龍平、龍平はカードの気配はわかるか?」
「うん。学校の方向から感じるよ」
「よし、行こう」
私たちは友枝小学校へ向かいました。
- 114 :CC名無したん:04/06/07 21:07 ID:lPbAkA/V
- キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
>地上から撮っているはずなのになぜか上空からのアングルに
ワラタ
乙です!
- 115 :CC名無したん:04/06/09 22:18 ID:tUvnZhHi
- ミラーと桃矢もキテル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
アアアア続きが待ち遠しい…
- 116 :126:04/06/14 01:55 ID:boKNdDFf
- 「ケロちゃん、あれを見て!」
あたしは、魔力が強くなっているところを指差した。空に黒いうずまきのようなものが浮いている。
「あれが、スルーや。よっしゃ、中に飛び込むでぇー!」
「気をつけて、すみれちゃん。中に入ったら、ママといっしょにウッドを使うのよ」
「わかったよ、ママ」
「行くでぇー!!!」
あたしとママとケロちゃんはスルーのカードの中に飛び込んだ。
「す、すごい」
中はどうくつのようだった。スルーの魔力の流れがとても強い。
「いいわね、すみれちゃん」
「うん」
ママの声にあわせて、あたしはウッドのカードさんを取り出した。
「「木々よ、緑に繁り、我の助けとなれ!ウッド!」」
あたしのママのウッドさんから、木の枝がもうれつな勢いで伸びていく。
「そうや、その調子や!スルーの中いっぱいにウッドを繁らせるんや!」
- 117 :126:04/06/14 01:56 ID:boKNdDFf
- 「ここだよ。カードの魔力を1番強く感じるのは」
私たちは、友枝小学校の校庭にいました。日曜日ですから、私たちの他には誰もいません。
龍平さんも、カードの気配を感じる力は持っているようでした。
「はい、さくらさんたちは、この近くに現れると思います」
「ところで、さくらさんがスルーのカードを封印するときに、ミラーさんが何かされたのですか?」
大道寺さんが、あの人に聞きます。
「一瞬のことでよくわからなかったが・・・ミラー、説明してくれないか」
「はい。おそらく、さくらさんたちは、今、スルーのカードの中にいると思います。
スルーのカードを封印するためには、その中に一度入って、スルーしないで入り口に戻らなければ
ならないからです・・・ですが、スルーの中では、スルーの力が一番強いのです。
さくらさんとすみれさんの魔力では、入り口に戻れないでしょう」
「じゃ、あの時、君がしたのは・・・」
「あの時、私は鏡に戻りました。そして、スルーから抜けてきた、さくらさんたちを
同じ力で反射したのです。ですから・・・」
「そうか、それで・・・」
あの人は、ようやく納得したようでした。
「では、今回も、ミラーさんのお力で、すみれちゃんたちを入り口に戻せば、封印できる、
というわけですね。すばらしいですわ〜」
そうおっしゃる、大道寺さんのとなりで、龍平さんが難しい顔をしていました。
「だめだよ、ミラーさん、そんなことをしちゃ!」
「・・・えっ」
- 118 :126:04/06/14 01:58 ID:boKNdDFf
- 「ぼくには、わかる。今度はだめだよ、ミラーさん」
「・・・」
私は、ことばを返すことができませんでした。
「どういうことだ、龍平?」
あの人の質問に、龍平さんが答えました。
「今度、そんなことをしたら、ミラーさんが割れてしまうんだ」
「なんだって?!」
「ママの時は、ミラーさんは、ママとケロちゃんだけをはね返せばよかったんだ。
けれど、今度は違う。ママとお姉ちゃんとケロちゃんをはね返さなくちゃいけないんだ。
お姉ちゃんの魔力も、ママと同じぐらい強いから、そんなに強い魔力をはね返そうとしたら、
ミラーさんがもたないよ!だから、だめだよ、ミラーさん!」
「・・・」
やはり、龍平さんにはわかってしまったようです。ですが、
「・・・ですが、このままでは、さくらさんたちが地面に激突してしまいます。
私がいれば、たとえ私になにかあっても、さくらさんたちは大丈夫です」
「だめだよ、ミラーさん!」
「やめろ、何か他の方法を考えるんだ」
「・・・ありがとうございます。カードの私をこんなに大切にしていただいて・・・
でも、私はカードですから・・・それに、もう、時間がありません。
ほんとうに、ありがとうございます・・・」
そして、私は真の姿である鏡に戻りました。
「ミラー!」
「・・・しっかり、私を支えてください・・・さくらさんたちを助けられるように・・・」
私は、真の姿のままで、あの人にお願いしました。
- 119 :CC名無したん:04/06/19 19:39 ID:hTN5IwFa
- 126氏キテタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
工エエェ(´д`)ェエエ工
ミラーたんが!ミラーたんが!
゚・(ノД`)・゚・( ノД)・゚・゚( ノ)・゚・( )・゚・(` )・゚・(Д` )・゚・( ノД`)・゚・
いや、126氏だったら最後はハッピーエンドで終わると思う!
いずれにせよ次回期待してます(;´Д`)
- 120 :CC名無したん:04/06/20 11:49 ID:kFgRd8Re
- その意見に完全に同意です!
- 121 :126:04/06/28 01:52 ID:MpXWweEY
- あたしとママのウッドさんから伸びた枝が、スルーの中全体に広がっていく。
「そうや、その調子や!カードキャプターの根性見せたれ!」
ケロちゃんのテンションが上がっていく。
「もっとや!枝が広がれば、スルーはわいらを押し流せんようになるんや!」
やがて、スルーの魔力の流れが弱くなってきた。
「うまくいった?」
「まだ、油断できないわ」
ママのことばに、あたしは杖を握りなおした。
「もう少しや!根性見せたれ!」
ケロちゃんのテンションが、さらに上がっていく。
そして、あたしたちはスルーの中で止まったようだった。
「止まった?」
「まだや。入り口まで戻れんと、スルーを封印できへん。油断しないで、もっと枝を繁らすんや!」
「「わかった!」」
あたしとママは、杖に力をこめる。
けれど、突然、スルーの魔力が強くなった。
「入り口に戻れるの?」
ママがケロちゃんに聞く。
「そのはずや」
次の瞬間、あたしたちはずんっ!とまた同じ方向に押し流され出した。
「ほ、ほぇ〜っ!」
- 122 :126:04/06/28 01:54 ID:MpXWweEY
- (ほ、ほぇ〜っ!)
「お姉ちゃん!」
「龍くん、どうなさいました?」
「今、お姉ちゃんの声が」
「まぁ、わたしには何も聞こえませんが」
不思議がる大道寺さんに、私が答えました。
「私にも聞こえました。今のは、すみれさんの声です。スルーのカードの中から魔力の媒体を
伝わったものですから、魔力がない人には聞こえません」
「さくらとすみれは大丈夫なのか?」
あの人が聞きました。
「今は大丈夫です。・・・もうすぐ、おふたりはこの近くの空間から押し出されてきます。
おふたりを私の力ではねかえすことができれば・・・」
「だから、だめだよ、ミラーさん!そんなことをしたら、ミラーさんが割れちゃう!」
「どうにかならないのか?」
「・・・私がはね返さなければ、おふたりはきっとけがをしてしまいます。ですから」
「ですからって・・・それじゃ、だめなんだよ!」
龍平さんの声がうわずります。こんな龍平さんを見るのは初めてです。
「あれを・・・黒いうずまきが・・・」
大道寺さんが空を指差しました。
「・・・あそこから、さくらさんたちが現れます。もう、本当に時間がありません。
さくらさんたちを助けられるように、しっかりと私を支えてください」
「・・・ミラー・・・」
「お姉ちゃん、ミラーさんを助けて!」
- 123 :126:04/06/28 01:55 ID:MpXWweEY
- (お姉ちゃん!)
「ほぇ?今のは龍平の声?」
あたしは、突然、龍平の声が聞こえたのでびっくりした。
「ケロちゃん、今、龍平の・・・」
あたしが、そう言い終わらないうちに魔力の流れがまた激しくなった。
「ほえ〜っ!」
もう、ママとケロちゃんがどこにいるのかわからない。
ウッドさんでは、うまくいかないんだ。
このままでは、あたしたちはどこかに流されてしまう。それじゃ、だめなんだ。
「そうだ!」
あたしは、別のカードさんを取り出した。
「ロープ!」
あたしの杖から、ロープが伸びていく。
スルーの中にはロープをひっかけるようなところはなかった。
入り口まで、ロープを伸ばさなければいけないんだ。
(お願い。入り口まで伸びて!早く!)
けれども、あたしを押し流す、魔力のスピードはますます上がっていった。
「ほぇ〜っ!間に合わないよぉ!」
- 124 :126:04/07/12 01:16 ID:cg6E9l+D
- 「うずの流れが速くなった!お姉ちゃんたちが、出てくるんだ!」
龍平が、空を指差す。
「来ます!」
ミラーの声と同時に、空間から魔力の流れが噴き出してきた。
「流れが、ふたつに分かれてる!」
スルーの中で、すみれがロープのカードを使ったため、すみれのスルーされるタイミングが
変わってしまったのだ。ひとつの流れはミラーへ、もうひとつの流れは龍平へと向かっていく。
(これは、お姉ちゃんだ!)
自分に向かってくる魔力の流れを見て、龍平は思った。
(逃げちゃいけないんだ。ここでぼくが逃げたら、お姉ちゃんが地面にぶつかっちゃう!)
龍平は、両手を伸ばして姉を受け止めようとした。
「龍くん!」
知美の叫びが響き渡った。
その次の瞬間、
「すみれ、だいじょうぶか!?」
- 125 :126:04/07/12 01:17 ID:cg6E9l+D
- 「すみれ、だいじょうぶか!?」
「ケロちゃん!」
あたしは、ケロちゃんの声で気がついた。気を失っていたようだ。
「なんとか・・・だいじょうぶみたい・・・ママは?」
「さくらもだいじょうぶや。少し先を飛んでおるでぇ!」
ロープを使った後、スルーの魔力の流れが急に速くなったのは覚えている。
「どうなったの?」
「さくらの時とおんなじや。スルーのやつ、わいらを入り口に戻しとる。
ウッドを繁らせたんが、今回もうまくいったんや。この流れが弱まらんうちに、入り口に急行やで!」
「うん!」
あたしは、フライのカードさんを取り出した。
「フライ!」
フライで飛んでいくと、ママの背中が見えてきた。
「ママ!」
「もう少しで入り口よ。すみれちゃんもがんばって!」
「うん!」
「そうや、その調子や。カードキャプターの根性見せたれ!」
あたしは、杖を握りなおした。
そして、あたしたちはスルーの入り口から抜けることができた。
振り向くと、空間がうずを巻いている。封印するなら、今だ。
「汝のあるべき姿に戻れ!クロウ・カード!」
あたしは、封印の杖を振りおろした。
- 126 :126:04/07/12 01:18 ID:cg6E9l+D
- まもなく封印されたスルーがカードになって、あたしの手にすべりこんできた。
「やったぁ!」
「よくやったわね、すみれちゃん」
ママもうれしそうだ。そして、ケロちゃんも・・・
「ほぇ?ケロちゃんは?」
あたしはケロちゃんの声が聞こえないので、まわりを見渡した。
「うぐうぐ」
あたしの頭の後ろから、ぐぐもった声が聞こえてくる。
「・・・なに?」
あたしはちょっとこわくなった。けれど、声がするのは頭のすぐ後ろだから見えない。
「ケロちゃんよ」
ママが、笑いをこらえながら言った。
「すみれちゃんは封印中にフライのカードを使えないから、すみれちゃんが落ちないように、
ケロちゃんが、口でえりをつかんでいるのよ」
「そっか」
「うぐうぐ」
ケロちゃんのうぐうぐが大きくなった。
「すみれちゃん、早く、フライのカードを使って。ケロちゃん、大変だから」
「ご、ごめんなさい」
あたしは、急いでカードを取り出した。
「フライ!」
- 127 :126:04/07/12 01:19 ID:cg6E9l+D
- 「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ほんま、しんどかった・・・」
あたしがフライさんを使うと、ケロちゃんはようやく、えりから口を離してぜぇぜぇしていた。
「ありがとう、ケロちゃん」
「・・・ほんま、気ぃつけえやぁ。さくらのとちごうて、すみれのフライは杖に羽を生やすタイプ
なんやから、いきなり空中で封印なんてしよったら、落ちてまうんやで」
「ごめん、ごめん。これから気をつけるよ」
「すみれちゃん、上を見て!」
そのとき、ママがあたしに言った。
「上って、何?」
見上げると、何かがゆっくりと落ちてくる。あたしは、手を伸ばして、それを取った。
「ママ、これって・・・」
「スルーがスルーした絵よ。よかった、戻ってきて」
それは、けさ、ママが見つめていた『微笑み』という絵だった。
「まだかすかにサイレントの気配が残っとる。そやから、スルーのやつ、仲間やと思って
あないに強引にスルーさせたんやな」
「じゃ、スルーさんって、悪いカードってわけじゃないんだね」
「そういうこっちゃ。次は、どうにかして、この絵を返さなあかんな。
それには、まず、地上に降りて考えよか」
「うん」
あたしたちは、絵が風に飛ばされないように、ゆっくりと地上に降りていった。
それまで気がつかなかったけれど、あたしたちがいたのは友枝小学校の上空だった。
「あれは・・・龍平と知美ちゃん?」
- 128 :CC名無したん:04/07/12 08:51 ID:nlvAiki8
- 126氏乙
- 129 :CC名無したん:04/07/13 17:58 ID:xA5SYS8T
- 小狼君、誕生日おめでとう!
- 130 :126:04/07/26 00:34 ID:Q+NRr3zg
- 「ママ、お姉ちゃん、だいじょうぶ?」
あたしたちが地面に降りると、龍平が心配そうに聞いてきた。
「だいじょうぶよ。でも、どうして龍くんと知美ちゃんが、ここにいるの?」
ママが聞き返すと、知美ちゃんが
「龍くんがカードの気配を追いかけて、ここに来たのですわ。すみれちゃん、ご無事でしたか?」
「うん、なんとか、スルーのカードを封印できたよ。スルーされた絵も戻ったし」
あたしは、龍平と知美ちゃんに絵を見せた。
「すばらしいですわ〜。でも・・・」
知美ちゃんが、ため息をついた。
「すみれちゃんがカードを封印するところを撮影できませんでした・・・」
知美ちゃんがブルーになると、ややこしくなりそうなので、あわてて、あたしは話題を変えた。
「ところで、桃矢おじさんとミラーさんは?」
「ミラーさんがお疲れなので、桃矢おじさまとふたりで、先にすみれちゃんのお家に戻られました」
「ミラーさんが?」
ミラーさんが何かしたのかな?と思って、あたしがそう聞くと、龍平がなにか言おうとしたけど
「それは・・・あとでお話しますわ」
「「ほぇ?」」
あたしとママは、顔を見合わせた。
- 131 :126:04/07/26 00:35 ID:Q+NRr3zg
- ここで、時間が少しさかのぼります。
「龍くん!」
大道寺さんの声を聞いたその時、私の身体は強烈な衝撃を受けました。
鏡である私が、さくらさんとケルベロスさんを包んだ魔力の流れをはね返したのです。
次の瞬間、私はさくらさんの姿に戻ろうとしました。
「お、おい、だいじょうぶか?」
あの人の声が聞こえてきます。ほんの一瞬のはずなのに、とても長い時間のようでした。
すっかり魔力を消耗してしまった私を、立てなくなるほどの眠気が襲ってきます。
(あれは・・・?)
薄れていく意識の中で、私は龍平さんを見ました。
「お、おい、しっかりしろ!」
あの人の声が遠くなっていきます。
「・・・だ・・・い・・・じょ・・・ぶ・・・さ・・・く・・・ら・・・さ・・・ん・・・も・・・
す・・・み・・・れ・・・さ・・・ん・・・も・・・」
私の意識は、そこで途切れたようでした。
「ミラー!」
- 132 :126:04/07/26 00:36 ID:Q+NRr3zg
- (今のは・・・?)
その時龍平は、自分の両手を呆然と見つめていた
「ミラー!」
桃矢は、意識を失ったミラーを力いっぱい抱きしめた。桃矢の声を聞いて龍平は我に返った。
「ミラーさん!」
ミラーと桃矢のところに、龍平と知美がかけよった。
「・・・馬鹿野郎・・・」
そんな声にならない桃矢の声を聞きながら、龍平はミラーのひたいに手をあてる。
「まだ、魔力を感じる。おじさん、ミラーさんはだいじょうぶだよ」
「・・・ほんとうか?・・・」
「うん。まだ魔力が残っている。ママの魔力が途切れなければ、時間がたてば回復するよ」
「・・・そうか・・・」
3人は、ミラーの顔をのぞきこんだ。
「とても、お優しい寝顔ですわね」
「ああ」
知美のことばに、桃矢はうなずいた。
- 133 :126:04/07/26 00:37 ID:Q+NRr3zg
- 「さくらもすみれも無事なようだ。この子が言っていた」
「では、ミラーさんがさくらさんたちをはね返すことができたのですね?」
「ううん。ミラーさんが反射したのは、ママとケロちゃんだけだ」
「「え?」」
龍平のことばに、桃矢と知美は驚いた。
「お姉ちゃんは、ぼくがはね返したみたいだけど・・・」
「はね返したみたいって?」
「よくわからないんだ」
龍平は自分の両手を見ながら、答えた。
「さくらさんとすみれちゃんは、まだカードを封印しているはずです。おじさまはミラーさんを
連れて、先に戻られてはいかがでしょうか?」
知美の提案に、桃矢は答えた。
「いいのか?」
「ええ。さくらさんたちが戻られるまで、もう少しかかると思いますわ。
車を呼びますから、それをお使いください」
「ありがとう」
知美はケータイを取り出した。
30秒もたたないうちに、黒塗りの車が見えてきた。
- 134 :CC名無したん:04/07/26 17:31 ID:b9vCra28
- ひっさびさにキタ━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━!!!!
龍平に何があった━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━!!??
- 135 :CC名無したん:04/07/26 20:12 ID:o5y0n9dE
- ミラーたん(;´Д`)ハァハァ
- 136 :CC名無したん:04/08/06 12:49 ID:XvJEDedK
- ageとくか。おもろいし。
- 137 :126:04/08/09 01:32 ID:yNyOUf6D
- 話は戻ります。
「この絵は見たことがありますわ」
「知美ちゃんも知ってるの?」
「ええ、母の撮ったビデオにありましたわ。さくらさんがサイレントを封印した時の絵ですわ。
そのとき、絵を元に戻そうとしていた橘さんが、今の美術館の館長ですのよ」
「ほぇ?あの優希ちゃんが?」
知美ちゃんの話を聞いて、ママがびっくりしていると
「それより、この絵、どうするの?返さなくちゃいけないんだよ」
龍平が心配そうに言った。
「カードのことは信じてもらえないだろうし・・・」
龍平の言うとおりだ。
「このまま返しに行ったら、ぼくらが泥棒にされちゃうよ」
「泥棒!」
ママの頭の上に、電球が点いた。ずいぶん昔風だ。
「龍くん、それだよ!」
「ママ?何か思いついたの?」
ママはあたしの質問に答えないで、知美ちゃんに言った。
「知美ちゃん、お願いがあるの」
- 138 :126:04/08/09 01:34 ID:yNyOUf6D
- その夜のこと。
「では館長、私はお先に失礼します・・・あの、明日も早くなると思いますので、館長も早く・・・」
「ありがとう。私も、もう少ししたら帰ります」
秘書の気遣いに感謝しながら、橘は答えた。
「では、お先に失礼します」
ドアが閉じられると、橘は椅子にすわりこんだ。
「・・・・・」
今日は長い1日だった。友枝フィギュア・コンテストの開催中に鳴り響いた警報。
そして警報が鳴り止んだときには、最も貴重な絵が館内から消えていたのだ。
そして、その騒ぎを受けて深夜まで続いた、館内の調査、警察の捜査、マスコミへの対応。
今、やっとそれらが途切れたのだ。
「・・・パパ」
その絵は、美術品として貴重なだけではない。彼女の父が彼女のために描いてくれた絵でもあるのだ。
幼いころに、この世を去った父。彼女は、大好きだった父と同じ画家になろうとした。
しかし、彼女は画家としての才能には恵まれなかった。それでも美術史と経営学を修めて、
大好きな父の絵のある、友枝美術館の館長となることができたのだ。
そのときだった。
「ひさしぶりやなぁ〜」
突然、館長室に声が響き渡った。
- 139 :126:04/08/09 01:36 ID:yNyOUf6D
- 「覚えとるかぁ〜わいはここの守り神やぁ〜」
「な、なに?」
驚いていると、壁に影絵が浮かび上がった。
「こ、これは・・・」
この影絵には見覚えがあった。
「思い出してくれた、腹話術?」
もうひとり、聞き覚えがある女の子の声がした。
「あ、あなたは?」
いつのまにか人影があった。手に、ぬいぐるみと杖を持っている。
「おひさしぶり、優希ちゃん、あ、橘さんって呼ばなきゃいけないかな?」
「う、うそ?あのときの怪盗?」
思い出した。誰かにいたずらされていた父の絵が元に戻ったときにいた怪盗が、そこにいたのだ。
「で、でも、どうやってここへ?」
驚くのも無理はない。館長室に来るには、セキュリティシステムを突破しなければならないのだ。
だが、さくらたちはスルーを使ってここまで来ていた。
「わたしたちは華麗なる怪盗ですもの」
となりに、もうひとりの女の子がいた。知美だ。
「あなたたちは・・・」
信じられなかった。父の絵が元に戻ったのは、もう何十年も前のことだ。
それなのに、目の前に現れたふたりは、あのときのままだった。服装も年齢も・・・
- 140 :126:04/08/09 01:38 ID:yNyOUf6D
- 驚いている橘に、さくらは言った。
「ごめんなさい。きょうの騒ぎは、わたしたちの仲間が引き起こしたの」
「あなたたちの仲間って・・・」
さくらは振り向いて
「来て」
さくらの後ろから、もうひとりの怪盗が現れた。さくらと同じ服装を着ている。すみれだった。
「ほんとうにごめんなさい。絵はお返しします」
すみれは、絵を差し出すとペコリと頭を下げた。
「あ、ありがとう」
思わず、橘も絵を受け取る。
「確かに・・・これはパパの『微笑み』・・・」
「じゃあ、橘さん、確かに絵はお返ししました。わたしたちはこれで帰ります。いつまでも元気でね」
「あ、あの」
「わたしたちは華麗なる怪盗ですもの。ぐずぐずしていて捕まるわけにはまいりませんの」
「お父さんの絵、大切にしてください」
すみれが最後のことばをかけると同時に、さくらとすみれは再びスルーを使った。
「どうやら今回の事件は、これでおさまりそうですわね」
「ああ、現場をいくら調べても何も出てこないし、橘さんも、さくらさんたちのことを話すわけには
いかないし、捜査は迷宮入りだろうけど、絵が戻ったから、それで終わりになるだろうね」
「ところでエドワード、すみれさんを反射したのは?」
「発動が間に合ってよかった。また騒ぎになるんだろうけど」
「楽しそうですわね」
「ああ」
- 141 :126:04/08/09 01:40 ID:yNyOUf6D
- そのふたりの影が消えたころ、さくらたちの姿が公園に現れた。
「楽しかったですわ。さくらさんとご一緒していた、母の気持ちがわかりますわ」
知世おばさんの服を着た、知美ちゃんはほんとうに楽しそうだ。
「それにしても、あの時と同じコスチュームで絵を返しに行くなんて、さくらも、
おもろいことを考えつくもんやな」
「うん、龍くんが『ぼくらが泥棒にされちゃうよ・・・』って言ったから、思いついたんだ。
それに知世ちゃんがバトルコスチュームを全部とってあるのを知ってたから。
知美ちゃん、すみれちゃんのコスチュームを用意してくれてありがとう」
「そんなことなら、おやすい御用ですわ」
そのとき、あたしのケータイの着メロが鳴った。龍平からだ。
「龍くんから、なに?」
「ミラーさんが目を覚ましたって。それに、桃矢おじさんがおやつを作って待っているそうだよ」
「わ〜い、おやつやぁ!」
ケロちゃんが喜ぶ。
「それでは、ミッション・コンプリートですわね、すみれちゃん」
「うん!」
<すみれの怪盗初挑戦!?:終劇>
- 142 :CC名無したん:04/08/09 03:39 ID:Fy0UOXcM
- 126さん乙です。
- 143 :CC名無したん:04/08/09 03:43 ID:Fy0UOXcM
- ついでに、1の過去ログが読めない人のために。
ttp://makimo.to/2ch/comic_sakura/1019/1019101668.html
- 144 :CC名無したん:04/08/09 09:43 ID:nyOi+9Mo
- >>126
乙です
- 145 :CC名無したん:04/08/12 12:11 ID:lFpc+lyO
- >>143も乙。
- 146 :126:04/08/15 23:07 ID:vxTot53J
- 次回予告
いつもの時間に目が覚めた、日曜日の朝。
寝ぼけた頭でクローゼットに行くと、お気に入りの服がなかったの。
おかしいなぁ?お洗濯に出したのかな?と思いながら
朝ごはんを食べに1階におりて行くと
ほぇ〜!あなたは?
