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落ち着いてLAS小説を投下するスレ 2

1 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/11/10 02:28:43 ID:/g7Yxy8c
前スレ
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31 :ドイツ式結婚 −婚約編− 1:04/11/11 23:40:01 ID:???
それじゃ短いのを一つ。

ドイツ式結婚 −婚約編− 1

西暦2018年のある春の朝、まだ日の登り切らぬ頃、朝帰りした葛城ミサトは慎重に自宅
のドアを開け自室へと忍び足で向かっていた。
「あ、おはようございますミサトさん」
突如キッチンから聞こえてきた声に、ミサトはギクッとして立ち止まり、恐る恐る声の
する方を振り返った。
そこには同居人であり葛城家の主夫として全権を預かる碇シンジが、燃えるゴミの袋を
抱えて立っていた。
「あ、シ、シンちゃんおはよう。今日は早いのね」
ミサトは内心の焦りを押し隠し、引きつった笑顔でシンジに挨拶を返した。
「ええ、今日は燃えるゴミの日なんで、ちょっと早起きしてゴミをまとめてたんです」
屈託のない笑顔で応えるシンジ。
「いつも済まないわね。そうだ、今日はお礼に朝御飯を作って上げるわ」
ミサトは後ろめたさからそう提案した。
何しろ昨夜は夜勤と偽って男と過ごしていたのだから。
「い、いいですよ。ミサトさんは夜勤明けなんですから休んでいてください。今日も仕
事なんでしょう?」
ミサトの料理の腕を知っているシンジは、冷や汗を流しながらやんわりと拒否した。
「じゃぁ、そのゴミ捨ててきて上げるわ。ほら、貸してご覧なさい」
シンジの様子にちょっと不満げなミサトは、シンジの抱えたゴミ袋を両手で奪い取ろう
とする。
その左手に光る物を見つけたシンジが何気なく聞く。
「あれ? ミサトさん、指輪なんかしてるんですか? 珍しいですね」
その言葉を聞いた途端、ミサトはゴミ袋を取り落とし、慌てて右手で左手を隠す。
「こ、こ、こ、これはね。な、何でもないの。そう、ただのアクセサリーなんだからね!」
慌てふためくミサトをよそに、シンジはとびきりの笑顔を見せてただ一言言った。
「おめでとうございますミサトさん!」
いくら鈍いと言われていても、左手の薬指の指輪の意味くらいは知っていたのである。


32 :ドイツ式結婚 −婚約編− 2:04/11/11 23:42:06 ID:???
シンジは朝の顛末をアスカに話しながら朝食を食べていた。
ミサトは午後から出勤と言うことでまだ寝ている。
「…でさ、僕がそう言ったらミサトさん真っ赤になっちゃって。『シンちゃん ありがとう』
って言いながら泣くんだよ。よっぽど嬉しかったんだね。加持さんがプロポーズしてくれたのが」
「ふーん、とうとうミサトと加持さんも纏まったか。ま、ミサトには加持さんはもった
いないけどしょうがないか」
アスカはさして驚くでもなく平然とその事実を受け入れた。もはやアスカにとって加持
は恋の対象ではなく、態度こそ素っ気ないものの二人の婚約を心から喜んでいた。
「で、どんな指輪だったの?」
興味津々でアスカが尋ねる。
本当は日頃シンジとの仲をからかわれているお返しに、ミサトをたたき起こして冷やかし
てやろうとしたのだが、シンジに止められたのだ。
「えーっとね、プラチナの台に大きなダイヤが載ってたよ。恥ずかしがってあまりよく
見せてくれなかったけど、結構大粒のダイヤだったから高かったんじゃないかな」
「ダイヤねぇ。日本人てダイヤが好きよねぇ」
「あれ? アスカはダイヤの指輪って好きじゃないの?」
「もちろん好きよ。でもドイツじゃぁ婚約指輪にダイヤの指輪を贈ることは珍しいわね」
「そうなんだ? じゃあ、ドイツではどんな指輪を贈るの?」
「ドイツではね、婚約時に結婚指輪を贈るのよ。そして結婚まではそれを左手に填め、
結婚式の時に右手に填め直すの。結婚てゆうのはお金がかかる物だから、指輪にお金を
かけるよりも、他にもっと有意義に使おうって発想なのね」
「なるほどね。確かに婚約指輪って高いよね。日本では給料の3ヶ月分てゆうのが相場
みたいだし」
「なによそれ、変なの。どうゆう発想なのかしら。どうせダイヤなんてよほど大きい物
以外は財産価値なんて無いんだから、無理して高い物買うこと無いのにねぇ」
「そうなんだ、でも、その指輪をはめ直す儀式ってなんかいいよね。いかにも婚約から
結婚に歩みを進めたってゆう感じで」
「そうでしょ? あたしの時もそれでいこうかなと思ってるのよねぇ」
「ア、アスカぁ……」
アスカの甘い声による爆弾発言にシンジは首まで真っ赤にして俯いた。
アスカはその様子を見てにやりと笑いコーヒーを啜るのだった。

33 :ドイツ式結婚 −婚約編− 3:04/11/11 23:43:02 ID:???
そして6年後……

「アスカ、僕と結婚してください!」
そういってシンジは指輪のケースをアスカに差し出した。
アスカは指輪を一目見るなりケースをシンジに押し返した。
「ア、アスカ?」
シンジは顔面蒼白になってアスカに問いかけた。
「何でダイヤじゃないの?」
「だ、だってドイツでは結婚指輪を婚約の時に贈るってアスカが……」
「あんたバカぁ? ここは日本であんたは日本人でしょ? あたしもあんたと結婚した
ら日本人になるのよ? なんでドイツ式でやらなくちゃいけないのよ!」
「だ、だってアスカ言ったじゃないか。自分の時もドイツ式でやりたいって」
「そんなこと言ったかしら? 覚えてないわ。それより、ちゃんとダイヤの指輪用意し
なさいよ。職場の女どもに自慢できないじゃない。相場は3ヶ月分だそうだけどあんた
の安月給じゃ3ヶ月分じゃ大した物は買えないから……そうねぇ、半年分てとこかしらね」
「アスカぁ……」
がっくりとうなだれるシンジ。来日して9年、どんどん日本に馴染んでゆくアスカだっ
たが、こんなところまで馴染まなくても良かったのにと思うシンジであった。
アスカは気落ちしたシンジを見つめて微笑んだ。
「バカね、あたしはダイヤを自慢したいんじゃなくてあんたを自慢したいのよ。あたし
のことをこんなに思ってくれてるんだってね。だから、がんばって早く指輪を用意すん
のよ」シンジが爪に灯を灯す生活をして無事給料半年分の指輪を贈ることが出来たのは
それから10ヶ月後のことであった。


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