カードキャプターすみれ さくらと小狼のこどもたち
すみれともうひとりのすみれ
次回もすみれと一緒に
さくらと一緒に
封印解除(レリーズ)!
- 147 :126:04/08/15 23:09 ID:vxTot53J
- ということで、次回のお話は前スレ 561 氏のお話の続きです。
- 148 :前スレ561:04/08/15 23:11 ID:vxTot53J
- 「…」
金曜日の夜、あたしはのんびりとテレビを見ていた。
そして後ろに貼りつくように座っているのは
「すみれちゃ〜ん…怖いよ〜、他の番組にしようよ〜。」
「ママ、そんなに怖いならあっちの部屋に行っていればいいのに。」
そう、この番組は色んな「怪談」をドラマにして放送しているのだ。
「だって…一人になった途端、このお化けが出てきそうで…。」
「ケロちゃんに一緒に居てもらえば大丈夫でしょ。」
「それは…そうだけど…。」
そんな事を言っている番組が進行し、別のお話になる。そのタイトルは…
「「二人の自分」?なんだろう」
「やっぱり…また怖いのだよね〜。」
話が進行するうちにタイトルの意味が分かってきた。
「ドッペル・ゲンガーやな、これならさくらも怖ないやろ」
何時の間にか部屋に入ってきていたケルベロスが解説する。
そういえばママの座っている位置が少し遠くなっている。
「なんせさくらは身をもって体験したからなぁ」
「ほえ?」
ママは不思議がるあたしを見て微笑むと、いきなり星の杖の封印を解く。
「ミラー!」
「鏡」の名前を持つ精霊が召喚される、その姿が一瞬歪み…
…次の瞬間さくらは二人になっていた。
「さくらがカードを封印してた時にコイツがさくらに化けてな
で、それをさくらがドッペルゲンガーと勘違いして…あの時の怖がり方は笑えたなぁ…」
「ケロちゃん!」
「ヒッヒッヒ…ん?そういえばあの時さくらに占いの方法を教えたんやったな」
「占い?」
「そや、クロウカードを使った占いや、予知のできるクロウ本人が考えた方法や、
良っく当たるんやで〜。…なんせアイツはそれで怨みをかったほどの…ブツブツ」
- 149 :前スレ561:04/08/15 23:12 ID:vxTot53J
- なにやら過去の良くない思い出にぶつかってしまったケルベロスをそのままに
さくらはカードを取り出すと
「…すみれちゃんにも教えてあげる、これをこうして…」
カードの配置がきまる。
「…あれ?これって…」
「どうしたんや?なんやロクでもない結果がでたんか?ん〜?」
一瞬さくらとケルベロスが硬直する。
「どうしたの?二人とも…」
「同じ」「同じや」
「ほえ?」
「これが意味するのは「すみれにそっくり」…つまり…」
「もうすぐ「ミラー」があらわれる…。」
「不思議なもんやなぁ、こういうのを因縁って言うんや」
「まぁ…先に分かって良かった、という事かな」
―次の朝
「ほえ〜…」
日曜の朝だと分かっていても相当早く起きてしまった。
あたしは寝ぼけた頭のままお気に入りの服に着替える。
階段をおりてゆくと朝ごはんの匂いがする。
「ママ、おはよ」
「早いわね、すみれちゃん、ごはんはちょっとまっててね」
「はーい。」
窓の外はいい天気、散歩にでも…と思ったところで弟の事が思い当たる。
「ママ、龍平起こしてくるね。」
龍平の部屋のドアを空け中に入る。
起きていても寝ているような龍平を起こすのは一仕事だ
- 150 :前スレ561:04/08/15 23:12 ID:vxTot53J
- 「ほえ〜」
日曜の朝、でも起きるのはいつも通りの時間
あたしは寝ぼけた頭のままお気に入りの服に…
「ほえ?」
寝ぼけた頭をぶんぶんと振って目を覚ます。
「…おかしいな…洗濯してるんだっけ」
仕方なく別の服に着替える。と
「ふわぁ…なんや、すみれ、さっき起きたんやなかったんかいな」
「ケロちゃんまで寝ぼけてる…変なカードでもいるのかな?」
階段を降りてゆくと朝ごはんの匂いがする。
「ママ、おはよ」「おはよう、さくら」
「あれ?龍くんを起こしてくれるんじゃなかったっけ
それに…服着替えた?…???」
「ママまで…やっぱりクロウカードのしわざかな?」
「カードの気配は無いで?」
テーブルについた時、階段を誰かが降りてくる。
「龍平〜、お…
思わず言葉を飲みこむ。なぜなら
「お姉ちゃんが…」「すみれちゃんが…」「すみれが…」「「あたしが…」」
次の言葉はみんな同じ
「「「「「二人!?」」」」」
- 151 :126:04/08/15 23:15 ID:vxTot53J
- あたしたちがしばらく固まった後、
「あ〜、もうあかんな」
龍平のそばにいた、もうひとりのあたしがぺロリと舌を出した。
「気配も消しとったし、もうすこしすみれちゃんになりきりたかったんやけどな」
「お、大阪弁?」
あたしたちの頭に大きな汗が浮いた。
そしてあたしは、あの占いを思い出した。
「あなたは、ミラーね」
「そうや」
にっこり笑って、もうひとりのあたしが答えた。
「すみれ、封印や!」
「うん!」
あたしは呪文を唱えだした。
「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
封印の杖の手にしたあたしに、もうひとりのあたしは
「イカスやないか〜。それが、魔法少女の決めポーズなんやなぁ〜」
「・・・」
なんか、とってもやりにくい。
「すみれ、なにやっとる!ちゃちゃっと封印や!」
ケロちゃんに言われたあたしは、
「わかってる。汝のあるべき姿に戻れ!クロウ・カード!」
もうひとりのあたしに向かって封印の杖を振りおろした。
- 152 :CC名無したん:04/08/16 01:36 ID:1O0dL3pF
- キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
か、関西弁のミラーたんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!?
- 153 :CC名無したん:04/08/16 12:01 ID:R7bnxeRj
- 大阪弁ワロタw
- 154 :CC名無したん:04/08/16 20:18 ID:bcuNFf33
- もしやショタっ子か!?
(;´Д`)ハァハァ
- 155 :126:04/08/23 01:16 ID:YvfUS4DC
- ピン!という音がして、封印の杖の先にカードの形が浮かび上がった。
そして、もうひとりのあたしが封印される・・・と思ったとき
シュボッ!
聞きなれない音がして、あたしははね返されて
「キャッ!」
思わず床にしりもちをついてしまった。
「すみれちゃん!」
みんながかけよってくる。
「だいじょうぶ?」
最初にあたしに手を差し出したのは、もうひとりのあたしだった。
「あ、ありがとう」
その手を取って、あたしは立ち上がった。
「うちを封印するには、まだまだ修行が足りんようやな」
「んな、あほな。すみれは、ちゃんとミラーのカードやと言ったで」
ケロちゃんが興奮して言った。
「うちは特殊カードやからな」
「そやから、すみれはお前の正体を・・・ひょっとして?!」
「そうや。そのひょっとしてや。うちは確かにクロウ・カードやけど、うちを封印するには
妹とは別の方法が必要なんや」
「なんやて?!」
- 156 :126:04/08/23 01:17 ID:YvfUS4DC
- 「じゃ、あなたを封印するにはどうすればいいの?」
あたしの質問に
「さぁ〜なぁ〜。それを教えたら、番組にならないやろ」
ズザーッ(←すみれたちがコケる音)
「た、確かにそうね」
あたしは、いつのまにかほっぺについていた、ばんそうこうをはがしながら答えた。
「そうや。うちの主(あるじ)になるんには、そのぐらい当ててもらわんとな」
もうひとりのあたしは、にっこりと笑った。そして
「みんな、朝ごはん、まだやろ。うちは逃げも隠れもせんから、朝ごはんにしようやないか」
「そ、そうね」
勢いに押されて、あたしたちは答えた。
「さくらはん」
「はい?」
突然名前を呼ばれて、ママはあわてている。
「せっかくやからお手伝いします。すみれちゃんに封印してもらうまで居候させてもらうわけやし」
「そうね。じゃ、お願いするわ」
・・・ちょっとヘンな感じだけど、悪いカードさんじゃなさそうだし、まぁ、いいか。
- 157 :126:04/08/23 01:20 ID:YvfUS4DC
- 「いただきまぁーす」
あたしたちは、朝ごはんを食べ始めた。
「これ、あなたがつくったの?」
「そうや」
あたしは、ちょっぴり驚いた。オムレツがとってもふんわりとできあがっている。
「ママも見てて、びっくりしちゃった。とってもじょうずなんだもん」
「まぁな」
そう答えて、もうひとりのあたしはトーストにジャムをぬっている。
「あなたも食べるの?」
「あかんか?」
「そうじゃないけど、カードなんでしょ?」
「そうや。けど、食べたら、少しは足しになる」
「足しになるって?」
「うちは、主(あるじ)がいない状態やろ?つまり、魔力をくれる人がおらんわけや。
クロウはんにもらった魔力が残っているうちはいいけど、このままやといつか魔力が途切れて
うちは消えてしまうんや」
「・・・」
「そないな景気悪い顔すんな」
もうひとりのあたしは、だまりこんだあたしをみて、すこしあわてて言った。
「クロウはんの魔力はまだ残っておるし、たくさん食べれば、少しは足しになる。
すみれちゃんは、あせらず、うちを封印すればいいんや」
「うん、がんばる」
そう答えると、あたしはジュースを飲みほした。
- 158 :CC名無したん:04/08/23 03:11 ID:YgE4rI0S
- 126氏乙です。最近ペースいい感じですね。
- 159 :CC名無したん:04/08/23 23:00 ID:WLApDcXA
- 姉妹ミラーたんキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
- 160 :CC名無したん:04/08/24 17:36 ID:dPTtOAP6
- 126氏キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
ミラー(姉?兄?)たんが番組のことを考えているのが笑えました。
次回も楽しみです。
- 161 :CC名無したん:04/08/26 19:06 ID:nBHnAnYq
- >>126氏のミラー編が一段落したら漏れが今書いてる
番外編「知世の回想 ダスティン=ホフマンさんにはなれませんでしたわ。」
を投下しようと思ってまつが、OKでつか?
- 162 :CC名無したん:04/08/26 19:47 ID:TnejKWGb
- 別に聞く必要はないと思うが
- 163 :CC名無したん:04/08/26 20:31 ID:nBHnAnYq
- >>162
こっち向いてよ小狼くんスレが
急なネタ投下とかから寂れてしまってるから
このスレをそんな風にしたくないんで。
自分の周りだけ時の流れが遅すぎると
泣いてる知世様に(*´Д`)ハァハァ
- 164 :CC名無したん:04/08/26 21:44 ID:V2RwPCBm
- 知世関係なら「知世ちゃんが最高」スレッド
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/sakura/1038661077/
に今すぐ落とそう。
~~~~~~
- 165 :CC名無したん:04/08/26 22:23 ID:nBHnAnYq
- >>126さんの話の
番外編みたいにして書いてみたいんでつ。
知世様もさくらたんも子供を持つようになっても
知世様のさくらたんの思いは昔と変わらないことに
自分の周りだけ時の流れが遅すぎるって嘆くみたいな感じで。
- 166 :165:04/08/26 22:24 ID:nBHnAnYq
- 間違えて書き込みボタンを押してしまいました
>>165は
>>164さんに対してです
- 167 :126:04/08/26 23:29 ID:hhG7FSfj
- ケロちゃんにおまかせ!
こにゃにゃちわー!
みんな、夏休み楽しんどるかあ?
そろそろ宿題始めとかんと、今週のさくらみたいに地獄みるでぇ!
きょうは、>>161 さんのことを >>126 に聞いてきたでぇ。
メモをここにもらってきておる。なになに・・・
『今のお話が終わるのは10月になると思います』
なんやと。
てなわけで、>>161 さん、書くんやったらちゃっちゃと書いたほうがええと思うでぇ。
なにしろ、今の話はうちが主人公の大スペクタクルやから、ちょっとやそっとじゃ終わらん・・・
うあ、あ、なにをあqwせdrftgy!
「だまらんかい、大阪弁のミラー!すみれに封印してもらう前に、わいの姿になるやなんて、
ええ根性しとるやないけ!」
「うわ〜、ばれたかぁ〜!」
「当たり前や!お前は≒л☆なんやからな!」
「か、堪忍や!それだけは言わんといて!それがばれたら、うちが主役はれんやないかぁ!」
・・・てなわけで、これからますます盛り上がる
『カードキャプターすみれ さくらと小狼のこどもたち』
みなも楽しみにしててぇな。ほななぁ〜。
- 168 :161:04/08/26 23:49 ID:nBHnAnYq
- >>126=167
10月に完結されるのですか。
それならもっと即席で作ったネタをおもしろくして
161の考える126さんの作品の私なりの解釈として126さんが新作を書かれている間の
繋ぎとして準備しておきます。
妙なところで割り込んだら、こっち向いてよ小狼くんスレみたい
になってしまいますから
- 169 :CC名無したん:04/08/27 05:34 ID:eZl6Ys2w
- >>161=165=166=168
読者としては、投下してくれるのはありがたいがここはsage進行なんだから、sageてくれ。
良スレなのに>>65-66のようになってはかなわん。
- 170 :161 ◆B.qU2.hSgA :04/08/27 12:02 ID:uh+VSGht
- >>169
スマソ
あとトリップつけてみた。野球実況のホークス戦のスレにも
このトリップでたまに来てるからよろしくw
- 171 :CC名無したん:04/08/28 14:54 ID:qECVJCLK
- マジレスするが
下手に気を回すの逆効果だから
馴れ合わない方がおまえの、
それとスレのためだ
- 172 :126:04/08/30 00:24 ID:IIBZZxaO
- 「ごちそうさまぁ」
ママともうひとりのあたしは、キッチンで後片付けを始めている。
「いいのよ、そんなに手伝わなくても。あとは食器洗い機がやってくれるから」
「そやかて、うち、居候やし。あ、そやったら食後のお茶を入れましょうか?」
「じゃ、お願いしていいかしら」
なんか、昔のホームドラマみたいな会話だ。
「そうや、さくら」
「なに、ケロちゃん?」
「さっきから考えとったんやが、すみれの格好しとるミラーの名前、考えようやないか?
ミラーはミラーなんやけど、さくらのミラーとまぎらわしいさかい」
「気ぃつこうてくれて、ありがとな」
もうひとりのあたしが、ポットを持ってやってきた。
そのあとから、ママがカップやスプーンをトレイで運んでくる。
「じゃ、みんなで名前を決めててくれない?ママは、これからお洗濯だから」
あたしは窓の外を見た。きょうはとってもいい天気だ。これなら、ママじゃなくても
洗濯してみたくなる。
「うん、わかったよ」
「それじゃ、決まったら教えてね」
そう言って、ママはリビングを出て行った。
- 173 :126:04/08/30 00:25 ID:IIBZZxaO
- 「・・・さぁてと」
ケロちゃんは、スプーンをカップの中でかき混ぜながら言った。
「おまいさんの名前だが・・・ミラーじゃないとしたら、なんがいい?」
「そうやなぁ・・・うちはかわいいし、性格もいいし、おしとやかやし、アイドルデビューを
ねらえる名前がええな」
「・・・」
あたしたちの頭におっきな汗が浮いた。
「それはおいおい考えるとして・・・鏡にちなんだ名前がええやろな」
ケロちゃんがつぶやくと、もうひとりのミラーさんの顔がぱっと輝いた。
「そやったら、フランス語なんかどうや?ミラーのフランス語。
カトリーヌとか、きっとうちのイメージにぴったしや!」
「・・・今、調べてみるよ」
龍平がケータイを取り出した。こういう調べものは、龍平が得意なんだ。
「フランス語で『鏡』っていうと・・・『ミルワール(miroir)』って言うみたいだけど」
「なかなかやないか、ミルフィーユみたいで。これで、うちのアニメ化も決まりやな!」
勝ち誇ったミルワールさんのバックで花火が上がっている。
けれども、龍平はケータイの画面を見て
「・・・でも、これ m ってついている。ミルワールって、男性名詞だよ」
「なんやってぇぇぇっ!」
場面急展開だ。
「いやや、そんなん最低や!フランス語はよう知らんけど、こんなにかわいいうちに、男性名詞
なんて付けたらあかん!」
ミルワールさんは龍平に詰め寄ると
「他を探せぇ!うちにぴったりの名前を探すんや!」
- 174 :126:04/08/30 00:27 ID:IIBZZxaO
- 「じゃ・・・ドイツ語だと・・・『シュピーゲル(Spiegel)』・・・だけど・・・」
「おちょくっとんのか、おのれは!」
シュピーゲルさんの顔が10倍ぐらい大きくなった。
「そないな怪獣みたいな名前、お断りや!」
「・・・だね・・・それに・・・これも・・・男性名詞」
龍平のひとことで、シュピーゲルさんのバックで炎が燃え上がった。
次の瞬間、
「そうや!ヨーロッパがあかんなら、ラテンはどうや?ブラジルなら、きっと陽気で
みんなを幸せにするうちにぴったりな名前になるはずや!」
シュピーゲルさんって、気持ちの切り替えが早いらしい。
「うん、ブラジルだと・・・ポルトガル語だよね」
龍平がケータイを操作する。そして・・・
「鏡のことは『エスペーリョ(espelho)』って言うんだけど・・・」
「なんやとぅ!」
エスペーリョさんの顔が、また10倍ぐらい大きくなった。
「そないなへらへらした名前、付けられる身になってみぃ!うちはかわいくて、性格良くて、
おしとやかなんや!」
自分の姿で、こんなせりふを何回も言われると複雑な感じだ。
そして、エスペーリョさんの気持ちはまた切り替わった。
「じゃ、アジアの言葉はどうや?たとえば中国語なんかは?」
そう言われて、あたしと龍平は思わず顔を見合わせた。
「どうしたん?ケータイで調べんのか?」
「中国語なら調べなくてもわかるから・・・」
あたしと龍平は、もう一度顔を見合わせた。
- 175 :126:04/08/30 00:30 ID:IIBZZxaO
- 「中国語だと『ジンズ(鏡子、jing-zi)』になるけど」
「なんやて?」
ガーンって感じでジンズさんは固まった。やっぱり、気に入らないようだ。
「じゃ、お隣の韓国はどうや?」
ジンズさんがこりずに聞くと
「コウル、だね」
龍平がケータイを見ながら言った。コウルさんは脱力した。
そしてしばらくして、
「かわいいのがあったよ。チュルミン(cermin)って、インドネシア語」
「あたしもかわいいと思うけどな、チュルミン」
けれどもチュルミンさんは
「チュルミンやったら、うちよりも、このぬいぐるみの方がぴったりや。なぁ、チュルミン」
「何がチュルミンや!わいは、封印の獣、ケルベロスやで!」
こうしてあたしたちの間では、チュルミンさんの名前がなかなか決まらなかった。
決まったのは、お洗濯がひと段落ついて、ママが戻ってきてからだった。
「どう?ミラーさんの名前決まった?」
「それが・・・」
ママは、あたしたちの話を聞いて、
「それなら、『かがみさん』でどうかな?」
「それ、いただきや!」
最後はとてもあっけなかった。
こうして、もうひとりのミラーさんのことを『かがみさん』って呼ぶことになったんだ。
- 176 :CC名無したん:04/08/30 12:01 ID:YyCEXbly
- かがみんかがみん(;´Д`)ハァハァ
- 177 :161 ◆B.qU2.hSgA :04/08/30 12:51 ID:mYbSMzM9
- >>126さん、乙です
今日は鷹−公戦が中止なので
繋ぎとして>>127-130みたいに間が空いたときに読めるような
回想形式の話を書けます。(プロ野球関係の板見ている時間の方がさくら板より長いんで)
- 178 :CC名無したん:04/08/30 18:48 ID:YStZ0NVz
- チュルミンワラタ
かがみさんでときメモ思い出した。
もう何年前だ…。
- 179 :126:04/09/05 22:34 ID:+BWfFl7E
- 「ほんま、いい名前付けてくれて、ありがとうな、さくらさん」
さっきまでと違って、かがみさんは上機嫌だ。
「そうや、もう10時やけど、さくらさん、きょうのお昼ご飯、メニュー決まってます?」
突然、かがみさんはママに話をふった。
「そうね、まだ考えてないけど」
「そやったら、お好み焼きはどうやろ?居候させてもらうんやし、お昼ぐらいは、うちが作ります」
「おお!ええ心がけや!」
ケロちゃんが飛びついた。
「お好み焼きやったら、モダン焼きはどうや?お好み焼きは、やっぱモダンやで!」
「モダン焼きやったら、うちの十八番(おはこ)や!うちは大阪が長かったよって、まかせてぇな!」
「おぅ!まかせたでぇ!」
ケロちゃんとかがみさんが、意気投合してる。
「モダン焼きって?」
あたしがママに聞くと、
「お好み焼きの具を、おそばにしたものよ。大阪の方では、よく作るの」
「おいしそうだね」
「そう。ケロちゃんの大好物なの。でも、モダン焼きを作るとなると、材料を買ってこないと
いけないわね。今、うちにおそばはなかったはずだし・・・」
ママがそう言うと、
「そやったら、うちが材料買うてきます!」
かがみさんが、学校の授業みたいに、手を挙げた。
- 180 :126:04/09/05 22:35 ID:+BWfFl7E
- 「だけど、かがみさん、お店わかるの?友枝町に来たばっかりでしょ?」
ママが少し心配して言うと、
「それもそうや。じゃ、すみれちゃん、うちの買いもんつきあってくれない?」
「うん、いいけど・・・」
あたしはちょっと迷った。かがみさんと一緒にいるところをクラスの子に見られたら、めんどうな
ことになる。
「そやったら、緑町のマーケットはどうや?あのへんには、クラスの子が住んでおらんって
すみれ、前に言うとったやないか」
「それはいいけど・・・あのマーケットはちょっと遠いよ。お昼までに戻って来れないよ」
あたしがケロちゃんにそう答えると、ママが
「じゃ、セグウェイで行けばいいじゃない」
あたしは、ちょっと驚いた。
「でも、かがみさんとふたりだよ。セグウェイの二人乗りはいけませんって、ママ、いつも
言ってたじゃない」
「・・・うーん」
ママの頭に小さな汗が浮いた。
「しかたないわね。今日は特別よ」
「おおきに!」
「やったぁ!じゃ、今、準備するね。リュック持ってくるから、待っててね、かがみさん」
あたしは、2階の自分の部屋に上がっていった。
- 181 :126:04/09/05 22:36 ID:+BWfFl7E
- 「「いってきまぁす!」」
「車に気をつけるのよ」
「「はぁい!」」
すみれとかがみの乗ったセグウェイが、窓の下を通っていく。
「行ったわね」
「ああ」
ケルベロスが、カップのスプーンをゆっくりとかきまぜた。
「よっぽど、すみれと一緒にいたいんやな、あのミラー」
「そうね。もう時間は、そんなにないわ」
「やっはり?ママやケロちゃんもそう思っていたの?」
龍平が身を乗り出した。
「龍平も気が付いとったか。あのカードの魔力が、もうそんなにないって」
「うん。初めての時より、ずいぶん魔力が弱っていたもん」
「初めて?龍くん、かがみさんに会っていたの?」
さくらが驚いて聞く。
「うん。スルーのカードの時・・・」
- 182 :126:04/09/05 22:37 ID:+BWfFl7E
- →回想シーン始まり
「さくらもすみれも無事なようだ。この子が言っていた」
「では、ミラーさんがさくらさんたちをはね返すことができたのですね?」
「ううん。ミラーさんが反射したのは、ママとケロちゃんだけだ」
「「え?」」
龍平のことばに、桃矢と知美は驚いた。
「お姉ちゃんは、ぼくがはね返したみたいだけど・・・」
「はね返したみたいって?」
「よくわからないんだ」
龍平は自分の両手を見ながら、答えた。
←回想シーン終わり
「あのとき、ぼくの手に一瞬、カードが宿った感じがしたんだ。ぼくはカードを使えないから
そんなはずはないと思ったんだけど・・・今日、かがみさんの気配を感じて、それが
あのとき、ぼくの手に感じた気配と同じだということがわかったんだ。だから、あのとき、
ぼくがおねえちゃんを反射できたのは、かがみさんのおかげだったんだ」
「・・・そうやったんか」
「スルーの時に比べると、今のかがみさんの魔力、ものすごく弱くなってるよ」
「そうやな。ミラーのカードにとって、姿を変えたり、何かを反射したりするんは、ごっつう
魔力を消費する。主(あるじ)のおらん、今のミラーにとっては、ほんまにしんどかったはずや」
ケルベロスは、スプーンを口に運んだ。
- 183 :126:04/09/05 22:39 ID:+BWfFl7E
- 「あのカード、よっぽど、すみれに主(あるじ)になってもらいたいやろな。けさみたいに
『うちは逃げも隠れもせん』なんてせりふ、主(あるじ)のおらんカードが言うもんやない。
それにスルーのカードの時の行動といい、ほんまにすみれのことが好きみたいや」
「じゃ、なんで、かがみさんは封印の仕方を教えてくれなかったんだろう」
龍平の疑問に、ケルベロスは答えた。
「仕方ないんや。あのカードを封印できるんは、封印する方法を自分で見つけたもんだけなんや。
もし、誰かがすみれに封印する方法を教えたら、すみれは永久にあのカードを封印できなくなる」
「そんな!」
「そやから、やっかいなんや」
ケルベロスは、スプーンを置くと、さくらの方を見て言った。
「さくら、あのミラーの魔力、どのぐらいもつと思う?」
「・・・すみれちゃんの姿でいるままなら、1週間ぐらい・・・」
「わいと同じ見立てやな」
「なら、その間に、おねえちゃんが封印する方法を見つければいいんだね?」
「そうや、龍平。ただし、1週間ちゅうんは、すみれの姿のままでいた場合や。
なんかあって、別の姿に変わったり、何かをはね返そうもんなら、一発で魔力を使いきってしまうで」
- 184 :CC名無したん:04/09/06 01:31 ID:kX3tcp4r
- >>126氏新作キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
次回にあるであろう二人のお買い物が楽しみです(´∀`)
- 185 :デニー・ユガミダニ ◆B.qU2.hSgA :04/09/06 01:50 ID:SMr7RPIl
- >>126さん
乙です。
- 186 :CC名無したん:04/09/11 05:02:50 ID:gxBiN5SH
- ほしゅ
- 187 :126:04/09/12 22:58:55 ID:/clpeZd6
- 「テコの使い方にコツがあるんや。こう、テコの元を持って、人差し指を支えにして、手前に
ひっくり返すんやで」
「うまくできるかな?」
「練習すれば、できる。あとでいっしょにやろうな」
「うん」
セグウェイに乗って、緑町のマーケットに行く間、かがみさんはモダン焼きの作り方について
いろいろと教えてくれた。
「気ぃつけなあかんのは、手を手前に引かんことや。生地がばらばらになってしまうんや。
あ、車や。すみれちゃん、道の隅に寄ってぇな」
後ろから車があたしたちのセグウェイを追い抜いて行く。
「ここは公園の中やろ?なのに、さっきから車がびゅんびゅん通って行く。どういうことや?」
「仕方ないよ。この道を抜けた先がマーケットの駐車場だから」
「そやかて、公園の中を通ることはないやろ。子どもたちもぎょうさん遊んでいることやし、
今に事故が起こるで」
「本当は、別に道があるんだけど、今、工事中なんだ。工事が終われば、車は減るよ」
あたしは、工事中の道を指差そうとして、公園の外の方を見た。
「あや?」
「なんや?」
「クレープ屋さんだ。あそこに見える、黄色い車、おいしいクレープ屋さんなんだよ」
あたしは、セグウェイを止めた。
- 188 :126:04/09/12 23:00:04 ID:/clpeZd6
- 「どないした?急に止まって?」
「うん、あそこのクレープ食べようかなって思って」
「ほんまか?それやったら、うちの分も買うて来てくれるんか?」
「いいよ」
「おおきに。で、何がうまいんか?」
「あたしは、バナナチョコクリームが好き。かがみさんは?」
「クレープか・・・リンゴカスタードなんて、ある?」
「うん、あるよ。あのお店、ものすごく種類が多いんだ」
「そやったら、リンゴカスタードにシナモンがいいな」
「わかった。じゃ、行こう」
その時、あたしは、セグウェイでお店まで行けないことに気がついた。
クレープ屋さんのあるところまで、芝生だし、芝生の中には飛び石しかないから、セグウェイで
走ると芝生を痛めちゃう。
「そやったら、うちがここでセグウェイを見てるわ。そんなに遠いわけじゃないし、
すみれちゃん、行ってらっしゃい」
「うん。ありがとう」
「クレープ♪クレープ♪おいしいクレープ♪ジャムにチョコにカスタード♪」
ふたり分のクレープを持って、戻って来ると、セグウェイのそばにふたりの人影があるのに、
あたしは気がついた。ひとりはもちろんかがみさんで、もうひとりは・・・
「あれは・・・衛(ウェイ)くん!」
あたしは、急いで近くの木の陰に隠れた。
(かがみさんが、衛くんとお話してる!)
- 189 :CC名無したん:04/09/14 17:28:14 ID:gjmPTfK+
- 126氏新作キテタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
衛くんとかがみさんがどんな話をしているのかも気になりますが、
>今に事故が起こるで
このかがみさんの一言の方が気になります。
なんか起こらないか心配で心配で…(;´Д`)
無事にお使いを終えるのを祈りつつ、次回を待ちますです(;´Д`)
- 190 :126:04/09/20 22:13:16 ID:FbYKYLfo
- ドキドキドキドキ・・・
(かがみさんと衛くん、何をお話してるんだろう・・・)
ドキドキドキドキ・・・
(かがみさん、大阪弁で話したりしないよね)
ドキドキドキドキ・・・
(もし、そうだったら、あたしのこと、へんな女の子って思われるかも)
ドキドキドキドキ・・・
(どうなんだろう・・・でもでも、出て行くわけに行かないよ!)
ドキドキドキドキ・・・
(ほぇ〜。心臓が破裂しそうだよ・・・)
- 191 :126:04/09/20 22:14:29 ID:FbYKYLfo
- 「じゃあ、また」
そのとき、あたしの耳に聞こえてきた、衛くんの声。
あたしは振り返って、木の陰から、そっとふたりの方を見る。
かがみさんのそばから、衛くんの乗ったセグウェイが離れて行く。
(もう少し、もう少し・・・)
衛くんの姿が見えなくなったのを確認すると、あたしは
「かがみさん!」
かがみさんの所に、ダッシュした。
「おかえりなさい、すみれちゃん」
にっこりと笑って、なにもなかったように、かがみさんは言った。
「かがみさん、あの、今の、衛くんと・・・」
あたしがあわてて聞くと、かがみさんは
「安心してや。うまくいったで」
「うまくって、なにが?」
「もちろん、『あんたのこと、好きやねん。うちとつきおうてください』っちゅう、愛の告白や」
ほ、ほぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!
- 192 :CC名無したん:04/09/20 23:15:57 ID:MTgYN9JO
- 告白キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
続きが気になる━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
- 193 :CC名無したん:04/09/21 00:16:31 ID:VpfcJqEI
- 126氏キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
告白キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
続き楽しみです(´∀`)
- 194 :126:04/09/27 00:37:03 ID:HYTIEkUd
- 「よかったやないか。うまくいって」
「よくない!」
あたしは、思わず言った。
「どうしてや?」
かがみさんは聞き返す。
「好きなんやろ?」
「・・・うっ」
あたしは、だまりこんだ。だって、そんなこと、衛くんのことを好きだなんて、これまではっきりと
ことばにしたことがなかったから。けれど、
「そう、あたしは衛くんのことが好き」
「なら、よかったやないか」
「よくない!」
「どうしてや?」
「だって、好きなんだもん。だから『好きです』って、自分で言いたい!自分の気持ちは、
自分で言いたいんだ!だから、だから、かがみさんに言ってもらうのは、違うと思う!」
あたしがそう言うと、かがみさんは少し驚いたようだった。
そして、あたしは次に言うことばが見つからなくて、ただ、クレープを持って立ち続けていた。
かがみさんは、にっこり笑うと
「合格や」
「ほぇ?」
そのことばは、いきなりだった。
- 195 :126:04/09/27 00:38:12 ID:HYTIEkUd
- 「合格って、なにに?」
「すみれちゃんが、うちの主(あるじ)にふさわしいかどうかのテストにや」
「ほぇ?」
突然、愛の告白からテストに話が飛んだので、あたしの目は点になった。
「ミラーのカードをしとるとな、しょうもないことのために召喚されることが多いんや。
自分ではやりとうないこと、やりたいんやけど自分ではできへんことを、うちにやらすために
うちを召喚する。そないなこと、もう、うちはごめんやから、すみれちゃんがそんな連中と
違うことを確かめとうて、それでテストさせてもろうたんや」
「じゃ、愛の告白なんて・・・」
「してへん!」
;≒;#;fhsれおpぎゅひj!
あたしは、思いっきりコケてしまった。
「うまそうやな。それ、うちの分やろ?」
かがみさんは、思いっきりコケたはずなのに無事だったクレープを見て言った。
「う、うん」
リンゴカスタードのクレープを渡す。かがみさんはクレープを食べて、
「おいしいなぁ。こんなおいしいクレープを食べたんは、ひさしぶりや」
「でしょ?あたし、ここのクレープ、大好きなんだ」
あたしも、バナナとチョコクリームがたっぷり入った、クレープを食べだした。
- 196 :126:04/09/27 00:39:42 ID:HYTIEkUd
- あたしたちが乗ったセグウェイは、マーケットに向かって進んで行く。
「かがみさん」
「なんや?」
「かがみさんは、友枝町に来る前はどこにいたの?」
「いろいろやな」
「それって、かがみさんの主(あるじ)が、いろいろいたってことだよね?」
「それは、ちょっと違うな」
「違うって?」
「うちは、クロウはんに作られた。うちがこうしてすみれちゃんと話できるのも、クロウはんの
魔力のおかげや」
「じゃ、ずーっと、クロウさんの魔力で動いているの?」
「そうや。うちは、ずーっとクロウはんの魔力だけでやってきたんや。そやから、うちの主(あるじ)
はクロウはんだけやと、うちは思うとる。けどな、うちを召喚する人は大勢いたんや」
「どういうこと?」
「クロウはんかて、最初からカードを作れたわけやない。最初は魔法使いのギルドみたいなとこに
入って、魔法を勉強してたんや。そんとき、ギルドで使うためにうちを作ったわけや。
つまり、うちはクロウはんの魔力で動いてるんやけど、ギルドにいた、いろいろな魔術師に
呼ばれてたんや」
「じゃ、ママのミラーさんとは違うんだね」
あたしは、ケロちゃんが話してくれた、ミラーさんのお話を思い出した。
- 197 :CC名無したん:04/09/27 03:51:28 ID:q5BbUCq7
- 126氏キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
>「じゃ、愛の告白なんて・・・」
>「してへん!」
工エエェ(´д`)ェエエ工
…とは言え、ちょっとほっとしたかんじ?です(*´Д`)
>あたしは衛くんのことが好き
おぉ…こんな所で告白とは…一瞬驚きました。(´∀`)
次回も楽しみにしています
- 198 :CC名無したん:04/09/27 21:34:09 ID:ExXLP0P9
- キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)━━━!!!!
お疲れ様です。
すみれちゃんは衛くんのことが好きだったのか。
カードの試練も考えさせられました。
ほどほどにがんがってください
- 199 :CC名無したん:04/09/30 00:01:24 ID:xsyGCpue
- 126氏キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
正直、すみれの恋愛話に発展するとわ。(いつかはあると思ってましたが)
- 200 :126:04/10/04 00:51:31 ID:eX3hs31q
- 「かがみさん、ママのミラーさんと会ったことあるの?」
「ああ、何回か会っとる」
「いっしょに遊んだりしたの?」
「まぁな。けど、うちが妹に会えるんは、魔法の儀式の時が多かったん。そやから、あんまし
遊ばせてもらへんかったけどな」
「そうなんだ」
「同じカードでも、妹はクロウはんにだけ召喚されていた。うちと違って、おとなしい性格やから、
その方がよかったんやろな。うちは、いろんな魔法使いに召喚されたけど、クロウはんほどの
魔法使いは他におらんかった」
「クロウさんって、すごい人なんだね」
「そうや。ほんまに、クロウはんは何百年にひとりっちゅうほどのすごい魔法使いやったんや。
それが友枝に来てみたらどうや。クロウはんと同じぐらいすごい魔法使いがごろごろおるやないか。
さくらさんに、龍平くんに」
「龍平が?」
あたしはちょっと驚いた。確かに龍平に魔力はあるけど、カードは使えない。それとも、あたしが
知らないなにかすごい魔力を持っているんだろうか?
そのとき、
「ボールぅ!」
と、いう声がした。セグウェイの前をボールがコロコロと転がっていく。
そのボールを追っかけて、小さな女の子が夢中で駆けてくる。
「危ないよ!」
あたしがそう声をかけるのと同時に、車のクラクションが鳴り、急ブレーキをかける音が聞こえた。
「あかん、ぶつかる!」
かがみさんが、セグウェイを飛び降りた。
- 201 :126:04/10/04 00:53:27 ID:eX3hs31q
- 「かがみさん!」
あたしもあわててセグウェイを降りた。
女の子をかばっているかがみさんの50センチぐらい手前で車が止まっている。
「だいじょうぶかい?」
その車を運転していた人も降りてきた。
「だいじょうぶです」
かがみさんはそう答えると、足元に転がっていたボールをその女の子に手渡した。
「これからは、気をつけて遊ぶんやで」
「ありがとう、おねえちゃん」
女の子と車が去るのを確かめて、あたしはかがみさんに聞いた。
「だいじょうぶ?!」
「・・・だいじょうぶや」
「だいじょうぶじゃないでしょう!」
一瞬のことだけど、あたしには見えていた。かがみさんは鏡に戻って、女の子にぶつかるはずの車を
はね返していたんだ。そして、また、あたしの姿に戻っている。だから、かがみさんはものすごく
魔力を使ったはずだ。
「・・・そうやな」
かがみさんは気を失って、あたしにもたれかかった。
「かがみさん!」
かがみさんのからだのところどころが透明になっている。衛くんとの結婚式のときのミラーさん
みたいに魔力が無くなりかけているんだ。
「かがみさん、しっかりして!」
- 202 :CC名無したん:04/10/04 08:01:59 ID:xTe0eHyj
- 126氏キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
お疲れさまです。
>>189で書いた不安が的中してしまった…_| ̄|○
すみれちゃんが一刻も早く封印してくれることを祈りつつも、次回も期待します。
- 203 :126:04/10/11 23:41:41 ID:cCOp5LQ8
- 「すみれちゃん?!すみれちゃんなの?!」
そのとき、あたしたちのそばに車が止まった。運転していたのは
「しぃ先生!どうしてここに?」
「マーケットでお買い物していたら、魔力の気配を感じて、あわてて来たの。
もしかして、となりの子は・・・カード?」
「そうなんです。かがみさん、魔力がほとんど無くなってしまって消えそうなんです」
「とにかく、その子を車に乗せてあげて。私の病院に行きましょう」
「はい!」
あたしは、かがみさんを車に乗せた。しぃ先生は、セグウェイをトランクに積んでいる。
「急ぎましょう」
先生は車を発進させた。
「かがみさん・・・」
かがみさんのからだのあちこちが透明になっている。
「もう少しで、病院だからがんばって・・・」
病院に急ぐ施の車が、衛のセグウェイを追い抜いたことを、施もすみれも気がつかなかった。
「すみれさん、早く気付いてください」
衛は、セグウェイを止めて、過ぎ去って行く車を見つめていた。
- 204 :126:04/10/11 23:43:32 ID:cCOp5LQ8
- 「先生、かがみさんの様態は?」
病院に駆けつけたママが、心配そうにしぃ先生に聞く。
「魔力が尽きかけています。このままでは、あのカードは消えてしまいます」
「そんな。魔力の回復剤とか、使えないんですか?」
しぃ先生は首を振った。
「回復剤は、魔術師に使うものです。魔術師の魔力を元に動く精霊や氏神に使う薬はないのです」
「・・・」
あたしは、ママと先生を会話を聞いて、ベッドに横たわるかがみさんの手を握りしめた。
「ごめんなさい。あたしがかがみさんを封印していれば、こんなことにはならなかったのに」
「お姉さん・・・」
あたしのとなりにすわったミラーさんが、語りかける。
ふっと、かがみさんの目が開いた。
「・・・」
「お姉さん!」
「ひさしぶりやな。元気そうやないか」
「はい」
かがみさんはベッドのまわりを弱々しく見渡して
「さくらさんに、龍平くん、すみれちゃんに、みんな、うちのことを心配して来よったんか。
それに、チュルミンまで来よって、うちはほんまに人気もんなんやな」
「あほ。そないな笑えん冗談言っとる場合か」
ケロちゃんも、さすがにこんなときは突っ込みを入れられない。
「かがみさん、しっかりして!」
あたしは、かがみさんに呼びかけた。
- 205 :126:04/10/11 23:46:04 ID:cCOp5LQ8
- 「しっかりするどころやないみたいやな」
「あたし、まだかがみさんにモダン焼きの作り方、教わってないんだよ!教えてくれるって
約束してくれたじゃない!」
「堪忍な。今度ばかりはだめみたいや。もう、からだに力が入らへん」
かがみさんのからだの透明な部分が広がっていく。
かがみさんはミラーさんを見て、
「あんたも達者でな。さくらさんに可愛がってもらい。さくらさんは素敵な人やさかい」
「はい」
ミラーさんの目から、涙がこぼれ落ちた。
「すみれちゃん、こんなことになってしもうたけど、うちはすみれちゃんに出会えて、
ほんまによかったと思うとる。元気でな」
「だめだよ、そんなこと言っちゃ!」
あたしは、かがみさんを抱きしめた。
「!」
かがみさんのからだは、ほとんど重さがなかった。本当に消えかけているんだ。
ごめんなさい、かがみさん。
あたしがしっかりしていないから、だめなんだ。
あたしが封印する方法を見つけていれば、こんなことにはならなかったんだ。
ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・
「・・・かがみさん?」
- 206 :CC名無したん:04/10/12 20:23:59 ID:64knfaPh
- 126さま いつも読んでます。乙彼です。
- 207 :CC名無したん:04/10/19 00:36:41 ID:1/J0sJyI
- 126氏キテタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!
>それに、チュルミンまで来よって、うちはほんまに人気もんなんやな
こんな時でもボケるというかがみさんにはすごいものを感じますが、
やせ我慢を見せようとしつつも最期を悟っている姿に。・゚・(ノД`)・゚・。
無事すみれちゃんが封印してくれれば良いのですが…
次回も期待しています。
- 208 :126:04/10/25 01:52:56 ID:rDX/LETw
- 「・・・かがみさん?」
あたしは、おかしなことに気がついた。かがみさんは、あたしの姿を映しているはずなのに
「ピアスをつけていない?」
耳にピアスがなかった。
そのとき、病室中にまぶしい光が広がった。
「・・・ほぇ?」
目をこらすと、目の前にいるのはかがみさんの真の姿だった。
アラビアンナイトに出てくるような女の子の服を着て、両手で鏡を持っている。
「すみれちゃん、ようやっと気がついてくれたんやな」
「ど、どういうこと?」
「うちを封印する方法や」
「ほぇ?」
「うちはな、誰かの姿を映すときに、どこか1か所だけ本人と違うように映るんや。
その違うたところを見つけるんが、うちを封印する方法なんやで」
「そ、そうだったんだ」
あたしは、手で涙をぬぐった。さっきから、涙が止まらない。
「さぁ、はよううちを封印してや。おなかペコペコなんやで」
「うん!」
- 209 :126:04/10/25 01:55:49 ID:rDX/LETw
- あたしは呪文を唱えだした。
「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
あたしは、封印の杖を握りしめた。
「汝のあるべき姿に戻れ!クロウ・カード!」
ピン!という音がして、かがみさんから、封印の杖に魔力が流れていく。
「ほんまに、間におうてよかったわ。これから苦労をかけると思うけど、よろしくな、龍平くん」
かがみさんは、龍平にそう言うとカードの形になった。
「かがみさん、龍平に苦労をかけるって?」
あたしの手にすべりこんだかがみさんのカードは、
「あ、うちはクロウ・カードやから苦労をかけるって、その、寒いギャグやったな。すまん」
「すみれちゃん、がんばったわね」
「すみれ、ようやったな」
ママやケロちゃんたちがあたしのそばに来た。
「そうでもないよ。偶然だったんだよ」
あたしは、かがみさんのカードを抱きしめた。
「でも、封印できて、こんなにうれしかったことははじめてだよ。
かがみさん、もう絶対に消えたりなんかしないでね。約束だよ」
「ああ。約束と言えば、モダン焼きの作り方教えたるさかい、4時には召喚してや。
その頃にはうちも元気になってるさかい、晩ごはんはモダン焼きにしようや」
「うん!」
- 210 :126:04/10/25 01:58:33 ID:rDX/LETw
- 「今や、ひっくり返すんや」
「えい!」
かがみさんの声にあわせて、あたしは、テコをひっくり返した。
「うまい、うまい。次はおそばと生地がなじむように、テコで押さえといてな」
「すみれ、そばはカリカリにな」
ケロちゃんが注文をつける。
「ケロちゃん、もう食べちゃったの?お皿、からっぽじゃない」
「すみれの作るモダン焼きがあんまりうまいさかい、あっというまにな」
「もう、そんなに食べたら、みんなの分、なくなっちゃうよ」
すると、ママがキャベツを切る手を休めて
「だいじょうぶよ。ケロちゃんの分も考えて、おそばやキャベツ、いっぱい買ってきたから」
「さすが、さくらさまや!」
ケロちゃんはごきげんだ。
「もう作り始めてるんだ」
龍平が2階から降りてきた。かがみさんを封印したあと、急に眠いって言って今まで寝ていたんだ。
「龍くん、ミラーさんがお味噌汁を作っているから手伝ってあげて」
「うん」
「えい!」
あたしは、もう一度、モダン焼きをひっくり返した。
今日の晩ごはんは、最高においしくなりそうだ。
<すみれともうひとりのすみれ:終劇>
- 211 :126:04/10/25 02:00:19 ID:rDX/LETw
- 次回予告
いつもの時間に目が覚めた、月曜日の朝。
寝ぼけた頭でクローゼットに行くと、いつものところに制服がない。
おかしいなぁ?クリーニングに出したのかな?と思いながら
朝ごはんを食べに1階におりて行くと
ほぇ〜!かがみさん、どうして!?
カードキャプターすみれ さくらと小狼のこどもたち
すみれとかがみの迷コンビ?
次回もすみれと一緒に
さくらと一緒に
封印解除(レリーズ)!
- 212 :CC名無したん:04/10/26 00:13:52 ID:8Oq8yM4E
- 126氏キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
いつもいつもありがとうございます。
あー…それが封印する方法ですか…なるほど…
>これから苦労をかけると思うけど、よろしくな、龍平くん
と
>かがみさんを封印したあと、急に眠いって言って今まで寝ていたんだ。
が気になります…
(´-`).。oO(いずれは分かることでしょうけど…)
次回もかがみさんですか。かがみさんが何をしてくれるのか楽しみです(´∀`)
- 213 :126:04/10/31 23:20:37 ID:47b3N0q1
- 「あれ?」
あたしはまっしろな部屋にいる。部屋にはベッドがひとつ。
「龍平?」
ベッドに寝ているのは龍平だった。
肩で息をしている。苦しいはずなんだけど、龍平の表情は不思議に安らかだ。
「どうしたの龍平?どこか悪いの?」
龍平の口元が動く。え?聞こえないよ?
なにか言っているようだ。でも、でも・・・
「龍平、龍平ったら。ママ、このまま龍平が」
「・・・すみれちゃん」
あたしはママの顔を見た。
「・・・すみれ」
声の方を向くと、そこにはパパがいた。
「・・・すみれさん」
別の声の方を向くと、そこにいたのは、エリオルおじさんだった。
- 214 :126:04/10/31 23:22:29 ID:47b3N0q1
- ピピピピピ・・・
「あふぅ。もう朝かぁ」
あたしは、もそもそっとベッドから起き出した。
制服に着替えようとして、クローゼットを開けると
「ほぇ?」
いつものところに制服がない。
「おかしいなあ。ママがクリーニングに出したのかな?」
あたしは別の制服に着替えると、カードさんたちにあいさつをして、おそよー君を起こしに行く。
「おそよー!ほぇ?」
ベッドの中に、龍平の姿がない。
「・・・おかしいよ。龍平がひとりで起きられるわけないし・・・『ひとりで』?!そうだ!」
あたしは、あわてて1階のダイニングに降りた。
「・・・やっぱり」
「お、おねえちゃん?」
あたしの姿を見て、龍平が少し驚いた。
「すみれ?」
ケロちゃんも驚いている。
「と、いうことは、さくらんのとなりにおるんは・・・」
「かがみさんでーす!」
キッチンで、ママといっしょに朝ごはんのしたくをしている、もうひとりのあたしが
ミョーに明るく答えた。
- 215 :CC名無したん:04/11/01 13:45:22 ID:62cOJcXi
- , _ ノ)
γ∞γ~ \
| / 从从) )
ヽ | | l l |〃
`从ハ~ ワノ) ワクワク
/\></
( ∪ ∪
と__)__)
- 216 :CC名無したん:04/11/02 18:47:01 ID:b4dBxvwm
- あげ
- 217 :CC名無したん:04/11/02 19:02:27 ID:HfPFI1Ym
- 126さま、ごくろうさまです。
- 218 :126:04/11/07 22:25:28 ID:c1nlsMlr
- 「ママは、かがみさんだと気づかなかったの?」
「うん、ぜんぜん」
「さすが、うちや。さくらさんにも気づかれないぐらい完ぺきに気配を消しとる」
たしかに、かがみさんは気配を完全に隠せるみたいだ。
「けど、ママ」
「なに?」
「あたし、かがみさんほどお料理じょうずじゃないよ。いっしょにお料理していれば、あたしか
かがみさんかすぐにわかると思うけど」
「すみれ、おとりこみ中、悪いんやけど」
そこに、ケロちゃんのツッコミが入った。
「自分のほうが料理がヘタなんて、せりふ、えらそうに言うことか?」
「そ、それもそうね」
あたしたちの頭に、おっきな汗が浮いた。
「いただきまーす」
あたしたちは食べ始めた。きのうもそうだったけど、かがみさんの作るオムレツはとってもおいしい。
「ほんとう、かがみさんが手伝ってくれて助かるわ。すみれちゃん、朝からかがみさんを召還
してくれて、ありがとう」
「あたし、かがみさんを呼び出してないよ」
「ほぇ?」
ママの手が止まる。
「なんやて?すみれが呼び出していないのに、カードが実体化したっちゅうのか?」
ケロちゃんの表情もきびしくなった。
- 219 :126:04/11/07 22:27:27 ID:c1nlsMlr
- 「ど、どういうことなの、かがみさん?」
みんなの質問に、かがみさんはソーセージをパクッと食べて
「さぁ〜なぁ〜。それを教えたら、番組にならないやろ」
ズザーッ(←すみれたちがコケる音)
「た、確かにそうね・・・ってわけないでしょ!」
あたしは、いつのまにかおでこについていた、ばんそうこうをはがしながら答えた。
「そうや。すみれは、おまいさんを封印しよった。封印されたカードがあるじの知らんところで
実体化するなんぞ、もってのほかや!なにがあったんや!?」
「それが、うちにもよくわからんのや」
「わからない?」
「そうや。カードに戻ってから、うちは、もういっぺん、すみれちゃんの姿になれへんのかと
考えとった。本人になりきって、トラブルを起こすっちゅうんがミラーのカードのお約束みたいな
もんやからな。そうしたら、明け方ごろにすみれちゃんの魔力がふぅーっと弱まってきて、気が
付いたら、うちは実体化していたんや」
「あたしの魔力が弱まってた?」
「そうや。弱まっていたんやなかったら、すみれちゃんがなんかに魔力を使うていて、カードを
制御する余裕がなかったのかもしれんな」
「でも、あたし、寝ていたんだよ。魔力を使ってなんていないよ」
- 220 :126:04/11/07 22:30:23 ID:c1nlsMlr
- そこにケロちゃんが言った。
「すみれ、寝てる間でも、魔力を使うことはあるんや」
「ほぇ?」
「たとえば、正月に見た夢。予知夢を見とる時は、魔力を使うとる」
「予知夢?龍平の?」
「ぼくの?」
突然、名前が出てきて、龍平がびっくりしている。
「あ、はははは・・・」
あたしは、なんとかごまかそうとした。
「今年のお年玉、龍平の方がたくさんもらっていたでしょう?あれ、あたしが夢で見ていたんだよ。
ね、ママ」
あたしがそう言うと、ママも
「そ、そうね。あの時、すみれちゃんはとってもくやしがっていたわ」
なんとか話を合わせてくれた。あの夢のことは、龍平には言わないって、あたしはママとパパと
約束してるんだ。だって、もし、あの夢が本当だったら、龍平になにか大変なことが起こるかも
しれない。そんな夢、絶対、当たらない。当たらないんだ。
- 221 :CC名無したん:04/11/09 21:38:01 ID:NOq7DYM7
- 126さん、乙です
- 222 :CC名無したん:04/11/10 11:29:41 ID:Almmp4vi
- このスレを見るためだけに炉板に出入りする毎日。
126様おつです。
- 223 :デニー・ユガミダニ ◆B.qU2.hSgA :04/11/22 20:30:08 ID:vCWp9oZv
- 保守します。126さんも頑張りましょう。
- 224 :126:04/11/23 10:00:45 ID:cbyykjf3
- 「ごちそうさまぁ」
朝ごはんを食べ終わったあたしたちは、食器をかたづける。
「急がないと、学校に遅れるよ」
そう言ったのは、ママでもあたしでもなくてかがみさんだった。
あたしは、すこしいやーな予感がした。
「かがみさん、ひょっとして学校に行くつもり・・・?」
「もちろんや!」
「そ、そんな、だめだよ!あたしがふたりもいたらたいへんなことになっちゃうよ」
「それやったら、すみれちゃんは、今日はお休みにしたらええやないか」
「なに、言ってるの!」
「ミラーのカードのお約束や。本人になりすまして騒ぎ起こさんとな」
あたしの頭に、おっきな汗が浮いた。
「騒ぎって・・・何考えてるの?!」
「せっかく、すみれちゃんになりきってんのや。昨日できへんかった愛の告白とか」
「そんなの、だめ、だめ、だめーーー!!!!」
あたしは、あわててかがみさんを止めていると、とつぜんケロちゃんが
「餡の紅白・・・まんじゅうやて?」
と聞いてきた。『愛の告白』がそう聞こえたらしい。
「ほぇ?・・・紅白まんじゅう?」
なんか、強引に話がヘンな方向に向かっている。
- 225 :126:04/11/23 10:02:54 ID:cbyykjf3
- 「紅白まんじゅうの何がだめなんや?」
ケロちゃんが目をパチクリさせる。そして、
「あ〜、ひょ〜っとして、すみれ、今日は学校でなんかめでたい行事かなんかあって、
紅白まんじゅうもらえんのやろ?」
「ど、どうしてそうなるの・・・」
あたしの頭に、またおっきな汗が浮く。
「そうや、そうに決まっとる。そんな大切なことをわいに隠して、こっそり食べようしとったんやろ。
かがみ、どないな餡の紅白かわからへんけど、紅白っちゅうことはめでたいっちゅうことや。
がんがんやったれ!わいも応援しとるでぇ!」
「おおきに、ケルベロスはん!すみれちゃんの告白、がんがんやるさかい!」
「そんなら、わいの分も忘れんといてやぁ〜!」
「もちろんや!」
「ふたりともわけわかんないよ・・・」
このままだと、ほんとうにかがみさんが学校に行っちゃう。学校に行っちゃったら、騒ぎになるに
決まっている。とつぜん、同じ姿をしたふたりも現れるなんて、・・・同じ姿をしたふたり?!
そうだ!
「封印解除(レリーズ!)」
- 226 :126:04/11/23 10:10:15 ID:cbyykjf3
- 「すみれちゃん、急にどうしたの?」
「ママ、ががみさんがこのままあたしの姿で学校に行ったら、たいへんなことになっちゃうよ。
だから、かがみさんをケロちゃんの姿にするの!」
「なんやて!?」
反応したのはかがみさんだ。
「うちはこないなぬいぐるみになりとうない。すみれちゃん、お願いだからそれだけはやめてぇな」
「なんやと!わいは封印の獣、ケルベロス様や!ぬいぐるみとちゃうで!」
あたしは、ふたりにかまわず杖を振り上げた。
「彼の者を姿を映し、もうひとりの彼となれ。かがみ!」
「ほぇ?」
杖を振り下ろしたけれども、なにも起こらない。
「それじゃあかんでぇ、すみれちゃん。さくらさんが『かがみ』っちゅう名前付けてくれたけど、
うちはあくまでもミラーのカードや。『ミラー』って呼んでくれへんと発動できんさかい」
「そっか」
かがみさんのことばを聞いて、あたしはもう一度杖を振り上げた。
「彼の者を姿を映し、もうひとりの彼となれ。ミラー!」
杖を振り下ろすと、かがみさんは光に包まれた。
「こないになるってわかうとるのに教えてしまうなんて、うちはほんまにアホやーーーっ!」
- 227 :CC名無したん:04/11/23 12:36:02 ID:ImXrO8wQ
- 126さん乙かれです。
報道されたからって騒いでる阿呆な椰子いますがそれでも頑張ってください。
- 228 :CC名無したん:04/11/23 15:01:35 ID:/msCVF5C
- 126氏キタ━━(゚∀゚)━━!!!乙
- 229 :CC名無したん:04/11/24 02:25:46 ID:Y8twGs45
- 126氏キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
かがみさんナイスボケ!!
思わずワラタ
次回も期待しています(´∀`)b
- 230 :126:04/11/28 21:38:04 ID:uv2zMpDN
- やがて、かがみさんを包んだ光が消えていった。
「くすん・・・くすん・・・」
テーブルの上には、○| ̄|_になっているかがみさんがいた。
「こないな情けない姿・・・おかんに見せられへん・・・うちはカードやからおかんはおらんけど」
「なんやと!」
おこったのはケロちゃんだった。
「せっかく、わいのナイスで小粋な姿になっておいて、情けないやと!その姿、よ〜く見るんや!」
そう言って、ケロちゃんはかがみさんの前に鏡を置いた。
「そんな殺生な、ケルベロスはん・・・」
かがみさんはよろよろと起き上がると、鏡を見る。
「!」
- 231 :126:04/11/28 21:39:17 ID:uv2zMpDN
- 「けっこう、かわいいやないか〜〜〜!」
ママのミラーさんと違って、かがみさんは姿を映すときに1か所だけ違った姿になる。
ケロちゃんと違うのは、かわいらしいチョーカーを着けていることだ。
「今のかがみさんは、チュルミンって感じだよね」
あたしがそう言うと、チュルミンは目をきらきらさせて、
「ほんまや。これならアニメ化はねらえるわ。ほんま、ありがとうな、すみれちゃん」
チュルミンは、ほんとうに気持ちを切り替えるのが早い。
「どうや、ケロはん。あんたよりうちの方がずぅーっとイケてるでぇ!」
「なんやと!わいのほうがずぅーっとナイスで素敵なんや!」
ふたりの掛け合いが始まった。これなら学校に行けそうだ。
「ふたりとも、そろそろ学校に行きなさい。急がないと遅刻しちゃうわよ」
「そうだね、ママ。じゃ、龍平、行こう」
「うん」
「いってきまーす!」
- 232 :CC名無したん:04/11/29 19:53:37 ID:6Kyr2jbF
- チュルミン立直り速っw
- 233 :CC名無したん:04/11/29 19:54:55 ID:6Kyr2jbF
- チュルミン立直り速っ!w
- 234 :CC名無したん:04/11/29 22:58:11 ID:IF0mnrTv
- 立ち直りはやっ!(禿ワラタ
- 235 :CC名無したん:04/11/30 13:52:00 ID:xNLACEsq
- いいっすね
- 236 :126:04/12/06 00:41:34 ID:q1d6eTUI
- 「おはよう!間に合ったぁ!」
あたしは、教室に駆けこんだ。
「おはようございます、すみれちゃん」
「おはよう、知美ちゃん」
「きょうはすみれちゃんにしては珍しく、遅刻すれすれですわね。龍くんは、もう学校に
来ていたみたいですけど」
「うん。途中で忘れ物取りに、あたしだけ一度家に戻ったんだ」
けさは、チュルミンのこともあって家を出るのが遅かったところに忘れ物。
学校に着いたのは本当に遅刻すれすれだった。ランドセルを机に置くと同時に、朝のホームルームの
チャイムが鳴った。
「みんな、おはよう」
神宮寺先生が教室に入ってきた。
あたしはノートと鉛筆だけでも出そうと、ランドセルのふたを開けると、
ぱかっ
という音とともに、花束がぴょこんと飛び出てきた。
「ほ、ほぇ?」
そして、その花束を抱えて、ランドセルの中からせり上がって来たのは
「チュ、チュルミン?!」
- 237 :126:04/12/06 00:42:51 ID:q1d6eTUI
- チュルミンは、あたしの方をチラリと見て、にこっと笑うと、そのからだよりも大きな花束を
思いっきり差し出して、
「すみれちゃんは、あなたのことが大好きです。愛しています。どうかお付き合いしてください」
「ほ、ほぇ・・・」
突然のことで、あたしが固まっていると、チュルミンはもう一度あたしの方に振り向いて
「どうや?すみれちゃんにかわって、愛の告白してやったで」
あたしは、ますます固まった。
次の瞬間、
「ありがとう。でも、残念ね。先生は女だから」
みんながどっと笑う。自分のからだより花束が大きくて見えなかったんだろうけど、
チュルミンが花束を差し出していたのは、衛くんにではなく、あたしの席にまでやって来ていた、
神宮司先生だった。
「木之本さん、誰かさんに愛の告白をするのなら、ホームルームじゃなくて、ふたりっきりの方が
いいんじゃないかしら?」
「ほ、ほぇ」
「それに、学校にロボペ(ロボットペット)を持ってくるのはいいけれど、スイッチ入れるのは
休み時間だけにしてほしいな」
- 238 :126:04/12/06 00:44:54 ID:q1d6eTUI
- 「す、すみません。今、スイッチ切ります。芸人モードに入っちゃってて・・・」
あたしは、チュルミンを抱き上げた。そして小声で
(お願いだから、お昼休みまでランドセルの中でおとなしくしてて)
(いやや。せっかく愛の告白をしに来たのに)
(いいから、おとなしくしてて!)
「木之本さん、なにロボペと遊んでいるの?」
先生が聞くと衛くんが
「木之本さんのロボペは音声認識できるんです。今、それでスイッチを切っているんですよ」
「そうなの?」
先生が不思議がる。確かに、音声認識でスイッチを切るロボペは珍しいらしい。
「フードファイトの時もそうだったから。でも、木之本さん、きょうのはフードファイトの時の
ロボペとは違うよね」
「う、うん。あの後、パパが香港の信和中心で新型を買って来てくれたんだ。見てのとおり、
芸人モードがパワーアップしてるんだよ。あは、あははは・・・」
あたしは、なんとかごまかすと、チュルミンをランドセルにしまいこんだ。
そんなすみれの姿を見ながら、
(ミラーのカードを実体化させたら、ケルベロスの姿を映したのか・・・
すみれさんとミラーのコンビで、今度のカードは封印できるかな)
と考える衛だった。
- 239 :CC名無したん:04/12/11 07:20:47 ID:gAediuKo
- 126氏キテタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
あぁ…かがみ(チュルミン)さんナイスボケ!
思わず笑いました(笑)
(´-`).。oO(すみれちゃんはこれでドキドキしちゃって、より衛くんに対して接しづらくなるかもしれませんけど…)
(´-`).。oO(そのフォローをうまくかがみ(チュルミン)さんがしてくれれば…とは思いますが…)
いつもありがとうございます。m(_ _)m
- 240 :126:04/12/12 18:32:13 ID:0Ymqx5Kw
- 「・・・ここなら、だいじょうぶだと思いますわ」
「うん」
やっとお昼休みになって、あたしと知美ちゃんは校庭の人目の付かないところに移動した。
ランドセルを下ろして、ふたをあける。
「チュルミン、お昼だよ」
長い間狭いランドセルにいたから、早くチュルミンをランドセルから出してあげようと思っていたら
「??・・・なに、これ?!」
「どうかなさいましたの?」
「・・・むにゃむにゃ・・・うるさいなぁ。せっかく人が・・・ってうちは人やあらへん。
せっかくカードが気持ち良く寝とると言うのに・・・」
「チュルミン、あたしのランドセルにいつの間に・・・」
チュルミンは、ランドセルの中にハンモックをぶらさげて、気持ちよさそうに寝ていたのだ。
「よく寝たーーー」
「よく寝たって、あたしのランドセルの中にそんなもの付けないでよ」
「仕方あらへんやないか。授業のじゃまをせいへん思うたら、寝るのが一番やけど、このままやと
教科書がからだにあたって、痛いんや」
「だからといってハンモックなんて」
「ハンモックだけやない」
「・・・ハンモックだけじゃない?」
「朝、花束を出したときに使ったんやけど、せり上げ装置も付けたんやで」
「なんですってーーーっ!?」
「落ち着いてや。これはせり上げ装置やから、めんどいクレーン等安全規則も適用除外やし、
おかげでうちの登場シーンの演出がごっつう効果的になったやないか」
「そんな問題じゃない!」
- 241 :126:04/12/12 18:33:30 ID:0Ymqx5Kw
- 「大道具にお詳しいのですね」
知美ちゃんが聞く。知美ちゃんは演劇部だから、そのへんに興味を持ったみたいだ。
「まぁ、いろいろとな」
「ごあいさつがまだでしたわね。わたくしは、大道寺知美です。はじめまして」
「はじめまして。うちの名前は、チュルミン。このアニメの主人公や!」
「主人公って・・・」
あたしの頭におっきな汗が浮いた。けれども、知美ちゃんは
「すみれちゃんもがんばらないと、主役の座を奪われますわよ」
「知美ちゃん・・・そんなにさらっと言わなくても・・・」
「それにしても、ほんとうによくできてますわね、このロボペ」
「ロボペやない!うちは、クロウ・カードや!」
「まぁ?」
知美ちゃんは、あたしの顔を見る。
「ほんとうですの?」
「うん」
「すると、チュルミンさんは『ケロちゃんさんもどき』のカードなんですの?」
ズサーッ(←すみれとチュルミンがコケる音)
「ち、違うって。チュルミンは、ミラーのカードさんなんだよ」
あたしは、いつの間にか付いたばんそうこうをはがしながら、きのうからの出来事を話し出した。
- 242 :126:04/12/12 18:35:37 ID:0Ymqx5Kw
- 「・・・それは残念でしたわ。きのうのことをビデオに撮影できなくて」
知美ちゃんのお約束の反応に、あたしの頭に汗が浮く。
「ほんま、残念やったな。きのうは名場面の連続やったでぇ。主人公のうちが消えかけるところ
なんか、これまでの最高視聴率やったんや」
「どうして、そんなことわかるのよ。まだ日報(テレビ視聴率日報のこと)出てないのに」
・・・
一瞬の間の後、チュルミンはあたしたちの前ですわりなおした。
「いろいろあったけど、うちはすみれちゃんに封印してもらえて、ほんまよかったと思うとる。
うちも、封印された他のカードたちも、みんな、すみれちゃんのことが大好きなんや。
なにか、うちらにできることがあったら、遠慮なく呼び出してや」
「なにも、そんなこと、改まって言わなくても」
「そっか。それじゃ、いいかげん、お昼にしようか。このままやとお昼休み終わってしまうで」
チュルミンは、ランドセルからお弁当を取り出した。いつものより3倍近く大きい。
「きょうのお弁当は、うちとさくらんさんが作ったさかい、おいしいでぇ。
知美ちゃんもどうや?こないなこともあろうかと、多めに作っておいたさかい」
「いいんですの?」
「せっかくだから、食べようよ。今からカフェテリア行っても、時間ないし、チュルミンさんの料理、
とってもおいしいんだから」
「では、遠慮なくいっしょにいただきます」
「そうや。いっしょに食べたほうが、何倍もおいしくなるって」
「チュルミンの言うとおり!」
- 243 :CC名無したん:04/12/13 02:45:19 ID:fYO+eKGE
- 126氏キテタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
チュルミンさんって、自分の演出の為に短時間で機械設置したりするなど、
下手したら本物のケロちゃんの座を奪う気マンマンだなぁ…
なんて思ったりしちゃいました(^^;)
ケロちゃんもガンガレ…と思いつつ、次回も期待します(*´∀`)
- 244 :CC名無したん:04/12/14 11:54:44 ID:CsfVV8qe
- せっかく人が増えたんだし、この機会にこの名作を読んでもらうためにageます。
- 245 :カドキャプ:04/12/14 12:04:17 ID:wGJIfseq
- http://blog.naver.co.jp/yuukanasuke カドキャプ放送局
- 246 :126:04/12/20 00:49:06 ID:2gsCs0on
- そして、その日の午後の授業は無事に終わった。
「じゃ、みんな、また、あした」
神宮司先生が、教室を出て行った。
「衛くん、校庭でサッカーやろうよ」
「ごめん、きょうはおばあちゃんに頼まれたお使いがあるんだ。また、今度」
「そっか。じゃ、また、あした」
いつも、衛くんは放課後になるとクラスの男の子たちといっしょに校庭に飛び出すから、
クラブのない日は、なかなか話をすることがない。
「そうだ、木之本さん」
「な、なに?」
とつぜん、話しかけられて、あたしは少しどきどきしてしまう。
「けさのロボペ、どうしたの?」
「ラ、ランドセルの中だよ」
「そうなんだ。フードファイトの時もそうだったけど、木之本さんって、いつも変わったロボペを
持っているんだよね」
「う、うん。パパがいつも香港の信和中心で買って来てくれるから・・・日本にない変わった
モデルなんだって。きょうのは、芸人モードがパワーアップしてるんだよ」
「ちょっと、見せてくれない?」
「ほぇ?」
あたしはあわてた。今、チュルミンをランドセルから出したら、また愛の告白をするに決まってる!
- 247 :126:04/12/20 00:50:11 ID:2gsCs0on
- 「あの、今、バッテリーが切れてて動かないし、それにもし動いていても、けさみたいに芸人モードで
変なことをするかもしれないし」
あたしがあわてていると、
「メーカーを知りたいんだ。おばあちゃんが香港に行ったときに買って来てもらおうと思うから」
「ほぇ?」
それって、衛くんが、あたしと同じロボペが欲しいってこと?
「だから、ちょっとだけ」
「う、うん」
あたしは、断りきれなくてランドセルのふたをあけた。
すかー。すかー。
チュルミンは気持ちよさそうに眠っている。お昼のお弁当をたっぷり食べたからみたいだ。
「バッテリー、あまりないみたい」
あたしは、そっと、眠っているチュルミンを抱き上げた。
「羽のところを見せてくれない?たぶん、そこにメーカーの名前とか入っていると思うんだ」
あたしは、衛くんにチュルミンの背中を見せる。
衛くんが、チュルミンの羽のところに指を伸ばしたとき
(!)
あたしは、一瞬、なにかを感じた。
- 248 :126:04/12/20 00:51:37 ID:2gsCs0on
- 「どうしたの、木之本さん?何か驚いたみたいだけど?」
衛くんのことばに
「な、なんでもないよ」
あたしはごまかした。魔力を感じたなんて、衛くんに言うわけにはいかない。
「・・・おかしいな。メーカーも型番もなんにも書いてないよ」
「このロボペは特別製だって、パパが言っていた。だから、メーカーも型番も入ってないんだよ」
「そうなんだ。じゃ、同じものをおばあちゃんに買って来てもらうのは無理っぽいね」
「う、うん、たぶん」
「残念だなぁ。けど、見せてくれてありがとう。ぼく、そろそろおばあちゃんのお使いに行かないと」
「残念だったね。それじゃ、またあした」
「うん。じゃあ、またあした」
あたしは、衛くんが教室を出て行くのを見届けて、ほっとした。これで、チュルミンが騒ぎを
起こすともないだろう。
「残念でしたわね〜」
「残念って・・・知美ちゃん、何が?」
「せっかく、衛くんとおそろいのロボペを持てたかもしれないのに。おふたりがおそろいの
ロボペを持って、楽しそうにお話しする・・・想像するだけでも・・・うっとりしますわ〜・・・」
「知美ちゃん・・・」
あたしの頭に大きな汗が浮いた。
- 249 :126:04/12/20 00:53:24 ID:2gsCs0on
- 「むにゃ・・・むにゃ・・・なんや、背中がこそばゆいな・・・」
そのとき、チュルミンが起き出した。
「目が覚めたのね、チュルミン」
「よく、お眠りになりました?」
チュルミンは、うーん、と背伸びをすると
「はっ!そうや、愛の告白をせんと!花束はどこや、花束は?」
と言って、机の上に飛び降りた。
「もう、放課後だよ」
「なんやて?!」
「衛くんは、お帰りになってしまいましたわ」
「ということは、完全にタイミングを逃してしまったんか?」
「そうですわ」
_| ̄|○ ・・・
そんな_| ̄|○なチュルミンに、知美ちゃんがなにかをこっそりと言った。
(でも、これでよかったかもしれませんわ。すみれちゃんにはライバルがいらっしゃいますから)
(ライバル?誰や?)
(それは・・・今にわかりますわ)
知美ちゃんは、とっても楽しそうに見えた。
- 250 :CC名無したん:04/12/21 09:26:45 ID:7zP+LPei
- >>126 お疲れサマンサ & 名作age
- 251 :CC名無したん:04/12/23 17:45:12 ID:Vuc8UyDi
- 126氏キテタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
チュルミンの_| ̄|○に本当にワラタ
すみれちゃんのライバルって誰でしょう?
(それを示すような記述ってあったかなぁ…前に戻って見直してみます)
次回も楽しみです。
- 252 :126:04/12/27 22:12:15 ID:u3SdqiHj
- 「・・・うーん」
あたしの腕の中で、チュルミンはさっきから考え中だ。
「チュルミン、さっきから何考えてるの?教室を出てからずっとじゃない?」
「チュルミンさんは、新たな課題に挑戦されているのですわ」
「新たな課題ってなに?」
「・・・どやったら、うまく愛の告白できるんかなっと思ってな。作戦の練り直し中や」
「そんな作戦、練らなくていいよ」
「そやかて、強力なライバルがおるとなると・・・」
「ほぇ?」
「なかなか難しいですわね。ライバルの方は、とってもふんわりですから・・・」
そんな話をしつつ、あたしたちはペンギン公園の近くに来ていた。
すると、そのとき
ばっしーん!
「なに?」
「雷や!」
空を見上げると、雲がどんどん広がっていく。
「にわか雨でしょうか?」
「ほぇーっ!」
あたしたちは、ペンギン大王の中に駆け込んだ。
- 253 :126:04/12/27 22:16:52 ID:u3SdqiHj
- 「ここなら雨宿りも・・・」
ばっしーん!ゴロゴロ!
雷の光と音が響き渡って、まわりが一気に暗くなった。
ペンギン大王の中から、外をそっとのぞく。
「あや?降ってこないよ?」
ばっしーん!どーん!
「!」
あたしが耳をふさぐと同時に、街灯に雷が落ちた。
「ほぇ?」
見ていると、雷が公園の街灯を飛び移るように移動していった。こんな雷、見たことがない。
「こ、これは?」
「クロウ・カードや!」
「えーっ?!」
「これは、雷、サンダーのカードや!」
「と、いうことは?」
「カードキャプターの出番やで!」
- 254 :126:04/12/27 22:18:29 ID:u3SdqiHj
- あたしは呪文を唱えだした。
「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
「チュルミンは、危ないから知美ちゃんといっしょにいて」
「いやや。うちもクロウ・カードのはしくれや。すみれちゃんといっしょに行くでぇ」
チュルミンはあたしの腕の中から肩のほうに飛び移った。
「だって、チュルミンはケロちゃんの姿を映しただけだから、空を飛べないでしょ?
これからジャンプを使うから、チュルミンは振り落とされてしまうかもしれないんだよ」
「だいじょうぶや。ちゃんとハーネスを用意しておいたさかい」
チュルミンはからだに装着したハーネスの先のカラビナを、ランドセルにひっかけた。
「い、いつの間にそんなものを・・・」
けれども、これでチュルミンを振り落とすことはなさそうだ。
「じゃ、行くよ。ジャンプ!」
あたしはペンギン大王から飛び出して、サンダーの後を追っかけた。
「おふたりともりりしいですわー」
そんなすみれたちを、知美はばっちりと撮影している。撮影しながら、ふと、あることに気がついた。
「いけませんわ。このままでは、すみれちゃんが大ピンチです・・・それには・・・」
ビデオカメラを止めて、知美はケータイを取り出した。
「ここからなら、間に合うかもしれませんわ」
- 255 :126:04/12/27 22:20:05 ID:u3SdqiHj
- ジャンプでサンダーを追っかけていると、チュルミンが聞いてきた。
「すみれちゃん、サンダーを封印するにはどうしたらいいか、わかっとるん?」
「どうするの?」
「サンダーを封印するには、元の形にするんや」
「サンダーの元の形って?」
「雷獣や。サンダーは、雷撃をくらわして雷獣の姿に戻してから封印するんや」
「そっか。ママのときもそうだったね」
あたしは、知美ちゃんのおうちで見たビデオを思い出した。
「そやから、サンダーに雷撃をくらわせれば」
「ちょっと待って。あたし、雷を操るカードなんで持っていないよ」
「なんやて!?すみれちゃんはサンダーのカードを持っておらんのか?」
「持っていないから、今、追いかけてるんでしょ?」
「そやったら、さくらさんはどないしてサンダーを封印したんや?」
「あのときは、パパが雷の魔法を使えたの!」
「とか漫才やっとるうちに、サンダーのやつ、うちらに気づいたみたいや」
「ほ、ほぇーっ!!!」
サンダーは方向を変えて、あたしたちに向かってきた。
- 256 :126:04/12/27 22:22:27 ID:u3SdqiHj
- 「ほぇーーーっ!!!」
それからのあたしたちは、逃げ回るだけだった。
フライのカードさんを使えば逃げられたかもしれないけれど、とても新しいカードさんを
呼び出す余裕なんてない。
「うぐうぐうぐ・・・」
ジャンプで方向を変えるたびに、チュルミンがハーネスごと振り回される。
「がんばって、チュルミン!」
あたしは、林の中に逃げ込んだ。
そうして、また、ジャンプ。
ブチッ!
「すみれちゃーん!」
とうとうハーネスがちぎれて、チュルミンが放り出される。
「チュルミン!」
あたしはチュルミンを助けようと手を伸ばした。
そして、地面にそのままスライディング。
「だいじょうぶ、チュルミン?」
あたしの手の中でチュルミンは、
「ああ、だいじょうぶや・・・けど、うちら、絶体絶命みたいやで」
「・・・え?」
顔を上げると、あたしたちの正面からサンダーが向かってきた。
そして、あたしたちの前に立ちはだかる黒い影。
「あれは・・・?」
- 257 :CC名無したん:04/12/28 13:59:34 ID:v3srDtrl
- >>126 お疲れサマンサ。これから読みます。
- 258 :126:04/12/30 09:52:40 ID:susB8df7
- 「黒鋼さん?!」
あたしたちの前に立っていたのは、キタリスの黒鋼さんだった。
あたしたちを威嚇するように、サンダーは音をとどろかせる。
「黒鋼さん、あぶない!」
けれども、黒鋼さんがあたしたちをちらっと見た後、サンダーの方を向きなおしたと思うと、
あたりに強烈な光と音が響き渡った。
「なに?なにが起きたの?」
「あのリスのあんちゃん、額から雷撃を出しよった!」
「えーっ!!」
グォーッ!
サンダーは、雷獣の姿に戻っていた。そして黒鋼さんに向けて雷撃で攻撃する。
「黒鋼さん、逃げて!」
けれども、黒鋼さんも逃げずに電撃で反撃する。
サンダーと黒鋼さんの雷撃は、空中でぶつかって
バリバリ!バザーンッ!!!
反動で黒鋼さんがはじき飛ばされた。
「黒鋼さん!」
「あかん!」
- 259 :126:04/12/30 09:53:51 ID:susB8df7
- はじき飛ばされた黒鋼さんを助けようと、チュルミンがあたしの手から飛び出した。
そして、空中で黒鋼さんを受け止める。
「もう、だいじょうぶや」
けれども、あたしは黒鋼さんが助かったことよりも別のことで驚いていた。
「チュルミン、空、飛んでいる・・・」
「ほ、ほんまや!」
チュルミンは、黒鋼さんを受け止めてそのまま宙に浮いていたのだ。
「はっ!そ、そんなことより、すみれちゃん、封印や!今なら封印できるでぇ!」
「封印って、どうすればいいの?あたし、ママのときのようにシャドーのカードさんを持ってないよ」
「グルーや。グルーのカードで封印できる」
「わかった。やってみる」
あたしは、グルーのカードさんを取り出した。
「膠よ。彼の者を包み込め。グルー!」
カードから伸びた膠がサンダーを包み込む。
サンダーはその雄たけびを残して
「今や!」
あたしは、サンダーに駆け寄った。
「汝のあるべき姿に戻れ!クロウ・カード!」
まもなくサンダーのカードがあたしの手に飛び込んできた。
「やったぁ!」
「ようやったでぇ。すみれちゃん」
- 260 :126:04/12/30 09:55:21 ID:susB8df7
- 「ありがとう、チュルミン。封印のしかたを教えてくれて」
「サンダーは電気を通さんもんで包んでしまえば封印できる。シャドーもそうなんやけど、
グルーのカードも電気を通さないんや」
「よく知ってるね」
「まぁな。うちは博識やさかい」
チュルミンがやってきて、あたしに黒鋼さんを渡す。
「ありがとう、黒鋼さん」
黒鋼さんは、ぷいっと横を向いた。なんだか照れているみたいだ。
「ほんま、おおきにな。あんたが雷撃出さんかったら、うちらはどうなってたやら。
それにしても、どうして、あんたのようなリスさんがあないな技を持ってるん?」
「ICタグですわ」
「知美ちゃん!」
そのとき、あたしたちの前に知美ちゃんが現れた。お約束どおり、手にはビデオカメラを持っている。
「みなさんの活躍、ばっちり撮影できましたわ」
「知美ちゃん、ICタグって?」
「黒ぴょんさんには、おいたをしたときに懲らしめるために電流を流すICタグが埋め込まれて
おりますの。さきほどの電撃は、わたくしがこれで操作したのですわ」
知美ちゃんは、あたしたちにケータイを見せた。
「でもでも、さっきの電撃すごかったよ。あんなの流してだいじょうぶなの?」
「だいじょうぶですわ」
「ほんとうに?」
「ええ。それが、黒みぃさんの体質なんですもの」
「なに、それ・・・」
あたしとチュルミンの頭に、おっきな汗が浮いた。
- 261 :126:04/12/30 09:57:12 ID:susB8df7
- 「それにしても、チュルミンさんはお空を飛ぶこともできたのですね」
「ほんとう、びっくりしたよ。空を飛べるなら飛べるって言ってくれたらよかったのに」
「すまん、すまん・・・って、うち、この姿で飛べるなんて知らんかったんや」
「ほんとう?」
「ほんまや。ほんまに知らんかったんや。けど」
チュルミンは、羽をぴょこぴょこ動かして言った。
「空を飛べるっちゅうことは、うちがまだまだ大活躍できるっちゅうことや。
このアニメの主人公になれる日も、近いで」
「まぁ、チュルミンさんったら」
知美ちゃんが楽しそうに笑う。それにつられてあたしも笑った。ほんとうによかった。
カードを封印できたこともそうだけど、それよりもチュルミンや黒鋼さんが無事だったから。
ほんとうにありがとう。チュルミン、黒鋼さん。そして、知美ちゃん。
「どうやら、無事に封印できたようですわね」
「ああ。ミラーが空を飛べるようにしておいてよかったよ」
「そんなことまでしたのですか、エドワード」
「ミラーのカードが、すみれさんと行動をともにするのはわかっていた。空を飛べなかったら
危険なめにあって、すみれさんが悲しい思いをすることもわかっていたから、きょう、あわてて
力を使ったんだよ」
「すみれさんにはばれなかったのですか?」
「魔力には気づいたようだけど、ぼくのせいとは気づかなかったようだよ」
ふたりは、すみれたちの封印を見届けると、その場から消えるようにいなくなった。
<×すみれとかがみの迷コンビ?→○すみれとチュルミンの迷コンビ?:終劇>
- 262 :CC名無したん:04/12/30 16:31:15 ID:/y6wz/7u
- 126氏キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!
黒鋼さんって以前出てきたロボペですね。
そんな機能あったんですか…_〆(゚▽゚*)
何はともあれ、年末のプレゼントありがとうございました!
- 263 :さくらと小狼の子供たち(前スレ):04/12/31 14:25:52 ID:O3mlNlkm
- http://ruku.qp.tc/dat2ch/0412/31/1019101668.html
- 264 :126:05/01/01 00:11:26 ID:4x1rJf1A
- さくらの初夢
「だれ?わたしを呼ぶのは?」
ふと気がつくと、わたしはビルの屋上に立っていた。
そして、そばにいるのはケロちゃん。
目の前に広がるのは東京タワー。
東京タワーの展望台の屋根に人影が見える。
あたりに舞い落ちるのは
「桜の花びら・・・?」
思わず手を差し出すと、てのひらにひらりと乗った花びらはかすかな光に包まれた。
「・・・あ?」
その光が消えたとき、花びらはカードに姿を変えていた。
- 265 :126:05/01/01 00:14:10 ID:4x1rJf1A
- すみれの初夢
「だれ?わたしを呼ぶのは?」
ふと気がつくと、あたしは丘の上にたっていた。
そして、そばにいるのはチュルミン。
目の前に広がるのはハドリアン・ウォール。
その城壁の上にふたりの人影が見える。
あたりに舞い落ちるのは
「すみれの花びら・・・?」
思わず手を差し出すと、てのひらにひらりと乗った花びらはかすかな光に包まれた。
「・・・あ?」
その光が消えたとき、花びらはカードに姿を変えていた。
- 266 :126:05/01/01 00:15:40 ID:4x1rJf1A
- チュルミンの初夢
「だれや?うちを呼ぶのは?」
ふと気がつくと、うちはビルの屋上に立っとった。
そして、そばにおるんは黒鋼はん。
目の前に広がるんは東京タワーなんかよりごっつう高い通天閣や。
そのてっぺんには、食い倒れのあんちゃんと1粒300メートルが立っておった。
あたりに舞い落ちるのは
「鏡のかけら・・・?」
思わず手を差し出すと、てのひらに鏡のかけらが・・・グサッ!
「いたぁーーーーーーっ!!!」
- 267 :チュルミン:05/01/01 00:32:47 ID:4x1rJf1A
- 正月からからだはったんやけど、このオチ、別に初夢やなくてもええやないか orz...
- 268 :CC名無したん:05/01/01 01:06:56 ID:C7kIkmLn
- あけましておめでd(´・ω・`)
>>126さんが来てますよ!
>そのてっぺんには、食い倒れのあんちゃんと1粒300メートルが立っておった。
どんな夢見てんだよチュルミン _| ̄|○ノシ
- 269 :S.A Studio ◆Sastuvj1Pg :05/01/01 10:19:56 ID:Ixq18JxP
- 126さん乙です。
激しくワラタ。
- 270 :CC名無したん:05/01/02 03:51:12 ID:6cUcmZG4
- 126氏キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
1粒300メートルワラタ
- 271 :鏡@ミラ留守:05/01/02 10:49:52 ID:u/cRhxLo
- 126氏あけおめ(´∀`)ノシ
遅レスだけど、初笑いさせて頂きますた。
- 272 :CC名無したん:05/01/02 21:14:44 ID:wBSWUFfY
- 126氏そして他のスレ住人さんあけましておめでとうございます
チュルミン三段落ちワラタ
- 273 :CC名無したん:05/01/03 08:05:12 ID:KCFimE+4
- 126さん乙&あけおめ
スレも一周年ですなあ
- 274 :CC名無したん:05/01/03 23:30:39 ID:QkXWqCkT
- うわすげースレ見つけた。
- 275 :126:05/01/10 21:52:22 ID:kmzLBy+Z
- 次回予告
ケロちゃんといっしょに知美ちゃんのおうちに遊びに行くんだ。
でも、知美ちゃんが相談したいことってなんだろう?
またお洋服のデザインのことかな?
そして、知美ちゃんがお部屋で見せてくれたのは・・・
ほぇ〜!これ、宙に浮いてるよ!?
カードキャプターすみれ さくらと小狼のこどもたち
すみれと知美と大切なもの
次回もすみれと一緒に
さくらと一緒に
封印解除(レリーズ)!
- 276 :CC名無したん:05/01/10 22:58:52 ID:F7EppAsM
- 次回予告キタ━━(゚∀゚)━━!!
- 277 :126:05/01/16 01:26:04 ID:zsXwYhHl
- 「西光寺だ。次のバス停で降りるんだよね」
今、あたしは、知美ちゃんのおうちに向かうバスに乗っている。
→回想シーン
きのうのお休み時間のとき
「ほぇ?知美ちゃんのおうちに?」
「ええ。ちょっと困ったことがありまして・・・すみれちゃん、よろしければ、あすの日曜日、
うちに来ていただきませんか?」
「知美ちゃんのおうちに行くのはうれしいけど、困ったことってなに?」
「それは、あしたご説明しますわ」
←回想シーン終わり
「・・・知美ちゃん、なにがあったんだろう?」
そのとき、あたしのたまごさんリュックの中から
「・・・うぐうぐうぐ・・・苦しい!」
ケロちゃんが飛び出した。
「あ!」
あたしは、思わずリュックのジッパーを閉じる。
「!」
バスの乗客の視線があたしに集まるのがわかる。
「あ、なんでもありません」
あたしはあせってごまかした。
「・・・だめだよ。ケロちゃん」
「そやかて、中の空気が」
「もうちょっとだから、がまんして」
「もう限界や」
「もうちょっとだから、ね、ね。次だからがまんして」
「・・・すみれ、今、他の客の視線が集まっとるんやないか?さくらの時と時代は変わっとるんや。
ロボペっちゅうことにすれば、わいをカバンの外に出しても変に思われへんで」
「・・・そっか。ごめん」
- 278 :126:05/01/16 01:27:20 ID:zsXwYhHl
- バス停を降りて、知美ちゃんのおうちに歩いて行く。
「いつ来ても、でっかいうちやなぁ」
「ケロちゃん、リュックに乗って。いくらロボペでも空を飛ぶのはおかしいから」
「わかった」
ケロちゃんがたまごさんリュックに乗るのを確かめてから、あたしはインターホンを押す。
「はい。どちらさまでしょう?」
「木之本です」
「いらっしゃいませ。今、門を開けます」
いつものように、大きな門が開いていく。
そしていつものように、大きなおうちに進んで行くと噴水を過ぎたあたりで玄関のドアが開いて
「すみれちゃん!」
「こんにちは」
「いらっしゃい!」
「よう!知美!」
「こんにちは、ケロちゃんさん」
「どうぞ。わたしの部屋へ」
あたしたちは知美ちゃんのおうちに入る。すると
「お嬢さま?」
メイドさんが、知美ちゃんに声をかける。
「お茶はどちらにお持ちしましょうか?」
「じゃ、わたしの部屋に3つ」
「3つですか?」
メイドさんが、不思議そうに聞き返す。けれども知美ちゃんは、こくんとうなずくと
「お願いしますね」
と、あたしの手を引っ張って歩き出した。
すみれたちが立ち去ったあと、そのメイドはつぶやいた。
「これが、あの大道寺家の7不思議のひとつ、『わたしの部屋に3つ』・・・」
- 279 :126:05/01/16 01:29:19 ID:zsXwYhHl
- 知美ちゃんのお部屋に入る。
まもなく、ドアがノックされて
「どうぞ」
「お嬢さま、お茶をお持ちしました」
メイドさんが部屋を出ると、
「そうだ。これ、ママが知美ちゃんにって、クッキー焼いてくれたんだよ」
あたしは、たまごさんリュックから、ママが作ったクッキーを取り出した。
「まぁ。ありがとうございます。では、ケロちゃんさんもいっしょにいかがですか?」
「わーい!クッキーや!」
ケロちゃんはごきげんだ。
あたしたちはしばらくおしゃべりを楽しんだ後、
「ところで知美ちゃん、困ったことってなに?」
「実は・・・今、お持ちしますわ。母の部屋にありますの」
知美ちゃんは部屋を出るとすぐに戻ってきた。両手で箱を持っている。
「その箱、クロウ・カードの気配がする」
「知美、その箱、見覚えあるでぇ!」
ケロちゃんは少し興奮しているようだった。
「確か、シールドのカードがとりついていた箱や」
「というと、撫子おばあちゃんの結婚式のときのブーケと、ママが知世おばさんにあげた消しゴムが
入っている箱なんだね」
「そうです。祖母と母がとても大切にしている箱ですわ」
「また、開かなくなっちゃったの?」
「それもあるのですが、わたしの手元を良く見てくださいな」
「ほぇ?」
あたしは知美ちゃんの手元を見直した。箱と知美ちゃん手の間にすきまが・・・
「ほぇ〜?これ、宙に浮いてるよ!?」
- 280 :CC名無したん:05/01/16 02:23:50 ID:vLbM1xBK
- 126氏キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
「大道寺家の7不思議」ワロタ
残り6つは何だろう…と思いつつも、シールドのカードが取りついていた箱の
中に、今度は何が入っているのか。
楽しみにしたいと思います。
ありがとうございました。
- 281 :CC名無したん:05/01/16 13:21:05 ID:+Nk4sbIn
- >「これが、あの大道寺家の7不思議のひとつ、『わたしの部屋に3つ』・・・」
禿ワラタ
あの箱が再び……ですか。
次回が待ち遠しいです
- 282 :CC名無したん:05/01/22 20:12:16 ID:CnUKyrZ50
- 李家の人たちは出る予定はないのかな。
あの姉たち結構好きなんだが…w
- 283 :チュルミン:05/01/23 18:21:59 ID:OcSwB81MO
-
なんでうちだけお留守番やねん・・・・_| ̄|○
あぁ〜〜〜〜〜っっ!!
うちも行きたい逝きたいイきたい生きたいいきたぁ〜〜〜〜〜いぃ!!!! ジタバタジタバタ
- 284 :126:05/01/24 01:49:34 ID:9X30qmZO0
- 「宙に浮いているのではありませんわ」
知美ちゃんは、箱をテーブルの上に置いた。テーブルと箱の間にすきまが見える。
「なにか透明なクッションのようなもので包まれているみたいですの。ほら」
そう言って、知美ちゃんが指で箱を押さえると−やっぱり、指と箱の間にはすきまができるんだけど−
箱はゆっくりと少し沈んだ。そして知美ちゃんが指を離すと箱はゆっくりとせり上がった。
「ほんとうだ。見えないクッションで包まれているみたい」
「そこがさくらさんが封印してくださったときとは違いますの。けれども、見ていてくださいね」
知美ちゃんはポケットから鍵を取り出した。その鍵で箱を開けようとすると・・・
ぽよーん!
箱に近づいた鍵は、はじかれた。
「ひさしぶりにこの箱を開けようとしたらこの調子で・・・」
「確かにこれはクロウ・カードのせいやな」
ケロちゃんが箱に近づいて、ちょん、とつつく。
ぽよーん。
「!」
「見えたか、すみれ」
「うん。なにかバリアみたいなものが」
「そうや。さくらの時とはちょっと違うが、やっぱりこれもシールドのカードや」
「というと、ママの時と同じようにソードでシールドを切ればいいのね?」
「シールドは切られたら本体表すさかい、そこをすかさず封印や!」
「すばらしいですわ。では、さっそく衣装とビデオの準備を」
「・・・」
いつの間にかしっかりバトルコスチュームとビデオカメラを用意している知美ちゃんを見て、
あたしの頭におっきな汗が浮いた・・・
- 285 :126:05/01/24 01:51:51 ID:9X30qmZO0
- 「りりしいですわ〜」
バトルコスチュームに着替えたあたしを見て、知美ちゃんはご機嫌だ。
「カメラも準備OKですわ。では、すみれちゃん、こちらでどうぞ」
「う、うん」
あたしはカメラの前で呪文を唱えだした。
「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
「クロウの作りしカードよ。我が鍵に力を貸せ。
カードに宿りし魔力を、この鍵に移し、我に力を!ソード!」
封印の杖がソードに変わる。あたしは箱に向かって
「ハァーッ!」
ソードを振りおろした。ソードから伸びた魔力がシールドを切り裂こうとしたとき
ばぽん!
「キャッ!」
あたしはソードごとはじき返されていた。
「すみれちゃん、だいじょうぶですか?」
「うん、だいじょうぶだよ。でも、どうして・・・?」
「シールドが柔らかすぎるんや。すみれの魔力じゃ、その柔らかさを押し切れないんや」
「そんな・・・」
- 286 :S.A Studio ◆Sastuvj1Pg :05/01/24 19:12:25 ID:LcgpqdU00
- 126さん、毎度乙カレー。
- 287 :126:05/01/30 23:48:13 ID:PAtLnVBJ0
- ケロちゃんは話を続けた。
「シールドは大事なもんを守るためのカードや。より大事なもんを守ろうとする性質がある。
こないにクッションみたいになっとるっちゅうことは、この箱の中身はかなり壊れやすいもんなんやろな」
「それで・・・」
知美ちゃんは納得したようだった。
「知美、この箱の中身はなんや?」
「ブーケと消しゴムですわ」
「それって、ママがカードさんを封印したときとおんなじだよね」
「はい。ところが、ブーケがさくらさんが封印されたときとは違うのです」
「違うって、どんなふうに?」
「いま、とてももろくなっているのですわ。このブーケは、すみれちゃんのおばあさまが結婚されたときの
ブーケです。祖母はとても大切にしています」
「うん、それは知っているよ」
「では、すみれちゃんはご存知でしたか?このブーケが生花(せいか)だということを」
「ほぇ?それっておかしくない?なんで何十年も枯れずにいるの?シールドのカードさんを封印したとき、
ブーケがとってもきれいで香りもすてきだったって、ママが言ってたよ」
「結婚式のあと、祖母がすぐに保存処理をしてもらったのですわ。それでさくらさんが封印したときも
枯れずにいたのです。けれども・・・」
知美ちゃんは、箱の方を見た。
「当時では最新の技術だったのでしょうけれど、不完全でした。時間がたつにつれて花びらが硬く、
もろくなってきたのです。このままではだめだと思い、最新の技術で処理しなおそうとしたら、
またシールドにとりつかれてしまって・・・早くしないとブーケがぼろぼろになってしまいますのに」
「そうか、それでシールドが、中のブーケ守ろう思うてクッションみたいになってるやな」
「でも、どうしよう。このままシールドさんを封印できないと、中のブーケがだめになっちゃうよ」
「そうやなぁ・・・」
あたしたちが考え込んでいると、
「なんや、この気配は?」
- 288 :126:05/01/30 23:49:27 ID:PAtLnVBJ0
- 「チュルミンだよ。チュルミンが、実体化したがってる」
あたしは、チュルミンのカードを取り出した。カードがわずかに光っている。
「なんや、こないなときに?」
「きっと、実体化してすみれちゃんを助けたいと考えておられるのでは?」
「そっか。サンダーさんの時も、チュルミンが封印のしかたを教えてくれたんだ。チュルミンなら、
シールドさんの封印のしかたを知っているのかもしれない。ケロちゃん、また姿借りていい?」
「え〜?またかいな?」
「お願い。あたしの姿に変えたら、きっとややこしいことになるから」
「ま、緊急事態やし、しゃあないな」
「ありがと」
あたしは呪文を唱えた。
「彼の者の姿を映し、もうひとりの彼となれ、チュルミン!」
・・・ぺらっ。
カードはそのまま床に落ちた。
「どうして?」
すると、チュルミンのカードから
「あほーっ!うちはあくまでもミラーのカードなんや!チュルミンと呼んでも召還できんでぇ!」
「ご、ごめん」
あたしはカードを拾うと、もう1度
「彼の者の姿を映し、もうひとりの彼となれ、ミラー!」
カードが魔力につつまれ、実体化していく。すると
「なに、この音楽は!?」
どこからか、音楽が聞こえてきた。
- 289 :126:05/01/30 23:50:45 ID:PAtLnVBJ0
- 「・・・あなたに伝えたいほんとうの想い。
言いたいの 言えないの チャンス逃してばかりのあなたに
まっすぐな想いとちょっぴりの勇気を。
愛と勇気の天使、チュルミン登場!
愛の告白はおまかせよ!」
「・・・・・・」
「なんや?みんな、そないに固まって?」
チュルミンが決めポーズを解いて、不思議そうに聞く。
「・・・チュルミン」
「なんや、すみれちゃん?」
「今のは何?」
「魔法少女のお約束や。登場シーンには決めぜりふと決めポーズはつきもんやろ?
今の曲も自分で作曲したんやで」
「・・・」
あたしが、次のことばを探していると
「すばらしいですわ〜」
「ほんまか?」
「ほんとうですわ〜。今の登場シーン、ばっちりビデオで撮影しましたわ〜!」
「そうか、いいもんはやっぱり理解されるんやなぁ!」
チュルミンはケロちゃんを見つけると、そのそばに飛んでいって
「どうや、ケロはん。知美ちゃんもああ言うとる。あんたよりうちの方がずぅーっとイケてるでぇ!」
「なんやと!わいのほうがずぅーっとナイスで素敵なんや!」
また、ふたりの掛け合いが始まった。
- 290 :CC名無したん:05/01/31 18:05:41 ID:Ms2JyUST0
- あなたに伝えたいほんとうの想い。
言いたいの 言えないの チャンス逃してばかりのあなたに
まっすぐな想いとちょっぴりの勇気を。
愛と勇気の天使、チュルミン登場!
愛の告白はおまかせよ!
テラワロス
- 291 :CC名無したん:05/02/03 09:08:47 ID:aUvuyhHp0
- さくら板にしっかりした小説スレがいくつかあるけど、ここが一番原作やアニメの雰囲気を大切にしていて、見ててわくわくしますな。
ってかまとめサイトがあってもいいのに…ハハアハァ
- 292 :炉板通信 ◆mwhG4Chris :05/02/03 23:05:55 ID:ugy/yA6C0
- さくら板SS書庫の構想はずっと立ててるけど、許可や流れ整理の関係で色々ややこしくて・・・
とか言ってみたり
- 293 :S.A Studio ◆Sastuvj1Pg :05/02/04 20:17:42 ID:UlkJ8zXl0
- 漏れも構想たててるんだが、時間が取れない…
とか言ってみたり
- 294 :CC名無したん:05/02/07 12:12:47 ID:bOPaiC6R0
- 保守
- 295 :炉板通信 ◆mwhG4Chris :05/02/07 23:04:01 ID:KRAk3ZAe0
- 景気の悪いことを言うもんじゃないなorz
- 296 :126:05/02/09 00:55:37 ID:vfc+nlr+0
- 「もう、ふたりともやめてよ。今はカードさんの封印が先でしょ?」
「そっか。そやったな。すまん、すまん」
チュルミンはあたしのところに飛んできた。
「チュルミン、ひょっとしてシールドさんを封印する方法を知ってるの?」
「もちろんや」
「よかったぁ。で、どうすれば封印できるの?」
「ツボや」
「ツボ?ツボって、中に何か入れたりする・・・」
「ちゃうちゃう。すみれちゃんがぼけてどうすんねん。気功で言うツボ・・・とも少し違うかな。
すみれちゃんも、テレビなんかで武道家が手刀で石を割ったりするの、見たことあるやろ?」
「うん」
「他にも、石大工さんがノミを入れる場所を入れる場所とか。うまく当たれば、きれいに石が
割れるんやけど、そこを間違えると、うまく割れないところ。ま、人によって呼び方は多少違うんやけど
シールドのカードにも、ここを攻撃すればひとたまりもないっちゅうツボがあるんや。
そこをやれば、シールドはものを守りきれなくなって封印できる」
「でも、シールドさんのツボって、どうやって見分けるの?」
「まぁ、見ててぇな」
チュルミンは、箱のそばに降りた。シールドさんを、ちょん、ちょん、とつつく。
「どう?」
「・・・わかったでぇ。ツボは、こことここの2か所や。こことここを同時に」
「そんなぁ。ソードさんじゃ、2ヵ所を同時に切れないよ」
「切る必要はない」
「ほぇ?切る必要はないって、それじゃどうするの・・・?」
チュルミンは、シールドさんに両腕を伸ばして
「くすぐるんや!」
ズザーッ(←すみれたちがコケる音)
- 297 :126:05/02/09 00:56:38 ID:vfc+nlr+0
- こちょこちょこちょ・・・
チュルミンのくすぐりが始まった。
こちょこちょこちょ・・・
あたしたちの頭に、おっきな汗が浮いている。
「なぁ、すみれ」
「なに、ケロちゃん?」
「ほんまに、これで封印できるんやろか?」
「さぁ・・・けど、これしか方法はないみたいだし・・・」
「そうかもしれんが、こないな情けない封印方法は、初めてや」
「そ、そうだね」
あたしたちは、チュルミンのくすぐりを見ているしかなかった。そのうち、
「ほぇ?ケロちゃん、シールドさんの気配が」
「すみれも気づいたか?確かに、気配が不安定になってきとる」
こちょこちょこちょ・・・
シールドさんの中の箱が揺れてきている。チュルミンのくすぐりにがまんできなくなったみたいだ。
こちょこちょこちょ・・・
そして、シールドさんの気配が急に強くなったと思うと
「あかん!」
「きゃーっ!」
「知美ちゃん!?」
- 298 :S.A Studio ◆Sastuvj1Pg :05/02/09 18:05:16 ID:g3qn2rVl0
- 126氏キテター
毎度乙です。
- 299 :CC名無したん:05/02/09 20:45:52 ID:MfU08XXi0
- 「くすぐるんや!」爆ワラタ
- 300 :CC名無したん:05/02/11 07:19:43 ID:sER9i7mO0
- 300ゲットage
- 301 :CC名無したん:05/02/13 02:06:40 ID:/O/bbqlY0
- sageとけ
126氏乙。
- 302 :S.A Studio ◆Sastuvj1Pg :05/02/13 10:35:01 ID:cQe3SU/b0
- >>301
メール欄は半角英小文字で"sage"ですが何か。
- 303 :126:05/02/13 23:34:44 ID:fy8Ye/Ca0
- チュルミンのくすぐりでシールドさんががまんしきれなくなって、今度は知美ちゃんを中に
取り込んでしまったんだ。今度は、知美ちゃんにもシールドさんが見えるみたいだ。
「どうして・・・こんなことに」
「想いの強さや」
「どういうこと、チュルミン?」
「シールドは大切にされているもんを守ろうとする性質がある」
「ほぇ?」
「あの箱の中にあったんは、撫子おばあはんのブーケと知世おばはんの消しゴムや。
今、そのふたりはここにおらへん。だから、どうしても大切にしよう想いが弱くなってしまってるんや。
すみれちゃん、すみれちゃんが一番大事に想うとるもんは、この部屋の中の何や?」
「それは知美ちゃん・・・そっか、それで」
「そうや。そやから、シールドはあの箱から知美ちゃんに守る対象を変えたんや」
「でも、どうしよう。このまま知美ちゃんがシールドさんから出られなかったら」
あたしは知美ちゃんの方を見た。
「待ってて、知美ちゃん!今、助けるから!」
「ソード!」
あたしはもう一度、ソードのカードさんを使った。
「ハァーッ!」
ばぼん!
「きゃっ!」
けれどもまた、あたしははね返されただけだった。
- 304 :126:05/02/13 23:38:35 ID:fy8Ye/Ca0
- 「だいじょうぶ、すみれちゃん?」
「だいじょうぶだよ、チュルミン。けど、ソードで切れないとなると、どうすればいいの?」
「チュルミンがさっきみたく、くすぐればええやないか?」
ケロちゃんのことばにチュルミンは首を横に振った。
「あかん。あのシールドを見てみぃ。大きくなっただけあって、ツボの数も増えとる。
こっち側から見えるだけでも、11か所はあるで。それだけのツボを同時にくすぐるなんて無理な話や」
「そんな・・・」
あたしたちは考え込んだ。
「ねぇ、チュルミン。どうすればシールドさんを封印できるのか、もう一度教えて」
「ひとつは、さくらさんのときのように、シールドを力で破った場合や。けど、いまのすみれちゃんの
魔力じゃ、シールドを破るにはまだ少し足りないようやし、ツボを攻めるには数が多すぎて
どうにもならんし・・・」
「いま、ひとつって言ったよね?他にも方法はあるの?」
「ないことはない。けど、考えにくいんやな。これが」
「それでもいいよ。教えて」
「もうひとつの場合は、シールドの守る対象が外に出てしまった場合や。そうすればシールドは力を失う。
けど、魔力のない知美ちゃんがシールドの中から外へ出るなんて無理や」
「そっか!外に出せばいいんだよね」
「なんか、思いついたんか、すみれ」
「ケロちゃん、うまくいくかどうかわからないけど、やってみる。知美ちゃん、危ないから反対側に
下がっていて!」
「はい」
知美ちゃんが反対側に下がるのを見て、あたしは知美ちゃんのお部屋の天井を見上げた。
このお部屋はメゾネットタイプで天井が吹き抜けになっている。この高さならだいじょうぶだろう。
「じゃ、行くよ!」
- 305 :CC名無したん:05/02/14 00:57:30 ID:NZTX0lkvO
- 126氏キタ━(゚∀゚≡゚∀゚)━!!
- 306 :S.A Studio ◆Sastuvj1Pg :05/02/14 19:26:19 ID:HTh7vIQu0
- キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!!。
毎度良質な物語掲載乙です。
- 307 :CC名無したん:05/02/15 01:27:23 ID:ybEyhEkuO
- Ready,3,2,1,Firing!
(M2機銃掃射)
- 308 :126:05/02/21 02:02:46 ID:xlxDBA1G0
- あたしは両手を空けるために、封印の杖を投げ上げた。それと同時に
「ハァーッ・・・タタタタタタ!」
両手の拳を連続してシールドさんにたたきつける。シールドさんが反動であたしをはねかえそうとする。
その力を利用をしてからだを回転させ、あたしは背中から思いっきりシールドさんの中に沈みこんだ。
(きたっ!)
そこにちょうど投げ上げた封印の杖が落ちてくる。
「今だ!」
あたしは、杖と手にすると同時にカードさんを取り出した。
「空間を歪め、中と外を入れ替えよ!ループ!」
「ループか!なるほど、ループなら中にいる知美を外に出すことができる」
「ケロはん、こないな使い方、クロウはんでもしなかったでぇ」
「ああ」
ケルベロスは、すみれがウィンディを封印したときのことを思い出していた。
あの時も、とらえどころのない風の精霊をループを使って狭い空間に閉じ込めて封印したのだ。
この子は、時々、母親以上の才能をかいまみせる。クロウ・リード以上の魔力を持つ母親を超える
可能性を持っているのかもしれない。
(けど、さくらとは違うんや。どんなにカードを使うのがうまくても、すみれの場合は・・・)
だが、ケルベロスの思考はチュルミンの声によって中断された。
「シールドの魔力が弱まってきたでぇ!もうすぐや!」
まもなく、シールドの外に不思議そうな顔をした知美の姿が現れた。
「チュルミンさんにケロちゃんさん。おふたりがいるということは?」
「成功や!知美ちゃんが無事に出れたんや!」
「まぁ!」
知美がふり返ると、シールドの中にすみれがいるのが見えた。
- 309 :126:05/02/21 02:03:46 ID:xlxDBA1G0
- 「まぁ!」
知美ちゃんの声が聞こえると同時に、封印の杖に感じていた力が消えた。
シールドさんの抵抗がなくなったんだ。
「知美ちゃん、出れたんだ」
あたしがそう言うと、シールドの向こうにいる知美ちゃんがにっこりと微笑んだ。
「「今や、封印や!」」
ケロちゃんとチュルミンが、同時に叫んだ。
「うん。汝のあるべき姿に戻れ!クロウ・カード!」
ピン!という音がして、封印の杖の先にカードができていく。
しばらくすると、あたしの手にシールドのカードさんがすべりこんできた。
「やったぁ!」
「ありがとうございます。すみれちゃん」
「知美ちゃん、だいじょうぶ?ケガとかなかった?」
「だいじょうぶですわ」
「よかったぁ!」
あたしは、思わず知美ちゃんに抱きついた。
「ごめんね、知美ちゃん。あたしが最初からうまく封印できてれば、こんなめにあわなくても
よかったのに」
「とんでもありません。すみれちゃんなら、きっと何とかしてくださると信じてましたわ」
「・・・知美ちゃん」
あたしが、次になんて言おうかことばを探していると
「それに、今のすみれちゃんの活躍、ばっちり撮影できましたし」
「・・・はぅ」
お約束だけど、あたしの頭におっきな汗が浮いた。
- 310 :126:05/02/21 02:05:23 ID:xlxDBA1G0
- 「では、あけますわ」
知美ちゃんが、鍵を鍵穴に差し込むと、カチャ、という音がしてふたがあいた。
「わぁー」
あたしは思わず声をあげた。
「これが、撫子おばあちゃんの結婚式のブーケ」
「ええ。残念ですが、もろくなっていますので見るだけにしてくださいな」
「うん。でもほんとうにきれいなブーケだね」
ママから話も聞いているし、知世おばさんが撮ったビデオで何回も見てるけど、ほんとうにきれいな
ブーケだった。おばあちゃんが大好きだった桜の花。それが、ママの名前になったんだ。
「わたくしも、いつかお作りしますわ。すみれちゃんの結婚式のブーケ」
「とつぜん、なにを言うの、知美ちゃん?!」
知美ちゃんのことばに、あたしは少しあわててしまう。
「うちもや。すみれちゃんの結婚式はぜひ招待してや」
「あら、チュルミンさん。実は、すみれちゃんはもう結婚式を挙げているのですわ」
「ほんまかーっ?!相手は誰や?!」
「知美ちゃん!」
そんな3人のドタバタを横目に
「女の子は、ほんま、結婚式とか夢みるんやなぁ。そないなもんより、わいは、このケーキの方が、
なんぼかええでぇ。3人とも、よろしくやっててやぁ」
と、ご機嫌でフォークを動かすケルベロスがいた。
そのころ、廊下では、チュルミンの分も入れて追加のお茶とケーキを持ってきたメイドが、
つぶやきながら歩いていた。
「これが、あの大道寺家の7不思議のひとつ、『わたしの部屋に4つ』・・・」
<すみれと知美と大切なもの:終劇>
- 311 :6代目:05/02/21 04:27:43 ID:Hrnljt4e0
- ヽ(´ー`)ノ
- 312 :S.A Studio ◆Sastuvj1Pg :05/02/21 17:09:22 ID:xHzNDcJj0
- 毎度乙カレー。<<126氏
- 313 :CC名無したん:05/02/21 21:43:49 ID:jULRUAoo0
- 126氏キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
本筋からそれるんであれですけど、さくらたんのブーケは誰がゲットしたんだろう…
- 314 :CC名無したん:05/02/22 22:18:53 ID:Wj/evlB40
- 知世……じゃ、ないのかなあ
- 315 :CC名無したん:05/02/26 23:34:59 ID:YcaDt8/M0
- age
- 316 :CC名無したん:05/02/27 21:01:42 ID:tx9GiKAGO
- ↑
ageんなアフォ!いらん広告書かれたら(ry
- 317 :CC名無したん:05/03/02 17:43:50 ID:mEPLdGyE0
- 始めのスレで設定直ぐに決まったのがいまだに懐かしいw
- 318 :サロメ:05/03/02 18:02:33 ID:r9JhBDRfO
- (σ_σ(σ_σ)σ_σ)
- 319 :さくらたん:05/03/08 13:00:59 ID:wmWWVhGB0
- ある朝。
すみれは精神病で死んだ。
そのほかもみんない次元へ消えてしまった。
ここからは、変態大使館雑談スレがのっとります。
サクラ関連の叩きはここで。
リンクも待ってますよ。
- 320 :さくらたん:05/03/08 13:37:54 ID:wmWWVhGB0
- サクラは実は、汗っかきのでぶオタ(無職・45歳・男)
なんだけど、
みんなすぐだまされるよね・・。
はにゃーんとか逝ってリャかあいいかあいいいってくれるし・・。
ま、いいんだけど。
ほどほどにしてね。
小学生に混ざってさくらのコミック立ち読みしてるおっさんキモいから
- 321 :さくらたん:05/03/08 13:41:04 ID:wmWWVhGB0
- 常にあげでお願いします。
ま、へをこくたびにあげるスレって感じ?
ところで、スレッドレイプってなに?
- 322 :CC名無したん:05/03/08 15:00:11 ID:g32qZRiy0
- あーっとここで>>319-321をスルー!!!
r'::::::::i
トーf/__
/ イ| 、ヽ
//_〉 l_l i_ノ、
\\ (_ニノ 〉____〉〉 〉
/ } / ,_-‐、
/\/,ー 'ヾ i"_Y 〈i
〈 < / ゝ^-'"
\i"ヽ、 \\ //
├ i\i カ ,、
|_,,i ノ_ソ ) ゝ
- 323 :S.A Studio ◆Sastuvj1Pg :05/03/08 16:14:07 ID:96Nj9R8G0
- 126たんまだ〜?
- 324 :CC名無したん:05/03/10 21:32:05 ID:rY7zbjDYO
- なんか某AA系板の〇津スレを彷彿とさせるなぁ…(・∀・)イイ!
- 325 :CC名無したん:05/03/10 22:29:57 ID:RGvsdMuF0
- 時を止めて その微笑 瞳の中消えていく幼き思い出
- 326 :CC名無したん:05/03/15 19:45:20 ID:8oPAyNZ+O
- 前スレってまだhtml化してないんでつか?
- 327 :CC名無したん:05/03/15 19:47:27 ID:20rI2mZI0
- とっくにしてる。ほれ。
http://ruku.qp.tc/dat2ch/0412/31/1019101668.html
- 328 :炉板通信 ◆mwhG4Chris :05/03/16 00:15:05 ID:WdC/YYWl0
- そこにあるのはhtml化してるとは言わんだろう・・・
- 329 :CC名無したん:05/03/16 01:13:15 ID:IS9sYRYi0
- 過去ログ読めたからどうでもいい。
あらためて読むとやっぱウマー
- 330 :126:05/03/17 01:53:44 ID:iYGzRBHd0
- 次回予告
きょうはパパが香港から帰って来る日。
ママは空港までおむかえで遅くなるから
晩ご飯はあたしと龍平で作るんだ。
はぅー。あたしって、やっぱりお料理向いていないのかなー?
そんな時にクロウ・カードの気配が!
ほぇーっ!このカード、あたしひとりじゃ封印できないよ!?
カードキャプターすみれ さくらと小狼のこどもたち
すみれのしゃりしゃりハンバーグ
次回もすみれと一緒に
さくらと一緒に
封印解除(レリーズ)!
- 331 :CC名無したん:05/03/17 03:46:21 ID:0Py2XkOp0
- >しゃりしゃりハンバーグ
どんなハンバーグなんだろ( ;・∀・)
- 332 :CC名無したん:05/03/20 13:44:37 ID:RPGk7bZ20
- フローズンハンバーグ
いえべつにとくになんでもないんだけども。
- 333 :CCsakura:2005/03/21(月) 18:42:36 ID:vplkwC3x0
- テスト
- 334 :CC名無したん:2005/03/21(月) 19:40:52 ID:UE9kceep0
- いわゆるSSっていうのはこういうのを言うんだな…
漏れはちょっと考えを改めるべきなのか。
- 335 :CC名無したん:2005/03/21(月) 20:37:33 ID:zdCjpPEI0
- 話はかわるが CCさくら→すみれ という流れはサクラ大戦に関連しているのか、
してないか・・・OTL
- 336 :CC名無したん:2005/03/21(月) 21:19:16 ID:NnRr/IFT0
- >>335
関連はしてないと思うがそういうネタが出たことはあった
- 337 :126:2005/03/22(火) 00:56:47 ID:qBRs4zlq0
- 「龍平、いる?」
その日の放課後、あたしは5年3組の扉を開けた。
「おねえちゃん」
龍平はすぐにあたしに気がついた。
「けさの約束どおり、きょうはつきあってもらうからね」
「うん。でも、その前に、寺田先生のところまでプリントをとどけなきゃ」
「わかった。いっしょに行こう」
教壇の上に積んであるプリントを龍平が取る。高さは30センチぐらいだ。
「重くない?」
「平気だよ、このぐらい」
「よかった。あとでもっと重いものを運んでもらうんだから」
「え?」
「じょうだんだよ。晩ご飯のお買い物だから、そんなに重くならないよ」
そう、この後、あたしと龍平は晩ご飯のお買い物に行くんだ。
だって、きょうの晩ご飯はあたしたちで作るんだもの。
- 338 :126:2005/03/22(火) 00:58:07 ID:qBRs4zlq0
- →すみれの回想モード
「ほぇ?パパ、あす帰ってくるの?」
「そうなの。予定より早くなったの」
「ママ、うれしそう」
「だって、小狼くんにまた会えるんだもん」
ママの顔が少し赤くなって、あっちの世界に入っていく・・・
少し時間がたって、ママは
「けど、飛行機が着くのが遅い時間なの。おむかえから帰ると9時過ぎになると思うわ。
だからすみれちゃんたちの晩ご飯、何にしようか?あたためるだけにしておくから」
「それだったら、あたしと龍平で作るよ」
「ほぇ?だいじょうぶ?すみれちゃんや龍くんがお食事を作ったことって」
「最初から全部作ったことはないよ。でも、あたしはママのお手伝いは何回もしてるし」
「それで、何を作るつもりなの?」
「ハンバーグ!好物だし、ハンバーグならママと一緒に作ったことあるし」
「ハンバーグかぁ・・・それならだいじょうぶそうね。じゃ、材料をメモするね」
ママは冷蔵庫を開けると、中を確認しながらメモを書き出した。
そして
「ナツメグとパン粉はあるから、買わなくてもいいわ。ソースに使う赤ワインもね。
だから、これだけ買ってくればいいわよ」
と言って、メモをわたしてくれた。あたしはそのメモを見て
「ママ、この分量って多くない?」
「それでだいじょうぶよ。ケロちゃんの分も入っているから」
「そっか。じゃ、がんばるよ。がんばって、おいしいハンバーグを作るんだ」
「龍くんといっしょにがんばってね」
「うん!」
←すみれの回想モード終わり
- 339 :126:2005/03/22(火) 00:59:08 ID:qBRs4zlq0
- あたしたちは職員室に着いた。
「失礼します・・・寺田先生」
「あら、木之本くん?すみれちゃんもいっしょなの?」
「プリント、持って来ました」
「ありがとう、そこに置いておいてね」
「はい」
龍平がプリントを机に置く。
「先生、それって・・・?」
あたしは先生が読んでいたものを指差した。そこには龍平の字が書いてあった。
「龍平くんの作文よ」
「ほぇ?」
「とてもよく書いてあるわ」
「龍平、何について書いたんですか」
「『うちのペット』って作文よ。木之本さんのおうちには、大阪弁をしゃべるロボットペットが
いるんだよね」
ほぇ〜っ!それって、ケロちゃんのことだよ!龍平ったら、何書いてんのよ!!
- 340 :CC名無したん:2005/03/22(火) 01:45:14 ID:ivnzDE6E0
- ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
- 341 :CC名無したん:2005/03/22(火) 13:20:08 ID:XZ8Mr7fl0
- ほえ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
- 342 :スッピー ◆SUPPII64mk :2005/03/22(火) 14:28:03 ID:mDHfXLoK0
- ほぇぇ〜。
126氏GJ!
- 343 :CC名無したん:2005/03/22(火) 21:40:19 ID:+q0T5YIm0
- >>336
情報サンクス、
確認できただけで結構スキーリ
興味でてきたから上からよんでみよう
- 344 :CC名無したん:2005/03/24(木) 21:06:58 ID:0HdobIsv0
- キテタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
多分原作最終回から10年以上経過しているであろうはずで、未だにばれて
いないのに、作文のネタにされるケロちゃんの存在にワロタ
- 345 :CC名無したん:2005/03/26(土) 12:24:04 ID:oRsD0g7K0
- http://makimo.to/2ch/comic_sakura/1019/1019101668.html
- 346 :CC名無したん:2005/03/31(木) 04:18:55 ID:IQucPxX60
- やっぱ、慣れている人なんだねw
- 347 :126:2005/03/31(木) 23:12:13 ID:ihVFa9Dj0
- 「だだいまーっ」
「ただいまじゃないでしょ、ふたりとも!もう暗くなっているのよ!」
「はーい」
母親におこられて、それでもあまり悪びれてない様子で、ふたりが家に入ってくる。
「おなかすいたぁ。晩ご飯まだぁ」
「はい、はい。もうすぐですよ」
姉に少し遅れてくつを脱ぐ弟に向かって
「龍くんもこんなに遅くまで・・・今日はどこに行ってたの?」
「桃矢おじさんのとこ」
「今日も?」
「うん」
さくらは不思議に思った。ここ数日、この姉弟の帰りが遅くなっている。
どこで遊んでいたのかと聞くと、帰ってくる答えは決まって兄の家。
心配になって、ケータイでふたりの位置を確認したことがある。確かにふたりはうそをついていなかった。
けれど・・・
(歴史が好きな龍くんがおにいちゃんの家で遊ぶのはわかるけど、お外で遊ぶのが好きなすみれちゃんが
ずーっと家の中で遊ぶなんてね・・・あ、そうだ)
「すみれちゃん!」
さくらは、部屋に戻ろうとするすみれに声をかけた。
「なーに、ママ?」
「最近、お部屋のおかたづけしてないでしょ」
「ほぇ」
「今日、ママがかたづけてあげたんだけど」
「ほぇっ」
「キーボードがなかったみたい」
「ほぇほぇほぇっ」
- 348 :126:2005/03/31(木) 23:13:08 ID:ihVFa9Dj0
- さくらの言うキーボードは、以前、すみれにせがまれて買ってあげたものだった。
けれど、活発なすみれは部屋の中でより外で遊ぶことを好んだ。
買うときから予想はしていたが、そのキーボードは、やっぱり買ってまもなくあきられてしまったのだ。
「ど、どこにしまったのかな。今度、お部屋をおかたづけするときにちゃんとしておくよ」
ばつが悪そうに答えるすみれ。そこに龍平が
「ママ、今日の晩ご飯は?」
「今日は、エビフライよ」
「「わーい!」」
子どもたちの顔が明るくなる。エビフライはさくらだけでなく、子どもたちも好物なのだ。
「ふたりとも、手を洗いなさい。すぐに晩ご飯だから」
「「はーい!」」
もうすぐ桜の花が咲こうとする、ある日の夕方の出来事だった。
**********************************************************************************
その数日後。町中に桜の花が咲く中、さくらは誕生日を迎えた。
今年は、友枝町にある小さなレストランを借りてバースディパーティが開かれた。
「誕生日おめでとう、さくら」
「おめでとう、さくらさん」
「おめでとう、怪獣」
「さくら、怪獣じゃないもん!」
みんなの祝福をうけて、バースディパーティが始まった。
- 349 :126:2005/03/31(木) 23:14:41 ID:ihVFa9Dj0
- さくらは、花束やプレゼントを受け取りながら、あることに気がついた。
(あれ、すみれちゃんのキーボードじゃない?なんで、ここにあるの?)
そこに、すみれと龍平が並んだ。
「ママ、お誕生日おめでとう」
「ぼくたちは、ママへのバースディプレゼントに曲を演奏しようと思います」
「曲は、桃矢おじさんに教わったんだよ」
(おにいちゃんから?)
さくらは兄の顔を見た。
(最近、ふたりの帰りが遅かったのはこのせいだったのね)
さくらに見られていることに気づいた桃矢は、こっくりとうなずいた。
ブーッ
「龍平、落ち着いて」
間違えて音を出してしまった弟に、すみれが言う。ふたりで片手ずつ弾くようだ。
「練習どおりにね。じゃ、始めるよ」
まもなく、オルガンの音がキーボードから流れ出した。その曲は・・・
(・・・この曲、おかあさんの曲だ)
(ママ、お誕生日おめでとう。あたしたち、ママのこと大好きだよ)
(ありがとう。すみれちゃん、龍くん)
ぎこちないけれども暖かい曲がふたりによって奏でられていった。
- 350 :CC名無したん:2005/04/01(金) 00:08:20 ID:itsv7PPO0
- おめでとうさくらたん
- 351 :CC名無したん:皇紀2665/04/01(金) 00:37:27 ID:Nca74zzM0
- さくらたん。誕生日オメ!!
- 352 :S.A Studio ◆Sastuvj1Pg :さくらたん生誕暦 07/04/01(金) 11:54:24 ID:1rvhL+6l0
- 126たん、乙です。
さくらたん、Happy Birthday!
- 353 :126:2005/04/04(月) 02:18:22 ID:HioUsICu0
- あたしがあわてていると、寺田先生はクスっと笑って
「親子ねぇ」
「ほぇ?なんのことですか?」
「ほんと、親子だと思ったの。龍平くんの作文ね、さくらちゃん・・・木之本さんのおかあさんが書いた
作文がとても似ていて・・・龍平くんの作文を読んでいて、思い出したの」
「そんなことがあったんですか?」
寺田先生は、小学生の時、ママと同じクラスだったんだ。
「そう。あのとき、碧先生・・・って、そのときの国語の先生なんだけど、宿題で『動物といっしょに
暮らすこと』っていうのがあってね、木之本さんのおかあさんは『しゃべれるオレンジ色のぬいぐるみ
さんと暮らしたい』っていう作文を書いていたの」
(ケロちゃんのことだ!)
「それが、ぬいぐるみが大阪弁でしゃべったらいいなという、とてもかわいいらしい作文だったんだ。
想像で書いているはずなのに、すごく細かいところまで描写してあって、まるでほんとうにぬいぐるみ
さんと暮らしているみたいだって、碧先生が、とってもほめていたし、先生もよく覚えているのよ」
(そりゃ、想像じゃなくて実際だったんだもん)
先生はもう一度龍平の作文を見ると
「龍平くんのは想像じゃなくて、実際のロボットペットのことだけど、本当によく似てる。
まるでさくらちゃんがいっしょに暮らしたかったぬいぐるみさんが、ロボットペットになって
やってきたみたい」
(やってきたんじゃなくて、そのときのぬいぐるみさんが今もいるんだけど・・・)
けれども、あたしはそんなことは言えなくて、
「そ、そうなんですか。あは、あはははは・・・」
とごまかしていた。寺田先生は
「プリント持ってきてありがとう。ふたりとも戻っていいわよ。先生は、みんなの作文のコピーを
とらなくちゃいけないから」
「わかりました。じゃ、先生、さようなら」
「さようなら」
「!」
そのとき、あたしは気配を感じた。
- 354 :126:2005/04/04(月) 02:20:10 ID:HioUsICu0
- 「木之本さん!」
衛(ウェイ)くんの声だ。思わず、声の方を見ると
バスッ!
「おねえちゃん、だいじょうぶ!?」
「うん」
あたしは、サッカーボールを受け止めていた。窓から職員室に飛び込んで来たんだ。
「だいじょうぶ、木之本さん?」
窓からのぞきこむ、衛くんの顔は心配そうだ。あたしは、窓のところまで行って衛くんにボールを渡す。
「ありがとう。だいじょうぶだった?」
「だいじょうぶだよ。あまり強いボールじゃなかったから。でも、気をつけてよ」
「うん」
すみれからボールを受け取ったエドワードは、
(カードのこと、すみれさんたちにうまくごまかせたみたいだ)
とつぶやくと、走り出した。
そして、すみれたちが職員室を出た後、寺田はちょっとしたことに気がついた。
「あら?作文のコピーがとってあるわ。誰がコピーしてくれたのかしら?」
- 355 :CC名無したん:2005/04/05(火) 09:29:42 ID:swGmF5XB0
- うほっ
- 356 :CC名無したん:2005/04/21(木) 23:29:50 ID:c3DjVZzR0
- 保守
- 357 :126:2005/04/24(日) 23:25:34 ID:YzuT9+r40
- 「はい、お嬢ちゃん、合い挽き肉だよ。おつかいかい?えらいねぇー」
「い、いえ、そんな、たいしたことないです」
あたしは、ちょっとはにかんでお肉を受け取る。
「サラダにするお野菜も買ったし、あとは・・・」
メモを見直していると、着メロが鳴った。おうちの電話番号だ。今日はママがいないから、これは
ケロちゃんからだ。
「もしもし、ケロちゃん?」
「すみれ、お買い物はどうや?」
「今、お肉を買ったところ」
「ということは、まだ友枝商店街におるんやな」
「うん、でもこれでお買い物は終わりだよ」
「せっかくなんやけど、まだ終わりやない。買うもんはまだあるでぇ」
「ほぇ?どういうこと」
「食後のデザートを買ってきてほしいんや」
「ほぇ?デザートって、冷蔵庫にこぐまやのプリンが」
あるよ、と言いかけて、あたしはあることに気がついた。ひょっとして・・・!
「ひょっとして、ケロちゃん、プリン、食べちゃったの?!」
「・・・」
しばしの沈黙。思わず、あたしはケータイを握りなおして
「ケロちゃん!」
「・・・まぁ、そのひょっとしてやな」
「じゃ、あたしや龍平の分まで食べちゃったの?!」
「いやぁ〜。食べ出したら、つい、止まらなくなってな」
「ひどい〜!」
こぐまやのプリンは、ケロちゃんもなんだけど、あたしも大好物なんだ。
「そ、そやから、こうして電話しとるやないか。晩ご飯食べ終わってから気づいても遅すぎるし、
今から買ってくればええと思うてな」
「そんな問題じゃない!!」
あたしの声は大きくなった。
- 358 :126:2005/04/24(日) 23:27:37 ID:YzuT9+r40
- 「こぐまやさんって、友枝遊園地の近くなんだよ!これから行ったら暗くなるまでにおうちに帰れないよ」
「そやったら、ぴよのチーズケーキはどうや?」
ケーキ屋さんのぴよだったら、確かにここから近い。
「すみれは、ぴよのチーズケーキも好物なんやろ?」
それはそうだけど・・・
「わかった。ぴよに寄ってから帰るよ」
「ほんまか」
「デザートがないのは、やっぱりさみしいからね」
「わーい。じゃ、わいの分も忘れんといてや」
ぴよのチーズケーキを買ってくるとわかったとたん、ケロちゃんの声が明るくなった。
ほんとにもう、と思いながら、あたしは通話を切る。そして
「龍平、次はぴよに行くよ・・・って、龍平?」
あたしの後ろで待っているはずの龍平がいなかった。
「はい、毎度あり」
見ると、龍平もお肉屋さんから何かを買っている。
「龍平、何を買ったの?」
「ステーキ用のハムだよ」
「なんでそんなの買うの?今夜はハンバーグなのに?」
「パパの夜食用に買っておいてって、ママから電話があったんだ」
「いつそんな電話があったの?」
「たった今。おねえちゃんが通話中だったから、ぼくのケータイにかかってきた」
「そっか」
- 359 :CC名無したん:2005/04/25(月) 00:22:58 ID:ygxZPva80
- 夜食にハムステーキか( ;・∀・)
- 360 :CC名無したん:2005/04/28(木) 14:12:49 ID:Fn2iXwnk0
- ぴよって小狼が覗いてたケーキ屋なんだね
アニメ見てちょっと感動した
- 361 :CC名無したん:2005/05/03(火) 14:36:53 ID:7t1/a41L0
- >>360
あぁっ、それか。
言われて納得
126たんは細かいなぁ(´∀`)
- 362 :126:2005/05/06(金) 01:51:30 ID:HllSjgd80
- トン、トン、トン・・・
「あや。タマネギ、つながったままだよ。やり直さなくちゃ」
あたしは、キッチンで晩ご飯の準備を始めていた。
食材がそろったのを確認して、パン粉をミルクに浸して、タマネギをみじん切りにする。
今、てこずっているのは、そのみじん切りだ。
「やっぱり、ママみたいにきれいに切れないよぉ」
ママがハンバーグを作るのを何度かお手伝いしたことがあるけど、タマネギのみじん切りはまだ
やったことがなかったんだ。
うまく切れなくてつながったままのタマネギを、そろえて切りなおす。
いつかは、ママみたいにトントントン、って感じでみじん切りができるようになりたいな・・・
と思いながら、包丁を動かしていると
「お姉ちゃん、ケロちゃんなんだけど」
龍平だ。
「もう、いいかな?ケロちゃんも、もう反省したと思うんだけど」
「だめ。あたしがいいって言うまで、龍平はお風呂場に戻って、見張ってて!」
あたしがそう言うと
「・・・うん、わかったよ」
龍平は、お風呂場に戻っていった。
- 363 :126:2005/05/06(金) 01:52:19 ID:HllSjgd80
- →すみれの回想モード
「ただいまぁ!」
「おかえり。思ったより早かったなぁ」
ケロちゃんが出迎える。
「ところで、ぴよに寄ってきてくれたんか?」
「うん。やっぱり、デザートがないのはいやだから、チーズケーキを買ってきたよ」
「わーい!チーズケーキやぁ!」
ケロちゃんの背景に花が咲き誇る。
「ほんまぁ、わいはしあわせやなぁ。きょうは、こぐまやのプリンも食べれて、ぴよのチーズケーキも
食べれるんやからぁ〜」
最高にしあわせ〜って、感じでケロちゃんが宙を舞う。
「・・・もう。あたしたちのプリンを食べちゃったくせに」
「すまん、すまん。あんまり、プリンがおいしかったせいで、つい、止まらなかったんや」
ケロちゃんが、テヘって感じで言う。あんまり、反省していないみたいだ。
「とにかく、晩ご飯の材料を冷蔵庫に入れておこう、龍平」
あたしは、龍平から晩ご飯の材料が入ったバッグを受け取ると、キッチンに向かった。
それから、しばらくして。
宿題をしていたあたしは、のどがかわいて、飲み物を取りにキッチンに降りた。
そこであたしが見たものは・・・
「あ〜っ!ケロちゃん!!!」
「す、すみれっ!」
- 364 :126:2005/05/06(金) 01:54:17 ID:HllSjgd80
- あたしが見たのは、ぴよのケーキボックスをあけようとしているケロちゃんだった。
「ケロちゃん、なにしてるのよ!」
「いやぁ、チーズケーキがどのぐらいおいしそうか、見たい思うてな」
言いながら、ケロちゃんがあとずさりした。
「ほんと?」
「ほんまや、見たい思うただけや」
ケロちゃんは、さらにあとずさりした。あたしは、そんなケロちゃんをにらみつける。
「そんなこと言って、ほんとはもうがまんできなくなって、つまみ食いするところだったんでしょ?」
「まぁ・・・そんな気持ちも・・・ちぃ〜とはあったかなぁ」
ケロちゃんの顔がひきつってきた。
「ケロちゃんっ!」
あたしは、ケロちゃんのからだをつかむとお風呂場に向かった。
「なにをするつもりや?すみれ・・・いや、すみれさま」
お風呂場に入って、入り口を閉める。そして、あたしは呪文を唱えだした。
「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」
あたしが封印の杖を手にすると、ケロちゃんはひきつった声で
「風呂場で杖を封印解除(レリーズ)するとは・・・ひょっとして・・・!」
「その、ひょっとしてだよ」
あたしは、カードさんを取り出した。
「バブル!」
←すみれの回想モード終わり
- 365 :CC名無したん:2005/05/06(金) 23:07:17 ID:23vyleUI0
- 126氏乙〜(´∀`)
食い意地はったケロちゃんも乙(;´∀`)
- 366 :CC名無したん:2005/05/08(日) 19:03:10 ID:ynZ5NG+v0
- 126さん乙です。
すっげえ面白いです。
ケロちゃん萌えー
- 367 :あの〜。:2005/05/09(月) 16:25:02 ID:GL5XoiWA0
- あたし、すみれっていうんですけど・・・・
- 368 :CC名無したん:2005/05/14(土) 22:37:29 ID:TJguTkEF0
- きたかな?
- 369 :126:2005/05/16(月) 00:31:22 ID:8LBAXXol0
- ・・・トン、トン、トン!
「やったぁーっ!」
やっと、みじん切りが終わった。
「じゃ、次に行く前にケロちゃんを許してあげよう」
あたしは、手を洗うとお風呂場に向かった。
「あひゃひゃひゃ〜。こ、こそばゆい〜っ!」
ケロちゃんの声が聞こえてくる。ケロちゃんは、あたしのバブルさんとは相性が悪くて
あたしのバブルさんで洗うと、くすぐったくてたまらないんだ。
「どう?ケロちゃんのようすは?」
あたしは入り口で見張っていた龍平に聞いた。
「さっきからずぅーっとあの調子だよ。お姉ちゃん、そろそろ許してあげようよ」
「そうね、もう懲りただろうし」
あたしはお風呂場の中に入って、バブルのカードさんを戻した。
M
_| ̄|○ ゼイゼイゼイ・・・
「・・・ほんま、きつかったわ・・・すみれを怒らしたら、クロウより怖いわ・・・」
「誰が怖いですって?」
「だ、誰でもありません!」
「ケロちゃん、もう2度とつまみ食いしないって、誓う?」
「誓います、誓います」
「ほんと?」
「ほんまや。もう、2度としません、すみれさま」
「じゃ、もうすぐ晩ご飯だから、それまでおとなしく待ってなさい」
「はい、すみれさま」
- 370 :126:2005/05/16(月) 00:32:37 ID:8LBAXXol0
- あたしはキッチンに戻った。
「ほぇ?タマネギが増えているよ?」
みじん切りになったタマネギが、2つの山になっていた。
「おかしいなぁ。1つにまとめておいたんだけど・・・誰かが分けたのかな?」
でも、そんなことをする人がいるわけがない。
「ま、いっか」
あたしはボールに合いびき肉を入れた。ママが教えてくれたとおりに、お肉屋さんに牛肉の赤身7、
豚肉の赤身2、豚の脂身1の割合にしてもらったものだ。お塩とナツメグを加えてこねる。
よーくこねる。100回こねる。
「そろそろかな」
次に卵、みじん切りにしたタマネギ、ミルクに浸しておいたパン粉を加えて混ぜる。
「じゃ、型を作ろう」
サラダオイルを手につけて、材料を3等分にする。そのうちの1つを手にして、両手で軽くたたいて
空気を抜く。真ん中にくぼみを作って、中まで火が通るようにする。ママが教えてくれたように。
「これでよし」
残りの2つも同じようにして、型を作る。
「龍平、そろそろサラダとスープを作って」
「うん」
サラダとスープは龍平の担当なんだ。スープはレトルトをあたためるだけだけど。
- 371 :126:2005/05/16(月) 00:34:04 ID:8LBAXXol0
- あたしは、フライパンをあたためてから、サラダオイルをひいた。よくなじんだところで、
ハンバーグを置く。最初は強火で両面に焼け目をつけて肉汁が出ないようにする。
それから弱火にして・・・
「肉汁が透明になった。これなら、焼き上がりだね」
くぼみを軽く押して、焼き上がりを確かめた。
「龍平、サラダは?」
「もう、できてるよ」
龍平がサラダを盛り付けたお皿に、ハンバーグも載せていく。
「お姉ちゃん、じょうずに焼けた?」
「もちろん!」
あたしは、フライパンに残った肉汁に赤ワインとケチャップ、ウスターソースを加えて軽くあたためる。
「ソースもできたよ」
フライパンから、お皿に載せたハンバーグにソースをかける。
「おっ!うまそーやなぁ」
テーブルの上から、ケロちゃんの声が聞こえた。
「もう少しだから、待ってね」
あたしと龍平はテーブルにハンバーグやサラダ、スープにパンを置いていく。
それを見ているケロちゃんは、しっぽを振って、とってもうれしそうだ。
あたしはエプロンをはずして、いすにすわった。龍平もだ。
「わ〜い、ハンバーグや!」
ケロちゃんがいきなり食べようとしたので、
「ケロちゃん、『いただきます』は?」
「そうや、そうや。いただきま〜す」
「いただきま〜す」
あたしたちは晩ご飯を食べ出した。そして、
「※#диЯ★!」
- 372 :CC名無したん:2005/05/20(金) 20:03:31 ID:IQGvVJnn0
- さくら「私はお前の母親だ」
すみれ「うそだぁ〜〜〜〜〜っ!!」
- 373 :おい!:2005/05/20(金) 20:38:49 ID:VVsxBrC1O
- トイストーリー2?
- 374 :CC名無したん:2005/05/20(金) 22:42:54 ID:pQIiQt2p0
- いいですねぇ。丁寧な描写、転がる物語、魅力的な新参キャラクターたち。
ネットで公開されているファンアートとは思えないクオリティです。
ゆっくりみんなで楽しんでいきましょう。
- 375 :126:2005/05/22(日) 23:14:15 ID:wD9HjaJL0
- 「※#диЯ★!」
あたしたちは、口に入れたハンバーグをお皿に戻した。
「お姉ちゃん、これ・・・」
「・・・」
あたしは、何も言えなかった。このハンバーグは・・・
「ハンバーグがしゃりしゃりしてるよ・・・」
「・・・うん、そうだね」
龍平の言うとおりだった。おいしくできたはずのハンバーグがしゃりしゃりしてる。
「すみれ・・・」
次にケロちゃんが口を開いた。
「・・・わいは思うんやが、ひょっとして、タマネギ、炒めなかったとちゃうんか?」
「あっ!」
そうだ。確かにタマネギのみじん切りを、炒めないでそのまま混ぜたんだ。
「タマネギを炒めるんは、甘みを出すというのもあるんやが、ひき肉と同じ時間で火を通すっちゅう
こともあるんや。肉にはちょうどよく火が通ってるけど、タマネギは半生や。それに、このタマネギ、
分量がミョーに多くないか?いつもの倍ぐらい入っとるし」
「そんなことないよ。タマネギを炒めなかったのは確かだけど、分量はちゃんと計ったよ」
「けどな・・・すみれがせっかく作ってくれたハンバーグやけど、これを食べるのはちょっとキツイでぇ」
「いま、焼き直すよ」
「あかん。そないことしても、タマネギに火が通るころには、肉がこげてしまうさかい」
「そっか。でも、どうしよう」
このままでは、晩ご飯にならない。そのとき、龍平がいすを立って、冷蔵庫のドアを開けた。
「龍平、何するの?」
見ると、龍平は、パパの夜食用のハムを冷蔵庫から取り出している。
「これを晩ご飯にするんだ」
「ダメだよ!それ、パパのお夜食なんだから!」
あたしは、あわてて龍平を止めた。
- 376 :126:2005/05/22(日) 23:15:09 ID:wD9HjaJL0
- あたしは、龍平からハムステーキの包みを取り上げようとした。すると、龍平は
「お姉ちゃん、これ、実はパパの夜食じゃないんだよ」
「ほぇ?それって、どーゆーこと?」
「お肉屋さんの前で、お姉ちゃんがケロちゃんと電話してるときに、ママからケータイがかかってきて、
ハンバーグがうまくできなかった時用に、買っておいてって、言われたんだ」
「え?」
あたしが驚いていると、龍平はケータイを取り出して、音声メモを再生した。
『・・・すみれちゃん』
ママの声だ。
『すみれちゃんが、これを聞いているということは、ハンバーグ、うまくいかなかったのかな?
もしそうだとしたら、龍くんに買ってもらったハムステーキを、晩ご飯にしてね。
・・・がっかりしないで。元気を出して。すみれちゃんなら、次からはきっとじょうずにできるから。
そのときには、ママにも食べさせてね・・・』
「・・・ごめんなさい、ママ・・・」
ママの伝言を聞きながら、あたしは手で涙をぬぐっていた。
「すみれ、そないに落ち込まんでええ」
「ケロちゃん」
「誰でも最初からじょうずにできるわけやない。さくらかて、すみれぐらいのころには
さんざん料理に失敗して、わいにとんでもない食いもんを食べさせよったで」
「ほんとう?」
「ほんとうや!」
ケロちゃんが笑った。
「そやから、せっかく、さくらが気ぃきかせてくれたんや。スープがさめないうちに、ちゃっちゃと
ハムを焼いてしまおうやないか」
「うん!」
- 377 :S.A Studio ◆Sastuvj1Pg :2005/05/23(月) 19:10:53 ID:Tf5lsf6U0
- 126氏乙です。
- 378 :CC名無したん:2005/05/23(月) 23:03:20 ID:0nhxjxHR0
- ほのぼのします
- 379 :CC名無したん:2005/05/24(火) 14:44:22 ID:NMk6zH1T0
- ええわぁ。
たまねぎいため忘れは経験がありますw
- 380 :CC名無したん:2005/05/25(水) 18:01:16 ID:7dh/w/wO0
- てか、ハンバーグの玉ねぎって炒めるの?
今まで炒めずにひき肉の中にぶっこんでた・・・。
- 381 :CC名無したん:2005/05/26(木) 10:54:32 ID:fU3V8l5/0
- >>380
俺弱火でじっくりいためてから入れるけどな。
そういう調理法もあるんじゃない?
- 382 :355 ◆MFV5elHKgs :2005/05/27(金) 02:24:19 ID:Z4/b3oB50
- ここは本当に落ちつくよ・・
- 383 :CC名無したん:2005/05/27(金) 22:37:41 ID:24Kwq5e50
- さすがさくらたんやぁ。・゚・(ノД`)・゚・。
さくらたんの愛にほのぼのとしました。
126氏乙であります!
- 384 :CC名無したん:2005/05/28(土) 03:02:39 ID:EFjjhOVT0
- 俺も炒めず入れてたけど大丈夫だよ
まあ肉は弱火でじっくり焼いてるけど
- 385 :CC名無したん:2005/05/28(土) 11:08:03 ID:CEeXfEyb0
- >>384
それだ!
おれ強火でがーっと焼いて中のジューシー感を味わうタイプだから。
弱く焼くと締まりすぎる気がしてだめなんだ
- 386 :126:2005/05/30(月) 01:05:24 ID:5AgH3I+c0
- 「ごちそうさまぁ」
「あ〜、食った。食った」
ケロちゃんは、大きくふくらんだお腹をぽんぽんとたたく。
「きょうのハムステーキは、とくにうまかったでぇ。隠し包丁を入れるなんて、すみれもなかなかやな」
「ありがとう。ママが教えてくれたんだ」
「ほんま、さくらといい、すみれといい、うまいもんを作ってくれて、わいはしあわせやなぁ。
ところですみれ」
「なに?ケロちゃん?」
「おいしい晩ご飯も食べたことやし、食後のデザートは?」
「ちょっと待って。おかたづけをしてからね」
あたしはキッチンにトレイを取りに行った。
「・・・これは?」
ほんの少しだけど、魔力の気配を感じる。
(気のせいかな?キッチンで魔力なんて・・・?)
あたしがとまどっていると、テーブルからお皿なんかをを持ってきた龍平が
「お姉ちゃん、魔力の気配がするみたいだけど・・・」
「龍平も感じる?」
あたしたちは、精神を集中した。
「ここだ!」
「うん!」
- 387 :126:2005/05/30(月) 01:06:59 ID:5AgH3I+c0
- ケロちゃんも飛んできた。
「魔力の気配がするんやて?」
「うん、ここ。ディスポーザーの中から」
あたしと龍平は指を指した。
「ディスポーザーの中からやて?中になんかヘンなもんが入ってんのか?」
「見てみる」
あたしは、ディスポーザーのふたを開けた。
「変なものはないよ。さっき失敗したハンバーグぐらいかな・・・でも、このハンバーグ、
確かに魔力の気配がする!」
「なんやて!」
そのとき、
キャッキャッ・・・
窓の外から笑い声が聞こえた。
「なに?」
声の方を見ると、お庭にふたりの小人さんがいた。
「あれは?」
「あれは、ツインのカードやないか!」
「クロウ・カードなの?」
「ああ、なんでも2つにしてしまうカードや!」
「なんでも2つに・・・あっ!ひょっとして?!」
「どうしたんや、すみれ?」
「うん、ハンバーグを作っているときに・・・」
- 388 :126:2005/05/30(月) 01:12:30 ID:5AgH3I+c0
- →すみれの回想モード
あたしはキッチンに戻った。
「ほぇ?タマネギが増えているよ?」
みじん切りになったタマネギが、2つの山になっていた。
「おかしいなぁ。1つにまとめておいたんだけど・・・誰かが分けたのかな?」
でも、そんなことをする人がいるわけがない。
「ま、いっか」
←すみれの回想モード終わり
「そうか!それで、すみれのハンバーグにタマネギがいつもの倍ぐらい入ってたんや!」
「それって、ツインのカードのせい?」
「きっとそうや。でなければ、いくらタマネギが半生やとしても、あんなにしゃりしゃりにならへん!」
「・・・でも、どうして、あのとき、魔力に気づかなかったんだろう・・・」
「それは、すみれがバブルのカードを使うんで、一生懸命だったからや」
「・・・そっか」
そのとき、ツインのふたりが、とつぜん光に包まれた。
「お姉ちゃんっ!」
「龍平!」
- 389 :CC名無したん:2005/05/30(月) 11:53:33 ID:CxdD0geb0
- キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
いいすねー話がきちんと組み立てられてる。
ほかの二次制作とは一線を画してる
- 390 :CC名無したん:2005/06/01(水) 07:44:32 ID:4x0jrGbE0
- 保守
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